南紀の地磯で大型ヒラスズキと紙一重の攻防を展開 |【漢磯紫流儀 vol.4】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

南紀の地磯で大型ヒラスズキと紙一重の攻防を展開 |【漢磯紫流儀 vol.4】

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磯のヒラスズキゲーム 南紀1

ヒラスズキを狙って久々にホームの南紀へ。狙いの潮位に合わせて遅めにスタートし、じっくりと自分の釣りを展開したところ、満足感と悔しさを同時に味わう1日となった。これだからヒラスズキゲームはやめられない!!

Text & Photo 赤木光広

 

webでは初となる漢磯紫流儀シリーズでの釣行記編。再びこういった形で再開できることは本当に嬉しく、新たな気持ちでスタートできることがありがたい。みなさまに喜んでいただけるよう、結果のみに執着せず、自分らしく楽しい釣りを紹介していきたいと思っている。

まずは私が大好きな磯のヒラスズキゲームからスタートしたい。やはりこれからの時期はコイツとの磯遊びが待っている。それではみなさま、今後ともよろしくお願いいたします!!

寒波の到来とともに南紀の磯へ

去年の同時期ならすでに10回前後は寒波がきていたと思う。しかし、2018年は11月中はたいして吹かず、12月を過ぎてようやく北西の冷たい季節風が吹き荒れた。これにより外気温もグッと下がり、冬らしい気候へと変化してきた。わずか数日で気温が急激に下がったので体調管理も大変である。

しかし、魚たちはこの寒波で間違いなく冬支度のスイッチが入っただろう。そこで長らく出向いていなかった南紀の磯で竿を出すことに。季節風と真っ向から対峙するべく、お気に入りのヒラスズキロッドを携えてフィールドへと向かった。

私の場合、ヒラスズキ狙いなら大阪南部の自宅を夜明け前ぐらいに出発することが多い。激戦区の和歌山で週末のそんな時間に出発したらポイントが空いていないのでは?   という声も聞こえてきそうだが、それはそれでいいと考えているし、その中でうまく立ち回ることもテクニックの1つである。

さて、現地に到着するころにはすでに周囲が明るくなっており、海岸線から波高をじっくりと観察。その日の釣りの組み立てを考えながら、エントリーできそうなポイントを捜して車を走らせる。特に大潮の日であればまったく焦る必要などない。なぜなら午前5~7時ぐらいに満潮になることが多く、その場合のベストな潮位は9~10時前後となることが多いからだ。今回もそれを逆算してしっかりと睡眠を取ってからやってきたわけだ。

ポイントセレクト

この日は白浜周辺の磯を中心に、波高の変化を見ながら徐々に北へ移動しようと考えていた。有名ポイントにはこの日を待ち望んでいたであろうアングラーの姿が見られ、すでにキャストを繰り返している。

その中で白浜南部のポイントが気になったので、朝イチに青物を狙っていたアングラーが引き上げるタイミングで入れ替わるようにエントリーした。ポイントに到着するとベイトが多いのか鳥が低空飛行しており、雰囲気的には申し分なしであった。そんな中、期待に胸を膨らませながら愛竿のエクスセンスS1100H/Rワイルドフルコンタクトにお気に入りのタイドミノーSLD145Fをセットした。

磯のヒラスズキゲーム 南紀2
当日エントリーした白浜南部の磯はヒラスズキが釣れそうな雰囲気を醸し出していた。

この時期のタックルセレクトにおいては私なりの考えがある。それは春の南西からのウネリとは違って北西の向かい風の中での釣りとなるため、ロッドはスローテーパーよりもシャキッとしたファストテーパー気味のタイプが使いやすいということ。強い向かい風に負けず、ピンスポットを狙いやすいのだ。

また、セットするリールはシマノの4000番クラスがロッドとのバランスがよい。ギヤは強風時に糸フケを回収する速さなどを考慮するとXG(エクストラハイギヤ)タイプが妥当だ。これにP E1.5号+フロロリーダー7号(2.5ヒロ)をセットしている。

ナチュラルなアプローチが威力を発揮

さて、話を釣行の模様に戻すと、ミノーをいつものようにループノットで接続し、波と風のタイミングを計る。やはり風が弱まってサラシができるタイミングなら精度の高いアプローチを繰り出しやすく、ヒットに持ち込みやすい。この日もタイミングを見計らってキャストすると、1投めから狙いのピンポイントにミノーを置くことができた。ヒラ師はこれだけでも充実感に満たされる。このような感覚も磯のヒラスズキゲームならではの世界観だと思う。

ルアーが着水したあとは割と派手に動かしてヒラスズキの意識をルアーに向けるよう仕向ける。このとき、ヒラスズキは「ベイトがサラシへと向かってきた!!」と感じ、臨戦態勢に入って絶好の捕食のタイミングが訪れるのを待っているのではないかと考えている。それを前提に、サラシに突入する小魚(ルアー)があたかも泳ぎを乱したかのようなアクションを演出するためにラインを張らず緩めずの状態でキープすると、ミノーはサラシの複雑な流れによって左右にヨタついた。そして、横からの大きな流れの影響を受けた直後に鋭いアタリが!! その直後に強烈な力でロッドがグイグイと締め込まれた。

魚がなかなか浮いてこないので青物の存在も頭をよぎった。大抵のヒラスズキはヒットから1分少々で必ずエラ洗いを見せるが、大型ほど水面を割るまでの時間が長い傾向がある。このときも足もとまで寄せたところでようやくスローで派手なエラ洗いを見せた。グッドサイズのヒラスズキのジャンプを目の当たりにして私の心が舞い踊る。

ここからは焦らずにロッドを十分に曲げて魚に負荷をかけ、疲れて動きが鈍くなるのをじっくりと待った。するとヒラスズキはようやく腹を見せたので、寄せ波のタイミングを見計らって波打ち際へとズリ上げた。キャッチしたのは80㌢オーバー、5㌔アップの見事なプロポーションをしたヒラスズキだった。この魚体の美しさは何度見ても飽きない。先ほどまであれほど冷たく感じていた北西風がこの瞬間は不思議と心地よく感じられる。ヒラ師にとってはまさに至福のときである。

磯のヒラスズキゲーム 南紀3
撮影を済ませ、感謝を込めてそっとリリースした。

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