多彩な魚種が楽しませてくれる小笠原・母島のジギング|【マニアな仲間たち vol.8】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

多彩な魚種が楽しませてくれる小笠原・母島のジギング|【マニアな仲間たち vol.8】

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毎年恒例となっている小笠原・母島への遠征。現地ではいつもさまざまな魚たちが楽しませてくれる。今回は初日にいきなり最高のクライマックスを迎えたが、その後も母島ならではのジギングを満喫することができた…

Text & Photo:西本康生

今年も豊かな海域へ

2月に開催される大阪でのフィッシングショーが終わると、小笠原・母島へ釣行するのがここ数年の恒例行事となっている。今年は新型コロナの影響を考慮し、「おがさわら丸」の乗船前には問診票の提出、体温測定、マスクの配布が実施されていた。母島への渡航は「おがさわら丸」が唯一の交通手段だ。東京・竹芝桟橋から父島まで24時間の船旅のあと、「ははじま丸」に乗船。さらに2時間の船旅を経て目的の島、母島にたどり着くことができる。

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東京・竹芝から24時間の船旅で父島へ。さらに父島から2時間かけて母島へ向かう。
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コロナ感染予防のため、出船前には問診票を提出。検温を済ませ、マスクをもらって出航。
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遠くにスカイツリーを望みながらの出船。

今の時代、おおよそ飛行機を使えば海外の釣り場にも容易にアクセスできる。その中で母島への船旅はある種、人の移動が制限されているように思う。そのため、豊かな海が旅人を待っていてくれる。

新型コロナの影響もなく「おがさわら丸」から「ははじま丸」へ乗船することができた。母島へ向かう船上では海鳥やザトウクジラを観察することができる。多くの人が甲板に出てネイチャーガイドさんの説明を受け、クジラが吹き上げるブローを見つけては歓声を上げる。2月はクジラの季節でもあるのだ。

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母島に向かう船上からはザトウクジラを観ることができる。

クジラや海鳥の歓迎を受けている間に2時間の船旅はあっという間に終了。母島では毎年お世話なっている真漁丸・森船長の奥さんから車を借り、事前に送ったタックルを引き取って翌日からの釣りに備えた。

今回は天候が許せば8回乗船する予定。ポイントは水深50㍍の浅場から400㍍の深場までさまざま。ジグやリールの数もおのずと増えてしまうため、事前に荷物をまとめて宅配便で送っている。以前はロッドも送ることができたが、3辺の合計が160㌢に制限されてからは手持ちできている。新ブランド、ガレージナギ(ディーパース・ファクトリー)・クロスボーダーシリーズなら6㌳の2ピースロッド(仕舞寸法135㌢)なので宅配便での取り扱いが可能だが、今回は発送の締め切りまでにロッドが揃わず手持ちとなった。次回は宅配便を利用したい。

 

初日にいきなり目当ての魚が…

初日は姉島沖の80㍍ラインから始まった。クロスボーダー60-4にブルーヘブンL-50をセット。砂地に岩礁帯が絡む場所で、さまざまな魚が釣れてくる大好きなポイントだ。大型のカンパチを狙ったジギングもおもしろいが、最近母島では魚種をあまり特定せずに臨んでいる。南の島・小笠原といえども、2月は冬の天候であり、風の影響は大きい。風向きでポイントを設定することになるので、なかかな魚種を決められないというのが実情だ。

森船長は風と潮を読みながらできるだけ岩礁が絡むラインを流してくれる。上げ潮が効いており、ロッドを振っていて気持ちがいい。底を切って速巻きでジグを動かすと、5㌔前後のカンパチがおもしろいようにロッドを絞った。

ときおりラインを引き出すようなカンパチもヒット。竿先が上下に叩かれて首振りの感触が伝わってくる。ロッドエンドをお腹に当て、ロッドを立ててファイトしてみる。ドラグ値を少し上げ、バットを曲げ込んで魚を寄せる。クロスボーダーは海外のアングラーを対象に、ロッドを立てたファイトを可能にする目的で折れに強い設計となっている。久し振りのロッドを立てたファイトが新鮮で心地いい。やがて10㌔オーバーのヒレナガカンパチが軍門に降って水面を割った。

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10㌔ほどのカンパチが楽しませてくれた。

上げ潮が止まると先ほどの賑わいが嘘のように海の中が静かになった。ホウキハタなどの底物に狙いをかえてみるも、魚からの反応は薄い。その後、陽が西に傾き始めると下げ潮が流れ出し、小型のカンパチがポツリポツリと釣れた。そして「スッー」と吸い込むようなアタリを合わせると、魚がドラグを引きずるように走った。クンクンと独特の首振りが伝わってくる、「やっときた、きてくれた…」 そう、シマアジがヒットしたのだ。何度かの突っ込みをいなし、唇が切れないようにドラグを緩めてやさしいファイトで寄せる。そして、船長のギャフが口に入った瞬間にフックが外れた。危ないところだった。キャッチしたのは11㌔ほどのシマアジだった。手早く撮影してリリースする。小笠原に棲息する南方系の個体は水っぽくておいしくないのだ。森船長もリリースをするために口にギャフを掛けてくれた。いきなり初日にして最高のクライマックスを味わってしまったのだ。

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11㌔ほどのシマアジ。この大きさのシマアジを狙えるのも母島へくる1つの理由だ。

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