ターゲットの行動パターンを読んだ戦略でメーターオーバーのシイラをキャッチしよう!!《後編》
ポイントの考え方とアプローチパターン
渡船利用の磯や波止ではそうもいかないが、地磯では潮の干満に合わせて午前と午後で大きくポイントをかえることも可能だ。潮位、ベイトや風向きなどを目安に各時間帯でベストと思える場所に立つのが理想といえる。
基本的な釣り場の考え方は、できるだけ沖へ突き出た地形の潮当たりがよくて十分な水深のある岬を選択するというもの。中~南紀の地磯は全体的に浅いが、白浜から日置川にかけては切り立った地形なので足もとから深い場所も多い。深いと狙い目となるレンジも広くなるし、シイラも身を隠すスペースが広いためか、警戒しにくいようで足もとまでルアーをチェイスしてくるケースも増える。たとえ足もとでバイトしなくても、シイラは警戒心の薄いまま沖へ戻っていくので素早く同じコースを通してやると反応を示すことが多い。
沖磯でもできるだけ沖側に位置するポイントを選びたいが、海況や渡船による磯割りなどの制約があるため思い通りにいかないこともある。とりあえず目視で分かるほど潮が流れているスポットがあればそこを狙い目とすることだ。
目立った潮の変化が見られない場合はミノーを広範囲へキャストし、引き抵抗の変化を感知して潮のかわり目を探る。他よりも引き重りのするゾーンがあれば、そこを狙いのポイントに定めて水面より少し下層を探る。活性の高いシイラがついていれば何らかの反応を見せるはずだ。
それで反応がなければ飛距離の稼げるダイビングペンシルや大型ポッパーで同じポイントの表層を探る。ポッパーには何の反応もなかったのにダイビングペンシルにかえたらワンアクションでバイトしたということもある。タイプの異なるルアーで様子を見ることが重要だ。また、シーズン初期の西風で表層の水温が低下しやすい状況であればトップに固執しないこと。40~60㌘のメタルジグでさまざまなレンジをテンポよく探るのが得策だ。
食い渋り時の対策
シーズン初期から梅雨時期にかけてのシイラはトップにも好反応を示すが、そんな釣りでのバラシ、リリースによってスレたシイラが増えていく。そして7月中旬にはフィッシングプレッシャーによる食い気の低下が顕著となる。こうなるとテンポの速い釣りではなかなかチェイスに持ち込めず、スローなポッピング、ダイビングペンシルでステイを長く取るパターンを試すなどの工夫が要求される。
また、じっくり見せるばかりだと今度はシイラがそれに慣れてしまう。だから小型のメタルジグでリアクションバイトを誘ったり、9㌢前後のヘビーウェートミノーや大きめのワインド用ジグヘッドリグの強い波動で食わせるといったパターンも駆使することになる。とにかくシイラを飽きさせないことを考えながら、反応の得られるタナやアプローチパターンを探って日中の食い渋りを打開したい。
その他の注意点
しっかりとした装備で挑もう!!
磯でも波止でもライフジャケットの着用は基本事項。5~9月の暑い時期の釣りだから軽量で風通しのよい自動膨張タイプの使用を考えている人もいると思うが、それで磯のゲームを楽しむのは無理がある。トラブル発生時の安全性を少しでも高めるために浮力材の入ったフローティングベストの着用を徹底してほしい。もちろん股ヒモなどのベルト類も必ず正しくセットすることだ。
魚のキープ法
釣ったシイラをキープする場合はフックを外したら血抜きをして、神経締めを施すのがおいしくいただくコツである。それからワタを取って頭を落とし、氷に直接触れないように専用のスポンジマットで包んでからクーラーに収納する。ただ、メーターオーバーのシイラだと普通のクーラーには入りきらないし、帰宅してからの処理のしやすさを考えると釣り場で胴体を2~3分割するのが得策だ。
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