春の九州離島遠征記|釣り・酒・旅を楽しむ〝漢の春遠足〟【漢磯紫流儀 vol.8】

春の気配が感じられる3月中旬、友人と2人で九州の離島へ遠征。釣果だけにこだわらず、フェリー移動や現地の食、ゆったりとした時間も含めて楽しむのが我々のスタイルだ。厳しい海況の中での実釣と、最後に訪れた一瞬のチャンスを追った3日間の記録をお届けしたい
Text&Photo 赤木光広
春の離島遠征へ。旅も釣りも全部楽しむスタイルを実行
春の気配が少しずつ感じられる3月中旬。友人の土師君と2人、いつもの九州離島遠征へと旅立つことにした。
近年は、ひと昔に比べて秋の水温の低下が遅く、春の水温の上昇が遅いという傾向にある。今回はやや早めのタイミングだが「丸ボウズ上等!! 何か釣れるんちゃうん」というユルいスタンスで決行。行き帰りのフェリー、現地の宿での食事、その土地の風土や人との交流も含めて楽しむのが我々の遠征スタイルだ。
タックルはもちろん、酒や料理の準備を整えてお気に入りの阪九フェリーに乗り込み、夕暮れの泉大津港を離岸して旅が始まった。
このフェリーを九州遠征で利用するようになってからずいぶんとたつが、とにかく快適である。感覚としては、旅館に泊まって目が覚めれば九州に到着している、という具合。まるで〝どこでもドア〟のようだ。
今回も個室で夕陽に染まる大阪湾を眺めつつ用意した料理に泡の立つ琥珀色の飲み物を合わせてスタートとなった。


いつもながら他愛もない話に花が咲き、あっという間に5時間が過ぎた。その後、しっかりと睡眠を取って起床すると九州へ到着。下船後は再びフェリーに乗船して離島へと渡る。
午後には目当ての離島へ到着。レンタカーでポイントへ向かうと、北風6mほどで波が多少ある状況だ。
ヒラスズキを軸に多様なポイントを狙って多魚種に期待
タックルは11㌳のロッド、C5000番のリール、PE1.5号、リーダー8号というもの。ヒラスズキ狙いを軸にしつつ青物・根魚・マダイまで幅広く対応する構成だ。
狙いはサラシに限らず、潮目やヨレ、地形的な部分など、変化のあるポイントはすべて撃っていく。サラシにこだわることなく、そうした場所をていねいに探ることでいろいろな魚種がヒットしてくる。それがまたおもしろい。
14㌢のミノーをセットし、心地よい潮風と最高のロケーションの中で釣りを開始する。しかし、頬に当たる飛沫は冷たく、厳しい展開が予想される。
偏光サングラス越しに見えるスリットなどの怪しいポイントをミノーをメインとして撃って探っていく。岬をかする潮によってワンドの入口に形成されたヨレは特に集中して狙う。
やがて干潮からの上げ潮が効き始めたタイミングで鋭いバイトが竿を襲った。ほどなくして赤く輝く魚体が反転し、ロッドを気持ちよく曲げる。本日のファーストフィッシュだ。

その後は反応が途絶えたことから、初日ということもあって早めに終了して宿に向かう。
冷えた体を風呂で温めてから冷えたビールと地元の魚料理を堪能する。土師氏いわく、これが〝漢の究極の時合〟とのこと。遠征の醍醐味を実感できる最高の時間であることは間違いない。はるばる遠くへきたからには夜通し釣るのもいいが、我々は「酒と料理とユルい実釣」が合っている。

