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【スローピッチジャーク・ステップ1】究極メソッドのコンセプトに迫る

魚の習性や特性に訴える普遍的なテクニックであるスローピッチジャーク。オフショアジギング界の鬼才、佐藤統洋氏が考案したこのメソッドは捕食しやすいベイトを演出できるというのが最大の特徴だ。これを基に今やさまざまなエキスパートによって進化を遂げたメソッドが登場し、ベイトジギングの可能性がますます広がっているが、今一度元祖スローピッチジャークの本質に迫ってみよう…

解説:加藤啓之

ターゲットから見たスローピッチジャークのアクション

まず、スローピッチジャークにおけるアクションの真骨頂は短い移動距離でジグをヨコに向けるということ。では、なぜそのアクションが効果的となるのか?

それは、魚にとって捕食しやすい餌の順序というものがあるからだ。これはいかに容易に捕食できるかという考え方である。

ベイトは青物に根切りされた後、捕食されないように1つのカタマリになる。いわゆるベイトボールである。捕食魚はベイトボールの状態では手(口?)が出せないので、そのカタマリの拡散行動を取ることになる。そして、拡散されたベイトの動きはいくつかにわかれる。

①群れから離れて単独で逃げ回る。

②フラフラと斜めに泳ぐ。

③平衡感覚を失い、その場でクルクルと回る。

④気絶して浮きも沈みもしない。

といった具合だ。

ちなみに、②~④の状態はメスレという。漁師さんはイワシを餌にする際などに元気なイワシの片目をわざと傷つけ、平衡感覚を狂わせてまっすぐに泳がせないようにしてこのメスレを演出する。魚が捕食する際にベイトを1個所に集めてその魚群に体当たりすると、そのうちの何匹かは体当たりの衝撃や水圧でこのような状態になるのだ。

この4つのベイトの動きの中で魚が捕食しやすい順序は④、②、③、①となる。
これをジギングのテクニックに照らし合せると、①単独で逃げ回る=ロングジャーク、③平衡感覚を失ってクルクル回転する=ハイピッチショートジャーク、②斜めにフラフラ泳ぐ=平戸ジャーク、④気絶する=スローピッチジャークとなる。

注意したいのは①~③がスローピッチよりも魚が釣れにくいというわけではないということ。あくまで、魚の食べやすい順序ということをつけ加えておきたい。実は捕食しやすいベイトの動きを演出するスローピッチにも欠点があるのだ。この釣りは糸を張り、竿の反発力や復元力を生かして常にぶら下がっている状態のジグを操作するのだが、どうしても自然状況に大きく左右されやすく、射程範囲が狭くなってしまう。その日の海の状況(潮が速い、複雑な潮ヨレが発生しているなど)によっては、速い潮にPEラインが持っていかれて竿が復元しないのだ。

スローピッチジャークの特性

スローピッチの釣りにおける基本的なロッドのホールド位置は海面と平行(竿のトップからのライン角度は90度)である。こうすることで竿をフルベンドまで持っていくことができるのだが、大きなウネリなどの影響で竿先やアングラーの釣りの姿勢が崩れることにより、竿が反発する力をコントロールできなくなってしまう。というわけで自然状況(悪天候)がこの釣りの最大の敵となるわけだ。

ここで食べやすいベイトの状態についての話に戻そう。前述のように食べやすい餌とは気絶して浮きも沈みもしない状態を差すが、当然ジグは鉛なので沈んでしまう。そこで注目したいのが魚の視力だ。視力がよいということは「モノの形がはっきりと見える」ことを意味する。その点、魚の視力はほとんどがゼロ台で形状を見る能力に劣るのが特徴だ。そして、それを補うために速く動くものをとらえる運動視覚に優れているのだ。

スピーディーな動きを的確にとらえる魚の目を通すと、スローピッチで演出されたジグ(短い移動距離でジグがヨコを向く動き)は浮きも沈みもしないベイト(最も捕食しやすい状態)のように見えているということになる。僕はそういった意味でスローピッチは魚にとって捕食しやすい順序、視覚能力という普遍的なものに訴えるためのテクニックであると理解している。

(ザ・スローピッチジャーク〈2013年発行〉より)

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