シーバス・エギング and more!! 春の釣果アップを実現するヒント
リアルタイムの情報収集がしやすくなった昨今だが、ハシリの好況を人より先にとらえるには独自のアンテナだけが頼りになる。遠回りのように思える地道な釣り場観察&情報の精査が欠かせないから…
解説:安田栄治
釣果に繋がるさまざまなヒント
私はシーズンの先取りに加えてエリア全体の把握、他地域の攻略などのヒントとして、ピンスポットのローカルパターンに注目してその集積に努めている。その際に動植物や漁業者の動向、地域の行事といったわかりやすい事象をベースとして、天気図を元にした気象状況、気温、水温、黒潮の動向などの要素を加味して精度を高めている。そうした事例のいくつかを紹介しよう。
①アワビ漁の解禁が春一番のエギングシーズン・イン…紀東エリア(志摩周辺)では春先のアワビ漁の解禁直後の一時期にアオリイカが釣れることがある。この漁は地方から少し沖合の、アワビの餌場である海藻帯で行なわれる。おそらく、そのあたりに居着いているアオリイカが逃げて広範囲に散り、一部が岸寄りに入ってくるという仕組みなのだろう。
②漁港の入り口のサクラが満開になるとシーバスの群れが接岸する…ある漁港で好釣果が得られたときの写真を整理しているとサクラの花びらが写っており、関連性がうかがえた。サクラの開花とシーバスが接岸する時期が一致しなかった年もあったが、そのときは外海に黒潮の分流が入り込んで湾内の冷たい海水が出ていかなかったり、周辺で浚渫(しゅんせつ。海底の土砂を掘り出す作業)があって不自然な濁りがあるという悪条件が存在した。
③虫が大量発生するとデカイカの本格シーズン・イン…5月中旬の蒸し暑い夜に外灯回りに大量の虫が発生するときは、産卵を意識したデカイカが本格的に釣れ出すXデー。これは経験則から生まれた志摩エリアの鉄板パターンで、年回りによって釣果に多少の差はあれど、ほぼ間違いないと自負している。シーズン初期のため昼夜を問わずチャンスがあり、荒食いも見られるので絶対にハズせない。
自然のシグナルの把握に努める
このように自然発生的、人為的を問わず、地上の事象と海中の動向がリンクしている事例は多い。それに気づいたのは独学でシーバスゲームを始めた18年前のことだ。当時は情報を得るネットワークがなかったので1つの河川に絞って年間150日通い、それを4年間続けた。狭い範囲で定点観測を継続することで細かなデータが得られ、より理解が深まると考えたからだ。
1年めは8匹しか釣れなかったが、通い込むことでしだいにフィールドの特徴やシーズナルパターンが掴め、さらには特殊なローカルパターンも発見するなどして釣果が伸び、自信にも繋がった。日付けが同じでも年回りによって潮や天候は異なるためズレは生じるが、自然界の営みは毎年粛々と行なわれている。大事なのはそれを示すシグナルをしっかりと把握することだ。それができればパターンを確立しての攻略が可能であると確信している。
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