【漢磯紫流儀 vol.1】ロックショアアングラーに必要な眼とは?
危険を察知する眼
磯での釣りは安全を脅かすリスクがつきまとう。無謀な判断でケガを負うようなことは絶対にあってはならない。上げ潮時や台風が南にあって北上している場合などは、1時間もあれば波高が1.5倍以上になったりもする。その中で足場が濡れているところまで前に出たり、同じ場所ばかりに視線を向けているのはよくない。磯では高い危機管理意識を持ち、決して油断しないよう注意したい。
たとえば波が当たる表面が釣りにならず、波裏で竿を出す場合などは思い込みと安心感から大きな油断が生じる。そこへ徐々に大きくなった波が回り込み、横や後方から叩かれて落水したり、低い位置まで落とされるといったケースもある。そうなると当然大きなケガを負うし、落水したらあっという間に潮に流され、冬場ならすぐに体力を奪われるだろう。いずれにしても油断が命取りになるということを肝に銘じておきたい。また、ランディングの事故も多いため、掛けた魚を安全に取り込める場所を事前に確認しておくことも不可欠だ。
私の場合、台風接近時などは釣行を控えるし、波高の限度を少しでも越えたと思ったら竿を置くようにしている。そんなときは早めに切り上げて風呂にでも浸かり、仲間とおいしいビールを飲むのが一番だ。次のチャンスが必ずあるので長い目で磯の釣りを楽しんでほしい。牙を剥いた自然に逆らって魚を釣ったところで決して格好のよいものではない。
タックルを選ぶ眼
釣行前はターゲットやポイントなどの状況を踏まえてタックルを準備する。いろいろとイメージしながらロッドの強度やレングス、メインラインの号数、ルアーの種類などを吟味するのはルアーマンにとって本当に楽しい時間である。
ヒラスズキ狙いであれば、向かい風の強さやベイトのサイズを想定する必要がある。たとえば、風速10㍍以上の強い向かい風が吹く予報であれば、ポイントに届くことを前提に重めのルアーを用意しておく。また、小型のベイトを想定してクリア系のシンキングペンシルをルアーケースに入れておくといった具合である。
青物狙いなら流行りのダイビングペンシルだけに頼るのではなく、動きにバリエーションのあるポッパーを用意しておきたい。さらに、足もとまで追尾してきたのに食わないという場面を想定し、シンキングタイプのダイビングペンシルをサラシになじませる作戦を考えるなど、自分なりにイメージを膨らませてルアーをセレクトしてほしい。
事前に自分なりの作戦を練った上で実釣に臨むことにより、攻め手の引き出しが増えて釣りの幅も広がるはずだ。そうやって釣果に関係なく限られた釣行チャンスを有意義なものにしたい。また、長く釣りを楽しむ上でもオリジナルの要素を多く含めて楽しんでいただければと思う。これは餌釣りの世界にはない、ルアーゲームならではの醍醐味なので思う存分楽しんでほしい。
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