磯で大型ヒラマサをキャッチするための取り組み方とは?《前編》
最強のシステムを生かせるロッドワーク
打倒怪物ヒラマサの軸に考えているのは、強いラインシステムと柔軟なファイトスタイルだ。次に怪物ヒラマサがヒットしたときは絶対に取るという気持ちで挑んでいる。
過去にはドラグを締め込んだ状態でやり取りし、モンスターのパワーによって竿をのされて落水した経験があり、あのときはファイトに対する意識の低さに悔やんだものだ。
大型ヒラマサは体を揺さぶるほどの引きを見せる。それに対して力ずくの勝負を挑むのは無理がある。今の私はある程度フットワークを生かし、ドラグを適度に調整した状態で竿をバットまで曲げたやり取りで対抗するようになった。
竿がのされた状態でのファイトは不利だ。必要以上にラインが引き出されて切られやすくなる。竿を曲げてその性能をしっかり使えばドラグの滑りは緩やかになり、リーダーの耐久性も発揮される。実のところ、ファイト中に竿の性能に自分の技能が追いついていないと感じる部分もあるが、魚を寄せるときは常に竿を十分に曲げるようにしている。
ラインシステムは根ズレすることを前提に組んでいる。ルアーに近い順からフロロ60号2.5㍍、磯ハンター30号5㍍、PE12号5㍍(スペーサー)、PE6号100㍍(メインライン)、ナイロン30号60㍍をセットしている。スペーサーより先をかなり強力にしているのはヒラマサが根に到達したときに見せる強烈な首振りに対抗しつつ、やり取りを成立させるためだ。
スペーサーにはメインラインの劣化を防ぐ役割もある。根元のナイロンは、メインのPEがシモリに噛まれてどうしても外れない場合に思い切ってラインを放出し、それで運よく魚が出た場合を想定した予備的ラインだ(視認性のよいイシダイ用の道糸を使用)。うまくいけば魚の体力を奪い、ある程度思いきった動きでシモリからラインを外すことができるので仕切り直しのきっかけを作ることができる。これはタマミ釣りではよく助けられた方法なので、ヒラマサにも通用するのではないかと考えている。
ちなみに、このラインシステムが成立するロッドはゼナック・デューロRGシリーズのみだ。他のロッドでは今のところトラブルが多くて危険なので短いラインシステムを用いている。
このシステムは1年ほど試行錯誤を繰り返して練り上げたものである。その間に掛けたヒラマサはいずれも5㌔までなのでモンスターとのやり取りには未知数の部分があるが、以前のナイロン40号のリーダーを4㍍というシステムに比べて飛距離は少々落ちるものの、目立ったトラブルもなく、慣れればルアーもきっちり泳いで快適に釣りができている。これで切られるようなら自分の未熟を責める他はないだろう。
魚を走らせるにせよ止めるにせよ、そこで竿の弾性を引き出せるかどうかで勝敗が決まる。臨機応変なロッドワークとフットワークで道具と体のパワーを存分に発揮できるよう、冷静かつ全力でやり取りすることで未知なる大物を手にしたいと考えている。
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