メバルやトラウトから学ぶロックショアゲームの真髄|サイドフィッシングのススメ①
ヒラスズキや青物狙いのロックショアゲームをメインに楽しんでいる私だが、新鮮な刺激を受けて視野を広げることで新たな発想が生まれる。それを痛感したのが磯でのメバルプラッギングや渓流のトラウトゲーム。すべての釣りは通じているから…
解説:赤木光広
繊細なメバルゲームにはたくさんの学びが…
普段は磯から重いプラグやジグを朝から晩までブン投げて青物やヒラスズキを狙っている私。それらのシーズンの合間に、結構ハマッているサイドフィッシングがある。それは磯でのメバリングと渓流でイワナを狙うトラウトゲームである。もちろん、いずれもプラッギングでのアプローチを主としている。
メバリングを始めたのは10年以上前で、そのときの動機はズバリ、食べたかったから。大型メバルの刺し身は絶品と聞き、グルメアングラーとして何としても口にしたかったのである。ところが、いざやってみるとアプローチといい、掛けてからのファイトといい繊細かつスリリングな釣りであり、完全にハマッてしまった。視力が高いとされるメバルは潮の動きにも非常に敏感で、ストラクチャーにタイトにつくため大型にバイトさせてキャッチするのは容易ではなく、そのプロセスがたまらなく楽しい。
ロッドは磯ということもありやや長めの7.5〜8.5㌳程度のものを使用し、5㌢程度のポッパーやミノー、バイブレーションでアプローチする。最近はメバル用のプラグも充実しており、あらゆる層を狙えるのがありがたい。潮の流れを感じながらユラユラとミノーでトレースする中でいきなりひったくるようなメバルのアタリは、ハードタックルで青物をバイトさせるときのようにに興奮してしまう。
ファイトにおいても、のん気にやり取りを楽しんでいると即、根や海藻に入られて取れないことがある。大型は一瞬で根に向かうのでまったくごまかしがきかない。以前に日本海で夜が明けきったころ、アタリもなくなりもうダメかと思ったときに30㌢をゆうに越す大型が私のミノーに突然襲いかかった。明るくなっていたためバイトの瞬間も魚のサイズもすべてが丸見え。しかし、このときはなすすべもなくリーダーが根ズレし、痛い思いをしてしまった。
どんな魚も餌を食う場所は決まっているから…
もう1つのイワナ狙いのトラウトゲームは、クリアウォーターで流れと地形を読んでアプローチするシビアさがおもしろいうえ、私にとっては最も癒される釣りでもある。
30年以上前にドライフライにハマッたことがあったが、あまり自分の中でしっくりくることがなく長続きはしなかった。それが、数年前にクラブのメンバーに誘われて飛騨高山に釣行した際、ミノーでのアプローチの楽しさにすっかり魅了された。また、普段は海岸線の景観美に慣れ親しんでいることもあり、それとはロケーションのまったく異なる山奥の大自然の中での釣りというだけでも深い魅力がある。
その初挑戦は、私にとってセンセーショナルなものとなった。他のメンバーは渓流でのゲーム経験が豊富であるのに対し、冷やかし半分の私は先導の友人の釣りを見ながら感覚の分からないままポイントを撃っていた。5㌳にも満たないロッドで、イワナの潜む岩の隙間へ5㌢程度のミノーを送り込み、急流の中を引いてくる。誰にも反応のない状況が続いていたが、「どんな魚でも食う場所は決まっている」と自分にいい聞かせ、ヒラスズキゲームの延長線上といったとらえ方でよりよいアプローチを考えた。
ヒラスズキ狙いのときと同様に、イメージの中で自分の目線を水中へと下げてみる。自分がイワナだったらここで待ち伏せて、流れてきた餌を捕食するはず。そう思いながら流れにミノーを乗せ、流れの緩むピンポイントに入ったところでヒラを打たせると「ドン」と強くひったくるようなアタリが出た。なんと、初挑戦で40㌢のイワナがヒットしてしまったのである。
以来、毎年時期がくればメンバーとともに飛騨高山を訪れるようになった。山奥の渓流は夏でも涼しく、セミや鳥の鳴き声が気分をリフレッシュさせてくれる。釣りの後は疲れきった体を飛騨の質の高い温泉で休め、夜は仲間たちと琥珀色の飲み物を片手に焼き肉や釣ったイワナを食材としたバーベキューで最高の栄養補給を楽しむ。心地よい酔いが回るころには満天の星空を眺め、さらに仕上げの1杯を…。ちなみに、その40㌢のイワナは刺し身で、20㌢クラスは塩焼きと骨酒でいただいた。楽しい宴会を満喫し、翌日の釣りに支障がでたのはいうまでもない。
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