【ヒラスズキゲーム】的確なアプローチをイメージして技を磨く
ヒラスズキといえば真っ先に荒磯をイメージするが、他にも河川や湾内などの比較的穏やかな場所でも狙うことができる。当然、各フィールドや時間帯によって攻略パターンが異なるから…
解説:広川嘉孝
まずはベイトの存在をしっかりと把握
ヒラスズキを狙ううえでは、シチュエーション別に攻略法が存在するということを頭に入れておく必要がある。同じヒラスズキゲームでも磯や河川、サーフ、ゴロタ浜など、フィールドがかわればシーズンも狙い方も異なる。また、比較的穏やかな湾内と荒磯、デーorナイトゲームといったところでも大きく狙い方が異なる。
そのようなシチュエーションに加えて重要となるのがベイトの存在だ。釣行時にヒラスズキが捕食しているベイトの種類やサイズは? それに応じてルアーの大きさや波動、レンジを合わせていくことが大切だ。それらに加えて時間帯や光量、潮のきき具合から時合をつかむ。いずれも基本的なことであるが、ヒットに持ち込むにはそれぞれをしっかりと把握して戦略を練る必要がある。
磯や河川では流れを利用したアプローチが有効
[spacer]磯場
ポイントを観察して押し波や引き波、波同士がぶつかる場所、流れと波が複合する場所などを把握し、その中にルアーを投入して泳がせるタイミングが最重要となる。流れに負けじとゴリゴリ巻くだけで食ってきたら話は早いのだが、好条件が揃っていて魚の活性がよほど高くない限りはそのようなアプローチでヒットに持ち込むのは難しい。
まずヒラスズキは弱ったベイトを効率的に狙い、遊泳力の低いベイトが波に揉まれて泳ぎを乱したときにアタックしてくるということを念頭に置く。もちろん、ヒラスズキ自身も荒れ過ぎの状況では自由に泳ぐことができないだろうが、ほどよく荒れた海況の中では優位に立ってベイトを捕食する。その中で風や波、またフィッシュイーターによって岸際まで追い込まれた遊泳力の低いベイトを意識してルアーを操作するわけだ。
ルアー操作のキモは流れを切って泳がせないということ。波や潮流を横切ったり、逆行させると遊泳力が強い魚、ヒラスズキからすると捕食しにくいベイトということになってしまう。流れに負けてフラフラと泳いでいるベイトを演出することが大事だ。そのため、過度なリーリングは控えて揺れながら弱々しくルアーを泳がせるように意識したい。
文章で説明するのは難しく、一概にはいえない部分もあるのだが、とにかくイメージをしっかりと頭に叩き込んでルアーを操作することが大切だ。そして、ヒラスズキが待ち構えているであろう磯際やシモリ際をきっちりとトレースしてヒットに繋げたい。
荒れた天候の中ではラインテンションが緩んだ状態になっていることが多いため、アタリが明確に伝わることが少ない。違和感を覚えたらすぐに合わせを入れるクセをつけておくことも大切だ。そのあたりの対応もルアー操作と同様に経験を積んで体で覚えていくしかないように思う。
河川や潮流の速い場所
流れにつく個体を狙うことになるが、基本的な考え方は磯と同じ。流芯や流れに対してルアーをガンガン横切らせると、強い魚を演出することになる。いくらマッチ・ザ・ベイトを意識したルアーを使用していても、泳ぎ方が違えば見切られる以前に興味を持ってくれない可能性が高くなる。
立ち位置によって流れを横切らせることになる場合は、流芯の奥や手前、流れの速まる手前や流芯を抜けて流れが弱まる場所でルアーをフラつかせてバイトを誘発する。たくさんのベイトが流されたりしている場合は流芯で「ドカン‼」とヒットすることも多々あるが、やはり強い流れから抜けたところでヒットすることが多い。そこでルアーを泳がせ過ぎないように注意して、フラフラと泳ぐ弱いベイトを演出するといった具合だ。
そして、ストラクチャーが絡む場所は流れの強弱がより明確になるため、そこを重点的に狙うようにしたい。たとえば、河口のテトラ帯などの場合は沈みテトラによって流れのヨレが形成され、そこが魚のつき場や待機場所、回遊コースになるので狙い目だ。同様にサンドバーや岩、川の合流点、人工構造物回りなども流れの変化が生じるのでベイトが泳ぎを乱しやすく、ヒラスズキにとっては絶好の捕食場所となる。
湾内などの比較的穏やかな場所
水質がクリアなことが多いのでヒラスズキの警戒心が緩むナイトゲームが主体となる。また、ベイトがいなければほぼ成立しないパターンである。もちろん、居つきの個体はいるだろうが、こちらは数投で見切られて終わることが多いように思う。それだけにヒットさせてバラすなどしたらその後は期待薄の状態となる。
一方、前述したようにベイトが湾内や港内に溜まっていたり、押し寄せられている場合は期待度がグンとアップする。常夜灯が設置されていればプランクトンから始まる食物連鎖でベイトが集まり、ヒラスズキのボイルがひと晩中、定期的に続くようなこともある。
このような場所では磯や河川のように流れを利用したナチュラルなアプローチが難しいため、リアクションバイトを誘発するか、マッチ・ザ・ベイトをフィネス寄りに持っていくことになる。
私がよく釣行する和歌山や四国では5~6㌢のカタクチイワシやキビナゴといった比較的小さめのベイトが多く、ルアーサイズと波動が必然的に弱めとなる。そして、様子をうかがいながら反応がなければルアーカラーはナチュラルからクリア系、ルアーはワームも使用してサイズダウンさせていくといった具合だ。
リアクション狙いの場合は元気なベイトが活発に泳ぎ回り、うっかりヒラスズキの前に姿を現わしたというイメージである。具体的には速巻き、ストップ&ゴー、フォールを多用しつつ、反射的にバイトスイッチを入れる。ただし、このパターンは長続きしないというか、食わせることができても再現性が低い。したがってファーストアプローチ、もしくは奥の手的な感じで用いている。やはり水質がクリアで常夜灯の明かりがあるような場所では魚がスレるのが早い。
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