スキルアップを実現する名手のスタンス《PART1》
オフショアジギング
常識を非常識と捉えれば新発想が…
村瀬清之
[spacer]以前にシーバスゲームをやっていたころ、ブレードのついたスピンテールジグが注目されだしたときには衝撃を受けました。それくらいシーバスがよくアタッてきたのです。そこで、これをジギングにも流用したいと思い、メタルジグのテイルにブレードをつけてみました。すると、確かによくアタるものの釣れません…。
当時はフロントにアシストフックを1本だけというセッティングだったので、ブレードにバイトしてきてもフッキングに至らなかったのです。ならばと、ブレードと一緒にフックをつけましたが、それだとブレードがうまく回らないうえ、見た目もよろしくないということで、それより先は考えるのをやめました。
ないモノは作る
それから10年近く経過し、スローピッチジャークが世に広まり出したころ、ふと思い出して再度ブレードを試してみました。このときはブレードの取りつけ位置にフックをつけたところ、魚がバンバン釣れるようになりました。それを、自分だけで楽しんでいればよかったのですが、より突き詰めて商品化しようと考えてしまったのが大きな間違いでした(今となってはよかったのですが)。
最初に考えたのは、既製品のブレードとアシストフックを一体化したようなものです。ジギングで使用するからには錆びやすいブレードは交換できるようにしたいし、フックも交換できるのがベターです。それを踏まえて開発を進めました。
ところが、既製品だとブレードの交換が容易にできないうえ、フックの製作にも少々難点がありました。いちおうの形ができあがってからも、本当にこれでいいのか? と自問自答を繰り返しました。
そんなとき、小学生のころの記憶が蘇りました。親からもらったスピナーを見て、疑問に思ったことがあったのです。それは、使っているといずれ錆びるのに、大半のスピナーはブレードやフックが交換できない構造になっていたことです。
すでにオヤジになっているのに子どものころの疑問が解決できていないなんて…と思い直し、既製品を使用するという制限要因を取り払いました。すると、すぐに答がでました。ないモノは作ればいいんです。アシストホルダーを製品化したときも同じ思いでした。枠にとらわれずにイチから作るのはお手のものです。
ただ、プロトタイプは自分で作れても、いざ量産しようとするとなじみの加工屋さんにはできないと断られました。そんな折り、プロトとして展示会に出展していたら、見にきていたお客さんが「この加工はどこでやっているの? うち以外にこんな加工できるところがあるんだね~」と声をかけてこられ、その会社に加工をお願いする運びとなり、ようやく完成に漕ぎ着けました。
[spacer]常識にとらわれるのは危険
小さいころから、釣りに関しては常識にとらわれずにやってきました。常識は知っておくに越したことはありませんが、それにとらわれるのは一番怖いことです。皮肉ないい方をすると、私は常識こそが非常識だと考えています。常識にとらわれると新しい発想がでてきませんし、発展もしません。
「この魚を釣るにはこのやり方が一番いい」といった決めつけをしない方がいいと思います。「ひとつの方法としてこんなやり方もある」ぐらいに留めておきましょう。釣りに限らず、工夫すればやり方はいくらでもあるはずです。
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