【メバリング】目差せスピードマスター
アクション、タックル、リグのタイプやウェートなど、「スピード」に関係する要素は実にさまざまだ。そのわずかな違いで釣果が大きく左右されるライトゲームでは、自分なりの感覚を養ってスピードの基準を設定することが重要となる
解説:広川嘉孝
スピードの重要性
メバルゲームにおけるスピードの考え方はかなりシビアで、リグのウェートやリーリング速度、アクションなどのわずかな違いで大きく反応が異なるケースは多い。また、個人的にはアングラー自身のメンタル面と密接に関わっていると考えている。
たとえば、「釣れる気がしない…」といった弱気なときほどリトリーブスピードが乱れ、半信半疑な状態で釣り続けていい結果に恵まれないことが多い。逆に気持ちが落ち着いているときは自然と釣れるスピードを把握できているもので、状況変化にも対応できて釣果を伸ばせることが多い。
そんなスピードの違いによる釣果の差は仲間との釣行時に実感させられることが多い。以前に3名で釣行した際、私以外の2人は速いリトリーブスピードでゲームを展開していた。そして、その2人の間に釣り座を構え、あえてスローに誘ったところ、私だけが連発。これは食わせのスピードを意図的に作りだしたわけだが、釣友2人は「釣れる気がしない‼」と意気消沈。このようにペースを乱されることで釣りを見失うこともあるので注意したい。
これはわかりやすい例だが、単独釣行の場合はなかなか答を見つけだすのは難しい。「速いスピードでやる気のある個体をチェック→徐々にスピードを落として反応する個体を拾っていく→食いが渋くなれば、スピードやアクションに緩急をつけて…」といった具合に状況に応じてスピードをかえながらパターンを捜し当てるしかない。つまり、状況によって適切なスピードは刻々と変化するわけで、セオリーなどは存在しない。
やはり、安定した強いメンタルと経験に基づいた自信こそが、理想的なリトリーブスピードの演出に繋がるのではないだろうか。
適切なスピードを捜し当てるには?
前述のように明確な基準は存在しないが、まずは基本となるスピードを自分なりに設定しておくことで釣りが組み立てやすくなる。これは具体的なリーリング速度ではなく、引き抵抗を感覚として掴んでおくということだ。私が基本としているスピードは「速くもなく、遅くもなく」といったイメージである。
軽量リグを使用するライトゲームで引き抵抗を目安にするのは難しいことだが、同じタックルを使い込み、その微妙な感覚を体に覚えさせるしかない。そうすれば「魚が食う重さ(=スピード)」が自然とわかるようになるはずだ。特に視界のきかないナイトゲームでは大きな武器となるだろう。
言葉で表現するのは難しい部分だが、2000番前後のノーマルギヤ(ハンドル1回転の巻き取り量が70㌢前後のもの)なら2秒でハンドル1回転が標準的なスピードの目安と考えればいいだろう。
私は1500番クラスをメーンに使用しているが、ベタナギ時に2500番クラスのハイギヤタイプを使用したところ巻き抵抗から1㌘のリグの存在を感じ取るのはかなり困難だった。わからないなりにも釣果を上げることはできたが、やはり繊細なライトゲームには不向きだと感じた。
流れを横切らせないスピードを意識して…
ナイトゲームで基本となる一定レンジのリトリーブを想定した場合、リグのウェートとレンジキープがリトリーブスピードの決め手となる。軽量なリグならスローリトリーブでも表層付近をトレースでき、緩い流れを利用して潮になじませながらフラフラと漂う遊泳力の弱いベイトを演出することもできる。
ウェートアップしたリグで宙〜底層を狙う場合も、流れを横切らせないイメージでリトリーブすることが重要だ。具体的には手もとに伝わる抵抗から潮の重みを感じ取って調整していく。
感覚的な話になってしまうが、流れの抵抗に逆らわないスピードを意識することが大切だと思っている。その重みがわかるようになれば、違和感程度の些細なアタリを察知できるだろう。
また、捕食しているベイトの種類によって好反応を示すスピードが異なることもあるが、極端に緩急をつける必要はない。基本の巻き速度で十分に対応できるだろう。それよりも、アクションやワームのサイズなどによって釣果が左右されることが多いと感じている(厳密にいえば、スピードの違いも関係しているかもしれないが…)。
常夜灯回りなどの明暗のある釣り場では、明るいエリアはトゥイッチやストップ&ゴー、フォールなどで捕食のスイッチを入れ、リアクション気味に食わせることを意識している。ベイトが見られる場合は良型が派手にバイトしてくることもあるが、たいていは小型がメーンとなる。そういった好奇心旺盛な若年魚はリトリーブスピードよりもリアクションを誘発するサソイで数を伸ばしやすい。
さらに、そのようなポイントでメバルがライズしているにもかかわらず口を使わない場合は、プランクトン系の餌を捕食していることが多い。こればかりはルアーで演出できるサソイの域を越えていると感じる。「人間の目に見えないものを偏食しているのに、人間の目に見えるリグで挑むのは無理がある‼」と、指をくわえて違うポイントへと足を向けることにしている(笑)。
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