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ショア青物ゲームの真髄《前編》

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ショア青物ゲーム 釣り方1

青物の回遊に遭遇するには、まずはベイトの動向を把握することが不可欠。フィールドでは些細な海況変化も敏感に察知してチャンスをモノにしよう‼

解説:本林将彦

ショア青物ゲームの魅力

ショア青物ゲームの場合、回遊狙いのパターンが1日の大半を占める。自分が選んだポイントがいきなり、そしてドラマチックに活性の高い青物に取り囲まれ、ときには1キャスト1ヒットの天国モードに突入することが最大の魅力だ。

居着き狙いでこのようなパターンを味わおうと思えば、秘境の聖地にでも足を運ばない限りは不可能。大きなイベントが向こうからやってくるようなおもしろさが回遊狙いにはある。

そして、偶然そのイベントに出会うのではなく、事前の情報収集と考察で導き出した狙い通りのタイミングと状況で祭りが始まればいうことなし。これこそショア青物ゲームの醍醐味といいきってしまえるほどの喜びが味わえる。

また「回遊狙い=待ちの釣り」というイメージから、積極的に魚を捜すオフショアゲームなどに比べると釣果が乏しいと思われがちだが、実はそんなことはない。一級ポイントでは、その周辺を探る10人ほどのボート全体の釣果を、1つの磯からアプローチしている2人の釣果が上回ることも珍しくない。

確率アップの要因

ギャンブル的要素が強い青物の回遊狙いだが、僕は確率アップを実現するために以下の情報を大きな目安としている。

①通年の回遊パターンのデータ(水温、場所、潮流によるタイミング)。
②黒潮などの大きな海流、海水温の状況(海上保安庁の定期データ)。
③釣行エリア周辺の各漁協の漁獲高(ウェブサイトより情報を入手。青物をはじめイワシ・トビウオなどのベイト情報も含む)。
④各種釣り関連サイトによるイワシ・アジなどのベイト情報。
⑤地元の友人、知り合いの漁師さん、渡船店の情報。

まずは①~③でエリアを絞り込み、①、④、⑤で詳細な回遊パターンを見極める。この方法で年々精度が上がるよう努力しているが、根本的な考えとして青物の回遊を予測する前にベイトの回遊と種類、ステイ場所を把握することがアプローチパターンを決定する上でも重要となる。ベイトの回遊とステイがなければ青物の回遊はないのだ。

経験の浅いみなさんには有益な青物情報が出にくいインターネットの青物ジャンルの釣り情報よりも、渡船店や釣り具店の情報、口コミを柱とし、これにサビキ釣りなどによるベイト情報を照らし合わせて考え、場所やタイミング、釣り方を絞り込むことをおすすめしたい。

特に秋シーズンはマイワシや中型のウルメイワシ・サヨリ・コノシロの群れの回遊に要注目だ。これらのベイトの回遊は比較的長く続く上に正確で予測しやすく、大型青物の定期的な回遊も見込める。たとえ青物情報のない磯や堤防でも過去に実績のある場所なら、前述のベイトの回遊があれば思わぬ大物に出会えるチャンスがあるのもこの季節の魅力である。

ショア青物ゲーム 釣り方2
まずは柱となる情報でエリアを絞り、そこからタイムリーな情報を踏まえてポイントや釣り方などを絞り込むというのが一連の流れだ。

アプローチパターンの概要

回遊のドラマは海況に何らかの変化が現われたときに始まることがほとんどだ。その変化とは以下のような内容となる。

●潮目が接近する(遠ざかる)。
●鏡潮が発生する(なくなる)。
●急にベイトが確認できるようになった。
●ベイトの動きに何らかの変化が出始めた。

このような視認できる変化が現われたときはポジションを考えてその周辺にキャストすればOK。一方、潮の緩み始めや動き出しのタイミングは回遊の大チャンスとなるが目視しづらい。ポジショニングを間違えることが多く、微妙な回遊サインを見逃してしまうことも多い。

このようなときは図1のように潮流が緩むタイミングでは潮しも側、動き始めでは潮かみ側から回遊してくることが多い。そのため、それぞれの方向へキャストしやすく、ルアーアクションも演出しやすい場所にポジションを取ることが大切だ。

