~釣り具製作の現場から~ 再認識したい「モノを作る」ということ|【ほぼ月刊  武田  栄! vol.9】

釣り具・釣りタックル1

さまざまなモノが溢れる世の中ですが、その中で釣り具に関しては作り手と使い手がお互いを感じ合えるような世界であってほしいと願います。そして「モノづくりの原点」について考えることは、よりよいフィッシングライフを送ることにも繋がるから…

文:武田 栄

今は世の中にモノが溢れている時代です。しかし、ようやくというか、ここにきて「ちょっと多過ぎるんとちゃうやろか?」とか「やり過ぎなんとちゃうか?」 というみなさんの声もたくさん聞けるようになりました。もちろん釣り具もそうですね。 

今回のコラムを書こうと思ったのは、我がGo-PhishのオフィスでTOOL(=昌栄さん。SWルアー界ではランディングネットなどでおなじみ)の『アジメバino』を見ていた20代のお客さんとの会話がきっかけでした。

「このフレームは1つずつ手曲げやでぇ!!」
「え~っ!!  機械で大量生産していると思ってました」
「網も1つずつミシンで縫ってるんやで」
「ええ~っ、そうなんですか~⁉︎  知りませんでした…」

このように釣り人が知り得ない実情は多々あり、それを知ることでプラスに作用する部分も少なくないと感じました。そんなわけで、今回は僕が日ごろお世話になっている釣り具メーカーさんの中から数社に作業風景の写真をお借りしました。読者のみなさんには製作現場のイメージを膨らませていただいたうえで、「モノづくり」の本質について考えていきたいと思います。

一部ではありますが、今回ご紹介する釣り具メーカーさんは、どこも個人的に10~20年以上もお付き合いさせていただいている老舗メーカーさんです。このコラムを読んで下さるみなさんには「目からウロコ」とはいかないまでも、何かしら意識変化というか刺激になれば幸いです。

釣り具メーカーさんの作業風景

株式会社 昌栄

TOOLランディングネット・釣り具製作

TOOLランディングネット「inoシリーズ」でおなじみ昌栄さんは大阪八尾市にあります。まずは写真のランディングフレーム加工(手曲げ)作業をご覧下さい。木枠で1つずつ曲げていく工程を改めて拝見すると僕も驚きです!!  

ちなみに、小さな枠ほど曲げるのは大変とのこと。こんなの見たら、今後はさらに大事に使っていこうと思います。

他にもおなじみのピトンやさまざまな釣り具アイテムを製作する昌栄さん。細かなパーツは一部仕入れることもあるそうですが、基本には自社工場にて金属加工。恐れ入ります。

同じ大阪ということで会社にお邪魔させていただくこともありますが、試作品の形状変更などはその場ですぐに取りかかるということもしばしば。 職人さんの卓越した技術を垣間見ることができるメーカーさんです。

株式会社 サンライン

サンライン・釣り具製作

山口県に本社がある大手釣り糸メーカー。以前、きれいに整理された広大な工場で素材から釣り糸ができるまでの工程を見学させていただきました。

大型機械によるオートメーションの精度たるや、とても僕のような素人が説明できるものではありませんが、最も感銘を受けたのは「平行巻き機」と熟練のスタッフさんたちによる「パッケージ詰め作業」。今では当たり前になった平行巻きですが、美しく巻くための工夫(アイデア)はスゴいのひとこと。まさに知恵と創意工夫であります。

そして、できあがったスプールにシールを貼り、箱に詰めるのは熟練スタッフのみなさん。その速さと正確性には驚かされます。

株式会社 オーナーばり

兵庫県西脇市に本社を置くオーナーばりさん。カルティバシリーズはもちろん、餌バリ、仕掛けまで、多彩な釣り具を製造・加工されています。

材料を釣りバリに加工するために、大型機械によるプレスから研磨、焼きつけ、磨きパッケージングなど、実にさまざまな作業が行なわれますが、その量たるや想像を絶します。

でも、最後に重要となるのはやはり「人間の目と手」。プロならではの作業も随所に見受けられます。「ハリにこだわってほしい」とはオーナーばりの営業マンさんの口癖ですが、一度ハリづくりに携われば、その気持ちは大いに理解できます。

株式会社 タックルハウス

タックルハウス・釣り具製作

ご存じ、老舗のルアーメーカー。「K-TENシステム(=マグネット式重心移動システム)」を世に送り出した功績と、その後の実績は国内ルアーメーカーとして今なお他の追従を許しません。

僕は毎月一度、同社スタッフとの打ち合わせで本社(東京都)へ出向き、いろいろな話をするのですが、タックルハウス最大の魅力は何といっても「妥協なき技術の向上と発想力」。美しく高次元にまとめられたアイテムの数々は、僕やみなさんを魅了し続けてくれます。同社のアイテムからは不可能を可能にかえる努力、そして美しくありたいという信念が伺えます。

株式会社 ブライトリバー

ブライトリバー・釣り具製作

僕はブラックバスのトップウォーターフィッシングも大好きなんですが、20年来ものつき合いとなるのがバスのトップウォーターブランド、ブライトリバーさん。本社は大阪府摂津市にあります。

事務所ビル内の工房では、ロッドやルアーはもちろん、人気のオリジナルオフセットグリップやベイトキャスティングリールの組み立て作業などが日夜行なわれており、スタッフは忙しく働いています。

妥協しないマニアックさはいうまでもありませんが、いつも感心するのは作業のていねいさ。その思い入れの深さは商品にも伝わっています。

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