秋はスキルアップのチャンス!! エギング力の向上を実現するための実戦的プログラム
ライバルの多い激戦区のフィールドは、エギングのウデを磨くには最適なシチュエーションといえます。アオリイカとの接点が多い秋はハイレベルな釣りを意識して技術の向上に努めましょう!!
解説:安田栄治
アプローチの精度を磨く
人的プレッシャーの増大もあり、手軽に狙える秋のアオリイカといえども以前のようにイージーに釣果を得るのは難しくなっています。しかし、幾分難易度が高まったことでゲーム性が向上し、春と比較すれば圧倒的にアオリイカの個体数が多いので接点も拡大します。大型が中心となる春イカに向けたレッスンにもなり得るわけです。ただし、従来の秋イカスタイルは高活性な個体を効率よく釣るための手法の1つに過ぎず、現状を打破するものではありません。秋イカの性質を見極めたうえで新たなスタイルを構築することが不可欠といえるでしょう。
アオリイカの産卵はショアからの射程内であれば港内やワンドのようなシケの影響を受けにくいエリアで行なわれることが多く、そこで孵化した新子は成長するにしたがって外海へと移動します。そして、成長過程における人的プレッシャーや食物連鎖における地位など、環境的要因によって秋のアオリイカは好奇心旺盛ながらスレやすく、活性もめまぐるしくかわります。
そういったことを踏まえ、エギングをいっそう楽しんでいくうえでは激戦区を制するスキルとアプローチ術を磨き、難易度の高い釣り場でのシビアな攻略を目指したいところです。幸いにも激戦区はシャローや視認できるストラクチャーが豊富なため、アオリイカの反応を見ながらスキルの向上を図ることができます。そこで得たスキルを元に少しずつステップアップしていけばいいでしょう。以降ではそれに向けた取り組み方や考え方について、私なりにご紹介したいと思います。
警戒心の高いアオリイカには控えめなアピールが有効
ハイレベルな釣りを実現するためには、タックル選択も重要となります。そして、私はフィネスタックルの持つ圧倒的な感度が膨大な情報をもたらし、軽量性による慣性の小ささや、ロッドのパワー不足によってアングラーのミスをカバーして餌木の不要な大きな動きを抑制してくれると考えています。このようなコンセプトのエギングロッドはリリースされていないのですべて自己責任となりますが、具体的には以下のようなタックルを使用しています。
ロッド=7㌳クラスで最大オモリ負荷10㌘以上のチューブラーティップのメバル用、もしくはソリッドティップのアジング用/リール=スピニングリール1000番クラス/ライン=PE0.2~0.4号/リーダー=フロロ1~2号
チューブラータイプのメバルロッドは荷重変化(潮流変化)なども明確に表現してくれます。また、ソリッドティップのアジングロッドは反響感度を明確にとらえるため、これまでに気づかなかった些細な反応の多さに驚くことでしょう。これらをうまく活用してハイレベルな釣りに反映させます。
エギング・サイトフィッシングの手順
今回は人的プレッシャーの高い、港内などのストラクチャー付近でのサイトゲームのパターンを取り上げたいと思います。現在のフィールドにおいては、激しいアクションは追い切れず、じらせば諦めるアオリイカが相手となります。アオリイカはセルフ・ディフェンス・エリアを形成し、自らの危険を省みずに餌木を追うことはありません。また、キャストを重ねることでプレッシャーが増幅し、最終的には餌木を見ただけでも拒絶反応を示します。
以上のことから攻略のキーは少ないキャスト数と移動距離でいかに確実に仕留めるかです。具体的な手順は以下の通りとなります。
①着水音が影響を与えない10㍍以上離れた位置に静かに餌木を投入。
②アオリイカが定位するレンジで漂わせるように餌木を引き、アオリイカとの距離が1㍍ほどになったところで停止。
③‐Ⓐアオリイカが興味を示せばステイ、バイトに至らなければフォール。追ってきたら停止。
③‐Ⓑアオリイカが興味を示さなければ軽く2回ジャークして停止。ダメならフォールさせてステイ。
④反応を得られないor乗せきれなければ50㌢ほどリフト。ステイさせたのち、タダ巻きによる水平移動、フォールなどで反応を見てダメなら回収(※一連の動作をスムーズに行なって餌木を見切られないようにする)。
⑤餌木のサイズを小さくして①~④を再び試す(これによって躊躇することなく餌木を抱くこともある)。
これでもダメなら時間を空けて再トライ。学習によるスレ化がリセットされやすい朝イチやシケ後のタイミングも狙い目です。ハードルを下げてまでトライする理由は、産卵パターンと並んで最も難しいことから少しずつステップアップすればいいと考えているからです。
また、ディープや急潮流ポイントは攻めきられていないのでそれほどプレッシャーも高くなく、サイトで培った精度の高いアプローチを展開できればまったく問題ありません。高感度なタックルがアシストしてくれるでしょう。
ただし、基本的な知識は不可欠です。活性の低いアオリイカはボトムやストラクチャーにタイトにつき、活性の上昇とともにレンジも上がります。外海エリアは他のフィッシュイーターの回遊もあるので日中はボトム攻略がメインとなりますが、活性やレンジもめまぐるしくかわります。
他にも急流ポイントでは流れが緩む(餌木が沈む)スポットが必ずあるのでそこを捜すのが得策です。そして、潮流の影響を軽減するにはティップを上げて水中に入るラインの量をできるだけ少なくすることです。逆に風の影響を軽減するためにはティップを下げて空中のライン量を減らします。
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