マイクロベイトの微波動を演出してマルスズキを攻略‼
かすかな動きの変化で食わせる
アプローチについては「違和感なく誘い、違和感で食わせる」というイメージでバイトに持ち込む。まずはルアーをナチュラルに泳がせ、積極的に餌を捕食しないシーバスに違和感を与えないように注意しつつ、餌の存在をアピールする。続いてルアーに一瞬の違和感を与えてターゲットの補食スイッチを刺激するといった具合だ。
釣りを成立させるためには、まずはフィールドの状況を把握してベイトが流される方向や溜まる場所、シーバスが潜むであろうピンポイントを特定する必要がある。また、最も重要となるのはルアーをベイトに同調させることだ。そこからアプローチの流れを考えてバイトに持ち込みたい。
とはいえ、極小ベイトが発しているであろう微小な波動や動き自体をルアーで演出するのは難しく、単に流すだけでは浮遊物に過ぎない。そのため、まずは明るい時間帯に使用するルアーのスイミングスピードや潮流によるアクション、ロッドから伝わる抵抗などを確認しておく必要がある。そこで視覚情報と操作感をマッチさせるよう努めたい。
具体的にはロッドティップから伝わる抵抗変化やリーリング操作、ティップアクションに神経を集中させる。ルアーが泳ぎだすスピードやアクションの大きさ、沈下速度などをイメージとしてだけではなく、視覚で確認して自身の感覚(手感度)としてインプットするわけだ。
さらに、アクセントとして加えるアクションについては動きを大雑把に確認するのではなく、繊細なロッドティップだからこそ演出可能なルアーのテール部分だけを少し動かすパターン、ティップのテンションを抜いた際のスピードダウンやフォールを確認。また、あくまでもイメージではあるが、フックだけを動かすといった微細なティップ操作を体に覚え込ませたい。そして、実釣ではそれらを元にアプローチを組み立てる。
この抵抗ならルアーが動いている、このラインテンションでは漂っているだけ…など、繊細な感覚に意識を巡らせる。常にその点を追求することで魚が応えてくれるはずだ。
ティップがわずかに入るテンションをキープ
具体的なアプローチ法としては、まずは遊泳力の弱い極小ベイトが漂うであろう流れやヨレを目で見て捜す。夜間に得られる視覚情報は限られているが、浮遊するゴミなどを参考にするとわかりやすい。
狙い目のポイントを絞り込んだらさっそくアプローチを開始するが、ここで注意したいのはリーリングスピードだ。遊泳力の弱い極小ベイトが流速より速く泳ぐことはない。そして、ルアーの頭を潮しもに向け、張らず緩めずを保つことでルアーが本来持つニュートラルなアクションが演出できる。
この微妙なラインテンションはティップが数㍉入る程度の非常に繊細なものである。これはアングラーの手もとに明確に伝わる感触ではなく、頭の中に思い描く世界なので自分なりの感覚を構築してほしい。
また、食わせの部分ではターンなどでルアーの存在感を示し、ターゲットに何らかのシグナルを送る必要がある。このときに派手なアクションを演出すると警戒心を与えることになるので要注意。ここでもティップが数㍉入る程度の繊細な動きをアクセントとして一瞬だけ加える(緩める、テンションをかける、弾くなど)。
正直、自分自身も「今ので本当に動いているの?」と疑ってしまうレベルのアクションである。しかし、その動きこそが捕食のきっかけになることは間違いない。シビアな状況での打開策としてぜひ一度試してほしい。
《参考タックル》 ロッド=ダイコー・ノクターンS83L/リール=シマノ・ヴァンキッシュ2000S(ハンドルはリブレ・ウイング80に交換)/ライン=ゴーセン・メバリン0.3号/リーダー=ゴーセン・フロロファイタージュード2号/ルアー=ダイワ・月下美人 澪示威(れいじい)6S
(SWゲームフィッシングマガジン 2016年1月号より)
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