パイオニアのショア青物レッスン①|【オッサンの能書き 其の1】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

パイオニアのショア青物レッスン①|【オッサンの能書き 其の1】

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ワカナンのファイト

ワカナンはPE2号のタックルを使用していた。そして、足もとは根ズレの危険性が高かったため、ヒラマサがヒットしたらできるだけ沖に走らせないと取れない状況だった。また、不安定な磯の上で少しでも余裕を持ってもらうために、ドラグはあらかじめユルユル(2㌔弱)に設定していた。

案の定、ヒット直後からスプールが燃えそうな勢いで回転し、ものすごいスピードでラインが引き出された。彼女はスプールを押さえてそれを止めようとしたので制止。そのままラインを出すように指示すると、魚はフルスピードで走り続けた。

やがてヒラマサの走りが鈍くなってきた。こうなると根に向かうため、ここで初めてドラグを少し締める。そして、魚をさらに走らせるための刺激と、少しでも浮き上がらせることを目的に5~6回のポンピングを入れる。すると、再び魚が走り出したので、再度ドラグを緩めて走らせる。

これを数回繰り返すと、短距離を全力疾走したヒラマサはバテてきたようで頭を振るだけの引きになってきた。ここで彼女に「これは魚の頭がワカナンの方に向いていて、もう寄せてくれという合図やから!! ここからは息が上がっても、手が痺れてもポンピングを続けるんやで。用意はええか?」と告げた。すると彼女は「ハイッ、大丈夫ですッ!!」と元気いっぱいに応えてくれたので、ドラグをかなり締め込んで寄せにかかることにした。

そして、ここからの彼女はすごかった。70㍍以上もラインを引き出されたというのにシャカリキにポンピングを続ける。並の男でも息が上がってバテるはずなのに、まるでマラソンを走るかのようにペースを落とさず体全体でポンピングを続ける。その姿は見ている僕が圧倒されるほどであった。

手前まで寄せてきたところで、お決まりの最後のわるあがきを見せるヒラマサ。根が絡むヤバい方向へと走り出したため、彼女の背中を支えて魚が走った方へ誘導する。そしてベールをオープンにすると、左側にテンションをかけていたことで魚が右手の安全な方へと逃げた。

魚が根ズレの危険性のない安全な場所に入ったことを確認して、彼女を右側のランディング場所へと誘導。ここでライン限界値の90㌫ぐらいまでドラグを締め上げる。あとは彼女しだいとなり、最後のパワーポンピングに入った。ヒラマサの最後の抵抗にときおり体を持って行かれそうになりながらも必死にポンピングを続ける。周囲は根に行かれるか、浮いてくるかと固唾を飲んで見守った。さすがのワカナンも息が上がっているがあとひと息だ。

そして、ついにヒラマサの白い腹が海面に見えてきた。「やったぁ~、浮かせたぁぁぁ~!!」  僕と同行の上杉君はここでバラしたら大変と緊張しながらのブサイクなランデングで魚を磯へとズリ上げた。彼女を含めた全員が「デカい!!」「スゴい!!」などと叫んで喜びを分かち合った。

これがワカナンがメーターオーバーのヒラマサをキャッチした一部始終だ。後編ではこのときのファイトについて改めて考察するとともに、大型青物をキャッチするうえで欠かせないファイトスキルの磨き方について僕なりに紹介したいと思う。

大型ヒラマサ 福島和可菜さん3
偉業を成し遂げたワカナン。折れない心が勝利を呼び込んだ。

(※後編に続きます)


【本林将彦・プロフィール】

ショア青物ゲームのパイオニアにして、今なお最先端のメソッドを追求し続けるエキスパートアングラー。西日本を中心に全国のフィールドを精力的に走り回り、ショア青物ゲームがよりよい形で普及することに尽力している。

【ショア青物ゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「ショア青物ゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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