磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて
パワーのあるロングロッドの使用を考慮
解説:星野大輔
ヒラスズキは河口やサーフ、漁港などでも釣れるが、ここでは磯のゲームにおける安全面、特に波の危険度が高い春~夏シーズンのウネリパターンについての持論を紹介したい。
春~夏のウネリパターンは危険度大
日本列島下の太平洋上に低気圧や前線が発生し、波向きが南西や南で、ウネリというピッチが長い波になるパターン、それが理論上はヒラスズキを狙う好タイミングである。だが、ウネリのパワーは強く、海底から潮が押されて磯にぶち当たるため想像もつかない大きな波が突如やってくる場合があり、波にさらわれる事故が多い条件ともいえる。そして、そんな事故の大半はランディング時に起きている。
ちなみに、ウネリがある状況がよいとされるのはあくまでも理論上の話である。地形、潮通しなど別の条件がよければウネリがなくても釣れるパターンはある。
無理のない釣行プランを組む
●情報チェック…私の釣行エリアでいえば、波予報で「沖合の波高2.5㍍以下」がベストな波高である。ただ、2.5㍍で安全かといえばそうではなく、一般的には非常に危険な状況と再認識してほしい。波高は平均値であり、ときおり3㍍のウネリが入ってくることも想定すべきだ。
サラシのできやすい地形、潮通しのよいポイントなら波高1.5~2㍍で喜んで釣行プランを立てている。もっとも、ウネリの入った1.5㍍とウネリのない1.5㍍の海は別物だ。「沿岸波高0.7~1.0㍍」を基準に波向きと波周期を調べて安全性の向上を考えている。
●現場に出向く…私がヒラスズキ釣りに入門したときは独学であったため、波高が3㍍以上のときも現場に行っていた。それがある日、2.5㍍の状況で南向きの低い地磯にエントリーしたところ「怖い‼」と思った。ヒラスズキには2.5㍍がベストと思っていたが、この磯では私には無理だと感じ、その日はポイントの観察だけで帰ったものだ。結局、データや理論だけで釣りは始まらない。まずは磯から少し離れてポイントの様子を見ていただきたい。そうして引き返す勇気を持って状況を把握することも必要だ。
そこで竿が出せなくても、現場に行けば引き出しが増えるから撤退もよしとしたい。少し移動すれば安全にゲームが成立するポイントもあるかもしれないし、ひとつのポイントに執着して危険を冒すことはやめるべきだ。また「怖くない」と思っても、慣れないうちは2.5㍍以上の波では釣らないことを厳守すべき基準と考える方がいい。
軽量なパワーロッドが身を守る
安全に釣るためにはタックルのセレクトも重要だ。ウネリパターンではときおり大波がくるため磯際に近づけない場合が多く、入門編としては12~13㌳のロングロッドを基準としたい。また、長さの次に重要なのがロッドの軽さとパワーである。
軽さはロングロッドに慣れていないアングラーにとって絶対的な利点であり、不安定な磯場では軽快に扱えるロッドが安全性を高めるとも考えられる。そして、パワーはランディング時にもたもたしないためにも必要だ。時間をかけるほど突如くる大波に気づかず事故につながるケースが多い。
魚を強引に誘導し、ズリ上げのランディングが可能なパワーのあるロッド選びが安全面もカバーする。ベテランクラスの諸先輩方なら好みでライトなロッドを選択する場面もあるだろうが、最初の1本はパワーを重視したセレクトをおすすめしたい。
※文章・写真・記事などのコンテンツの無断での転用は一切禁止です(詳細はサイトポリシーをご確認下さい)。