ベタ凪の試練。離島のポテンシャルを信じて探ることで…!!
2日めは快晴、ベタ凪。何ともテンションの上がらない状況だが、離島のポテンシャルを信じて「何とかなるやろ!! 少なくとも1人は釣れるやろ!!」とポジティブに考えて広範囲を攻める。
開始早々、青物を狙ってフォールさせていた私のジグにヒット!! しかし、すぐに手応えがなくなった。100Lbリーダーを一瞬で切るのはサワラカッターに違いない。おそらく良型だろう。
その後、2人分かれて広範囲を攻める。上げの潮はいい感じだが、回遊魚の反応はなし。そこで亜鉛製ジグであるアオモノキャッチャーハイアピール64㌘に変更し、フワリとナチュラルに動くように潮に絡めて誘ってみる。これは最近のお気に入りのパターンで、ナマリ製のジグでアタリのないときや、潮が緩い時、晴天時などの厳しい条件下で非常に有効である。また、魚がスレた状況でも効果絶大だ。
しかし、ヒットしたのは良型のアカハタのみ。まあ、これはこれでうれしい1匹である。

その後、夕暮れまで粘ったものの本命からの反応はなく終了。この時点で土師君は魚をまだキャッチしていないが、宿へ向かう表情は明るい。むしろ、釣りをしているときよりも生き生きしているように見えるのは気のせいだろうか?
確かに我々の釣りはオンとオフがはっきりしている。睡眠時間を削ってまで釣りをしないし、車中泊をすることはほとんどない。風呂に入って、食事をして、しっかり寝る。そして翌日に元気に磯で遊ぶ。それの繰り返しだ。楽しむことも大事だが、元気に家に帰ることが最優先なのだ。
夕陽に染まるロックショアでグッドサイズ登場
3日めはさらなる好天となって無風状態。頼れるのは潮流のみということで、流れがきく時間帯を集中的に攻めることが求められる。
地磯を転々としたもののバイトはなし。そんな中、いいサイズのサワラをキャッチしている2人のアングラーに出会った。彼らは実績ポイントを親切にも教えてくださった。夕暮れまでの残り時間はここでやり抜くことに決める。
私はプラグ、土師君はジグで攻める。先にジギングを開始した土師君からは気合がうかがえる。何とか有終の美を飾ってほしいものだ。
時合の到来を告げるかのように夕陽が水平線に差しかかる。だが、潮はさほど流れておらず、海面の様子にメリハリはない。
そんな中「何かアタりましたよ」と土師君が声を上げた。その反応を得てジャークする気合はますます高まっている。一方でトップレンジを狙う私にアタる気配はいっこうにない。
太陽が水平線の半分まで沈んだころ、土師君のロッドがきれいな弧を描いた。初ヒットに興奮する土師君だが、海底付近での鋭いバイトからの強い引きに対して慎重にファイトしている。やがて浮上してきたのは余裕で1㍍を超えるサワラ。私がサポートをして無事にランディング成功。土師君の雄叫びとともに夕日に染まるロックショアゲームはフィナーレを迎えた。

釣果以上の満足感。酒と料理で締める遠征
立派なサワラは7㌔オーバーであった。最後に結果が出たこともあり、今晩のビールは格別だろう。
さあ、宿にて究極の時合の準備の開始。ヒラマサの刺身をつまみにして美味しそうにビールをあおる土師君。そして私が初日に釣ったマダイのアラ煮に日本酒を合わせる。これもまた最高だ。

決してよい状況とはいえなかった今回の遠征だが、魚の顔を見ることができて我々にとっては十分な旅となった。帰りのフェリーでも祝杯を上げ、次の遠征への思いが膨らむ。

今回、現地で出会った親切なアングラーに感謝しつつ、少し酔いの回ったこともあって心地よい揺れに身を任せて眠りへ。
さて、次はどんな出会いと魚が待っているのか──。
タックルデーター
ロッド:シマノ・エクスセンスワイルドコンタクト S110HR
リール:シマノ・ステラC5000XG
メインライン:クレハ・完全シーバス1.5号
リーダー:クレハ・フロロショックリーダー30Lb
ルアー:シマノ・サイレントアサシン140F/DUO・タイドミノースプラット145SF
【赤木光広・プロフィール】
激戦区の紀伊半島で磨いたテクニックと理論を武器に、ヒラスズキをはじめ、青物やマルスズキなどを求めて各地の磯で積極的に竿を出し、飽くなき探究心で進化を続ける熱血漢。結果よりもプロセス重視の釣りを心がけている。
※上記のリンク先にある「磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。
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