知れば知るほどおもしろい…!! メバルのベイトを徹底考察|【Shar's=Style= vol.10】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

知れば知るほどおもしろい…!! メバルのベイトを徹底考察|【Shar’s=Style= vol.10】

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

イカナゴが大好物であることは間違いないが…

私のホームである神戸~明石・淡路島エリアでは、およそメバルが産卵を終えたタイミングでイカナゴ漁が解禁となる。淡路島を中心に大阪湾や播磨灘では2月後半あたりからイカナゴ漁が解禁となるのだが、その前に「試験曳き」と呼ばれる試験捕獲漁が行なわれる。その水揚げがその年のイカナゴの漁獲高の目安となり、それを受けて漁の解禁日も決定するのだが、個人的にはそのあたりにも注目している。なぜならメバルはイカナゴが大好物だと確信した経験があるからだ。

それは十数年前に船の餌釣りでメバルを釣りに行ったときの話なのだが、メバルの食いがわるいことを見かねた船頭さんが生きたイカナゴを差し出してくれた。それを半信半疑でハリに刺して投入すると、すぐにメバルが掛かった。その後も釣れ続いたため、それまで無反応だったのはいったい何だったのだろう…と首を傾げた。

そのできごとが非常に興味深かったので、同じように生きたシロウオを用意して比べてみた。結果、メバルが好むのは断然イカナゴだった。エリア的な違いはあるものの、以降はイカナゴの動きがメバルの行動パターンに大きく影響を及ぼしていると考えるようになった。ただ、近年イカナゴの水揚げは減少傾向が止まらず、毎年ワースト記録を塗り替えているが…。

メバリング・ベイト5
メバルの活性が上げるという意味で申しぶんのないベイトがイカナゴだが、近年はどんどん漁獲高が減っており…。

チリメンパターン

続いてメバルの動向に影響を及ぼすと考えられるのがチリメン(シラス)だ。私が住むエリアでは定番的に食卓に並び、子供から大人まで大人気の食材である。「チリメンジャコ」は「縮緬雑魚」と書き、カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシ・シロウオ・イカナゴなどの稚魚の総称である。こちらのエリアでは5月下旬から11月までが漁の最盛期となる。

チリメンは当然メバルが大好きな餌であり、某ポイントではチリメンの入ってくるタイミングで有効となるアプローチパターンが大きくかわるほどだ。早春のこのエリアでは昔からチリメン(シラス)パターンと密かに呼んでいるのだが、漁期が長くて伝統的な漁だけにチリメンの量は多く、禁漁期に接岸することも不思議ではないと考えていた。ただ、イカナゴと比べたら爆発力はなく、どちらかというとチリメンパターンには何か別の要素もあるのではないかと感じていた。

チリモンパターン

少し話が逸れてしまうが、みなさんは「チリメンモンスター」をご存じだろうか?  これは先に取り上げたチリメン(チリメンジャコ)に混じった他の生物のことで、近年はそれを見つけ出したりするのが子供たちにも人気となっている。イベントが開催されたり、関連する書籍なども刊行されているほどだ。魚嫌いの傾向が強くなっている子供たちが魚に興味を持つのは素晴らしいことである。「チリモン」と呼ばれている生物の中にはタツノオトシゴなどのレアキャラもいるため、子供たちだけでなく、大人も捜すのに夢中になる。家族で楽しめるのも人気の理由かもしれない。

そんな「チリメンモンスター」の種類について調べてみると、実におもしろいことが分かる。登場するモンスターたちはメバルのベイトも多いのだ。獲れた地域や時期で多少の違いはあるが、チリメンジャコに混じる生物は以下のようになる。

◼︎イカ・タコ類
◼︎幼魚(タチウオ・アジ・カマス・フグ・シロギス・カワハギ・アイゴ・コチ・タイ・ヒラメなど)
◼︎エビ・シャコ類
◼︎カニの幼生(メガロパ)
◼︎メガロパが成長したもの
◼︎カニ・エビの幼生(ゾエア)
◼︎ゾエアが成長したもの

さて、話を本題に戻すとメバルは産卵期に海藻を食べることもあるが、実際にはそこについているゾエアやメガロパを一緒に捕食していると考えれば納得がいく。さらにはそれらのマイクロベイトの存在を意識することで、潮の影響によりメバルのヒットパターンがかわるのも、メバルのヒットレンジが浮き沈みすることにも納得してしまう。

メバリング・ベイト6
メバルのベイトとしてはチリメンモンスターの存在も欠かせない。

フィッシュイーターは他の餌を忘れないよう、数カ月周期でメインベイトがかわるとされているが、チリメンなら豊富な種類の餌を効率よく捕食することができるのではないだろうか。実際に釣り上げたメバルの胃の内容物を確認すると、チリメンモンスターと呼ばれる種目が混じっているケースが多い。

いずれにしても、チリメンモンスターの存在を考慮すると、それまで疑問に感じていたメバルの行動パターンについても妙に合点がいくから不思議だ。ちなみに、以前はチリメン(シラス)パターンと呼んでいたが、今ではチリモンパターンとして個人的に楽しんでいる。そのようにイメージすることで攻略の幅も広がるはずだ。

厳しい自然界に住みながら、10年という比較的長い寿命を持つメバル。それだけに捕食は生命維持に向けた最も大切な行動となる。そういったことから、メバルとベイトの関係を知ることは釣り人にとってメバル攻略のキモになるといっても過言ではないだろう。今メバルが捕食している餌は何だろうか?  そのような疑問を持ったなら、チリメンモンスターの存在を意識してワームをセレクトするのもおもしろいかもしれない。

  • メバルをキープして食す場合は胃の内容物を確認すればヒントが得られるだろう

【辻原伸弥・プロフィール】

メバリングやエギングをメインに多彩なSWゲームに精通するエキスパート。「楽しく、真剣に!!」をモットーにホームの神明間のフィールドに足繁く通い、マッチ・ザ・シチュエーションを重視したアプローチでハイプレッシャー&急潮流エリアのランカーを手玉に取る。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

※文章・写真・記事などのコンテンツの無断での転用は一切禁止です(詳細はサイトポリシーをご確認下さい)。