海の異変と生き物の超能力|知っていたからって釣れるわけじゃないけれど…《アーカイブ from 2012》

釣りエッセイ・海の異変1

異変を予兆する現象としてしばしば取り上げられる生き物の動き。私的には動物や植物など自然の中で生きている生き物には「超能力」が備わっていても何ら不思議はないような気がする…

文:宇井晋介

※このエッセイはSWマガジン2012年9月号に掲載されたものです。

大異変が頻発

人は「異変好き」である。ちなみに異変とは「普段は見られない異常な現象、出来事」である。

普段ではないことが起こると人はなぜかドキドキ、ワクワクする。台風が近づいているときなど、大変なことなのに妙にワクワクする、なんていうのもこの一種かもしれない。だから新聞記者や雑誌の編集者などマスコミの関係者は、日夜かけずり回って異変を捜す。そりゃそうだ、毎日繰り返されること、珍しくもないことなどニュースになるわけがない。

そのニュースが珍しく目新しいほど、お客は飛びつきお金を出してニュースを買う。だから中にはニュースをねつ造したり誇張したりする輩が出てくる。当たり前といえば当たり前のことだろう。それが売れゆきに直結するのだから。だから「異変」のニュースはちょっと斜め読みするか、あるいは話半分程度に見ておいた方がよい。

ただ、そうした心構えで見ていても、最近の異変の多さは少し異常である。もっともインターネットが普及して発信される情報が爆発的に増えたのもその一因だろうが、大異変である東北の大震災・大津波や紀伊半島の洪水など、それこそ100年単位でしか起こらない大異変が頻発している。

海の異変

以前に異変の記事が2つ出ていた。1つは「北のスカート丈に異変‼」というもの。北とはいわずとしれた朝鮮人民共和国、北朝鮮のこと。記事はその北の女性たちのスカートの丈が短くなっていることから、政治体制の変化ではと分析している。いやはやスカートの丈から政治が分かるというのもすごいが、確かに変化というのはそういう小さな「異変」から少しずつ目に見えてくるものなのかもしれない。

もう1つは三重県伊勢市にある二見浦の異変。夫婦岩という大小の岩が海中のご神体を護る鳥居となっているが、この根元が干潮時にこれまで見たこともないほど完全に干上がってしまったという。これは何かの予兆だと騒ぐ人がおり、専門家もこれだけ大きな水位変化があったのだから、沖合で大規模な地殻変動があった可能性があるというコメントを出した。また記事ではそれにくっつけて、日本海側でクジラやイルカが相次いで死んで打ち上げられているニュースが紹介されており、いやがうえにも「異変性」が強調されている。

ただ私自身、この潮位の変化についてはここしばらく「オヤ?」と思うことが少なくない。たとえば、私が船を係留している港だが、以前は満潮時でも岸壁が水に浸かるということはなかった。ところが、ここ数年は大潮の満潮時などになると波もないのに岸壁が水中に没し、水に入らないと船に渡れなくなる。おそらく設計段階ではきちんとなされていただろうから、これは想定外の「異変」といっていいかもしれない。けれどもニュースとしては地味過ぎるのか、取り上げられたことをあまり見たことがない。

釣りエッセイ・海の異変2
身近なことで気になるのが潮位変化。想定外の異変といえそうだ。

海の異変でマスコミがよく取り上げるのは何といっても動物の記事である。やはり動物は感情移入がしやすく、また分かりやすいのでセンセーショナルにしやすい題材らしい。 

その典型が北極海のシロクマである。地球温暖化で北極周辺の氷が解けてシロクマの生息するところがなくなっているという記事。報道では餌を取れないシロクマがわずかに残された氷の上でたたずんでいる光景が映し出される。ああかわいそうに‼ 我々人類が地球温暖化を促進したばかりに、かわいいシロクマ(間近で見るとかわいいというようなものではないが…)が生命の危機に脅かされている。地球温暖化は、それはそれは大変な問題だと実感するのである。


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