カスミアジ・GT・イソマグロ…南海のビッグゲームのリアル《前編》
「力には力」だけでは通用しない釣り
「よくそんなタックルで取れるよな~」トカラの堤防で昔から餌釣りをしている人にそういわれたことがある。ルアーゲームではヘビーといわれるRB106XXにPE12号のタックルにしても、尖閣(ロッド)にシーハンターをフル巻きにしたセネター(リール)の強力なタックルを板バネ固定にして巨魚と渡り合ってきた先輩方から見ると吹けば飛ぶような存在なのである。
では、なぜ取れるのか? 巨魚狙いのゴツい餌釣りの道具と私たちのタックルの差異は、単に人的対応のレスポンスの違いでしかない。タックルを軽快にしたぶん足りないパワーをアングラーの対応力で補っているということで、要するにタックルをライト化して人的対応力を上げるのは取れる魚の幅を広げることに繋がる。
たとえヘビーなタックルを使っていても、強烈なファーストランに体幹を揺さぶられてロッドをのされてしまうとどうしようもない。たいていのアングラーの場合、そこで脳が危険信号を出して足が動かなくなってしまう。体幹トレーニングを積んでいないと危険信号をキャンセルできる回路に繋ぎ直して有効な対応策を繰り出すことができないわけだ。不安定な足場ではそのようなことが普通に起こりうるもので、そうなってしまうとせっかくのリーチもコントロールできるベンドもロッドのパワーも生かしきれない。
体幹が揺さぶられるようなビッグファイトにはバランス修正能力が必要である。それはもともと人間に備わっているものなのだが、平地で生活している我々にとっては退化した機能であり、改めてその能力を獲得して自分の限界を知る訓練が要求される。それもタックルのパフォーマンス限界を一瞬だけ引き出せるというのではなく、全ファイトタイムを通して魚の体力を効率よく奪い続け、動きをコントロールして浮かせられるというレベルの話である。
つまりは、自身の体幹、体力、経験値をすべてひっくるめてちょうどよいバランスのタックルをセレクトすることだ。それが軽快なルアーのタックルで大型魚と渡り合ううえで何よりも大切となってくる。
(※《後編》に続きます。近日公開予定)
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