ショア青物ゲーム 釣り方3

ただし、岬の先端などは潮しも、潮かみの両方向にアプローチ可能だが、それゆえに意外と中途半端な攻めになることも多いので注意したい。

また、図2のように進行するナブラなら先頭の少し前方、円を描くようにボイルしているときは円の中心部を直撃せずに向こう側か手前、脇といった具合にホットエリアを少しハズしてルアーを着水させるようにしたい。

ショア青物ゲーム 釣り方4

直撃するとナブラやボイルが消えたり、ベイトに紛れてルアーをアピールできなかったりするなど、せっかくのチャンスをムダに終わらせてしまうことも多い。

退屈なブラインドでの回遊待ちの釣りが大半を占めるが、ショア青物ゲームはこの時間帯を制する者が最後に笑うともいえる。肝心なときに集中力が発揮できるようにうまく休憩を取り入れることも重要だ。そして、一度に長時間の休憩を取るよりも短時間のブレイクタイムを適度に取ることが得策といえるだろう。

さらに、休憩中も海から目を離さないなど、うまく休憩を取れる者が最後に笑うともいえる。これによって「ショア青物=ツラい釣り」という印象を大きくかえられるだろう。この点が回遊狙いの一番のキモだと思っている。

ショア青物ゲーム 釣り方5
状況の変化をいち早く察知し、アプローチに繋げることでヒット率がおのずとアップする。

ナブラへの対応

基本的にブラインド回遊(魚を視認できるナブラなどが発生しないパターン)のときは各種ルアーを駆使してさまざまなリトリーブコースを試すことになる。一方、ナブラやボイルが発生しているときはケース・バイ・ケースではあるものの、図2のようにボイル脇などのホットエリアにルアーをできるだけ長く止めるようにする。

ダイビングペンシルではトゥイッチ&スロー、シンキングペンシルではフォーリング&スロージャークでアクションを演出。ホットエリアをハズれたら高速リトリーブで逃げ惑うベイトを派手に演出するとともに、チャンスを増やす意味も含めて素早い回収を意識することがよい結果に繋がっている。

また回遊レンジについては、水面に青物の気配が感じ取れないときは推察するしかない。早春から春は青物が極小ベイトや小イカについていたり、ベラや小メバルを食っていたりとベイトが安定しないことが多い。そのため、ダイビングペンシルとジグを駆使して表層からボトムまで広いレンジを探ることが多い。

一方、水温の高い夏から冬にかけては15㌢を越えるウルメイワシ・マイワシ・ダツ・トビウオ・カマスなどのベイトの回遊が安定すると水深に関係なくダイビングペンシル(サーフェース)を起用する。これなら活性が低くてヒットに至らない場合でもチェイスなどの何らかの反応が得られるし、ときにはダイビングペンシルへのチェイスがナブラのきっかけになるほどの威力を持つ。これでヒットに持ち込めなければ水面直下→ボトムとレンジを探る。

このレンジパターンはベイトによって異なるが、僕の場合は秋にはペンシルで魚を浮かせてくるつもりでほとんどこのパターンで通している。

また、ナブラやボイルが起こったときは同じ魚がずっと水面近くにいるように思えるが、実際には図3のような行動を取る。

ショア青物ゲーム 釣り方6

宙層~ボトムの待機エリアからベイトを狙って水面まで浮上し、バイトの成功、失敗にかかわらず待機エリアに戻る。この行為を複数の魚が繰り返しているので同じ魚が水面にいるように思えるのだ。ここで押さえておきたいのは、水面はヒットに持ち込むのが難しいということ。少しぐらい違和感があってもバイトしてくる「おいしいレンジ(=魚が待機している場所)」があることを覚えておいてほしい。

周囲のアングラーが次々とヒットさせているときや、ナブラが発生したときはついつい興奮してしまう。そんなときに自分のルアーを無視されると焦ってしまうものだが、周囲の状況に惑わされずに落ちついて対応してほしい。たとえそれでヒットに持ち込めなかったとしても、何もわからないままヒットさせた1匹よりも次のチャンスに向けた大きなスキルが身につくはずだ。

それと、ショアゲームの場合は次々とナブラ撃ちができるボートと違い、ブラインドでの釣りを強いられることが多い。そして、魚がベイトを捜している状態(ナブラが起こる直前)の方がヒット率が高いということも強く意識してアプローチすべきである。

ショア青物ゲーム 釣り方7
まずはナブラのメカニズムを理解し、実戦では落ち着いて対応するように心がけてほしい。

※後編に続きます


【ショア青物ゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「ショア青物ゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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