【VSキハダマグロ etc】遠征釣行コンプリートガイド《長崎県・男女群島編》 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

【VSキハダマグロ etc】遠征釣行コンプリートガイド《長崎県・男女群島編》

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キハダマグロ・男女群島1

自分の経験値を一瞬で越えていく魚が待ち受ける魅惑のフィールドが男女群島だ。安全面の意識を最大限に高め、激流に潜む規格外のファイターと対峙しよう!!

解説:常岡紘次

男女群島の魅力

今やショアアングラーの憧れの聖地となった男女群島とは、長崎県五島列島福江島の南西約70㌔沖に浮かぶ無人島群で、北から男島、クロキ島、寄島、ハナグリ島、女島から構成される絶海の孤島である。古くから熱心な上物師や底物師が竿を出しており、尾長グレのシーズンとなる厳寒期などは100個所以上のポイントがありながらも、乗る場所を見つけるのに苦労するほどの賑わいとなる。幸いにして我々ルアーマンが訪れる最盛期のシーズンとは重ならないため、ポイントが競合することはほとんどない。

対馬海流の恩恵を受ける周辺は好漁場としても知られており、五島や熊本などからも多くの漁船がきているが、近年では近隣諸国からの密漁船などを監視する海上保安庁の巡視艇を頻繁に見かけるようになった。暖流のど真ん中に位置するおかげで磯回りの潮流は近海の沖磯とは比べものにならないぐらい速いうえ、複雑に流れている。そして、この潮こそが大型の回遊魚を頻繁に磯際へと寄せるキーポイントになっている。

足もとからいきなり水深が50㍍以上あったり、地元で使っている道具立てではまったく歯が立たない速さの潮流など、釣り師のスキルが大いに試されるフィールドであることは間違いない。そして、ショアでは規格外といえるサイズの魚たちが待ち受けている魅惑の海域ゆえ、一度足を踏み入れると二度と抜け出せなくなる病?を発症する釣り人が多発しているのが現状である。

狙いは大型のキハダマグロ

秋シーズンは磯から狙えるターゲットが最も豊富になる。ヒラマサやカンパチなどが好期を迎えるが、ここを訪れるほとんどのアングラーがメインターゲットとしてキハダマグロに照準を合わせているだろう。

実際に磯からマグロ類を狙って釣るとなると週末を利用した2日間程度の日程では非常に困難だが、男女群島はそれをさほど難しくない目標として狙うことができるだけのポテンシャルを持っている。過去には18名でチャーターした1泊2日の釣行で16名がキハダマグロをヒットさせ、13名がキャッチ。最大39㌔を筆頭に20㌔オーバーが4匹も混じるという、オフショアの遊漁船並みの釣果に恵まれたこともあった。もちろん、毎回そのような好釣果が得られるわけではないが、一例としてそれほど夢のあるフィールドだということだけは認識しておいていただきたい。

また、春から初夏にかけても青物が活発に食う時期である。産卵を控えた乗っ込みのブリやカンパチが浅場に入ってきて磯回りを賑わしてくれるうえ、キハダマグロに関してもこのシーズンの方がアベレージサイズがよい傾向にある。

キハダマグロ・男女群島2
私の本命はショアから釣れるターゲットの最高峰の1つといえるキハダマグロ。この魚を狙って男女群島を訪れるルアーマンが多い。
キハダマグロ・男女群島3
秋シーズンはカンパチやヒラマサなどの大型青物も好期を迎える。

事故の予防と対策は万全に!!

男女群島へ一番近い高速瀬渡し船でも港から最低2時間半、遠いところで5時間程度かかる。最近では携帯電話の電波が入らない場所を捜す方が難しいぐらい便利になったこの世の中で未だに電波を拾えず、磯で何かあっても緊急連絡手段さえもない状況となってしまうため、釣行前の準備や安全対策はしっかりと整えておく必要がある。

基本的には近くに瀬渡し船が待機しているケースはマレなので、事故が起こらないように自分たちで十分注意しなければならない。また、もし何か起こった際に可能な限り自分の身は自分で守るスキルが求められる。

ライフジャケットや磯靴などの基本装備はもちろん、落水時に救助用として使うスローロープや怪我をした際の携帯用救急グッズなどは必ず常備してもらいたい。常連の人たちの中には発煙筒やダイビングなどで使用されるレスキューフロートを持参している方もいるぐらいだ。

ルアー釣りで瀬上がりするポイントのほとんどは足もとから激流が流れているため、一瞬の気の緩みが大きな事故に繋がるということを十分に理解しておく必要がある。その準備と心構えがしっかりとできていれば、目前にある紺碧の海とどっぷりと向き合う資格を得ることができる。

磯泊まりについて

渡礁後の過ごし方についてだが、私の場合は基本的に磯泊まりはぜず、夕まづめに釣りを終えたら船に回収してもらい、船内でひと晩ゆっくりと休息を取るようにしている。その方が荷物の少ない身軽な状態で遠征に臨めるし、磯の上で就寝するよりはフラットな船内の方が深く眠ることができ、翌日の疲労度も随分と少ないからだ。

磯泊まりをする場合は簡易ベッドやテントなど、雨や夜露を避けられる道具が必須である。予備のライト類や携帯コンロなどもしっかりと用意しておく。また、夜中の天候の急変に備え、それらの荷物は常にコンパクトにまとめておく。緊急回収となった際にモタモタしていると以後のグループを回収することができなくなる恐れもあるため、いつでも即座に撤収できる態勢を整えておくことが大事だ。それに、視界が効かない夜間の磯ではちょっとした不注意が大きな事故に繋がりやすいため、細心の注意を払って行動してほしい。

キハダマグロ・男女群島4
磯泊まりは何かと危険を伴うため、船上でしっかりと休息を取るパターンがおすすめだ。

アクセスプラン

男女群島へ瀬渡し可能な近海許可船の母港は長崎県の北部や南部に数個所存在しているが、私が頻繁にお世話になっているのは佐賀県呼子港を拠点に出港している「日乃出丸」さんだ。

九州の空の玄関口、福岡空港から車で2時間以内の距離であるため、関西や関東から遠征にこられるアングラーであっても、週末のみを利用した釣行が可能な利便性のよさも魅力のひとつである。もちろん、福岡市在住の私にとっては車での移動距離が短く、帰路の運転時間が少ないので疲労軽減に繋がっている。

私の場合、週末に釣行するなら金曜日の深夜23時ごろに呼子港を出港し、土曜日の早朝4時ごろに男女群島に到着。日曜日の昼12時に回収、夕方17時帰港というスケジュールを組んでいる。これはあくまでも天候がよいときの場合で、状況によっては時間を繰り上げたり、1日のみで帰港することも珍しくない。

いずれにせよ、秋シーズンは毎週末に出港できるほど人が集まるわけではない。餌釣り師の予約があるときや連休絡みのタイミングでなければ、ルアーマンだけでの出港は難しいのが現状だ。基本的に1泊2日の渡礁料金は4万円と組合で決められているため、たいていはどの瀬渡し船も最低10名ほどは集まらないと出港してくれない。

最近ではシーズンになるとプロショップがツアーを組んで瀬渡し船をチャーターすることがあるので、まずはそういったツアーを見つけて参加し、経験を積むのがよいだろう。

キハダマグロ・男女群島5
暗い時間帯に渡礁。スムーズに行動できるよう荷物はコンパクトにまとめておきたい。

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