ワンドのヒラスズキが教えてくれた釣りの本質|【釣り人生をかえた1匹①】
何の実績も情報もないフィールドで初めてヒラスズキを狙うときはこのうえなくワクワクする。そんなフロンティアスピリットの塊ともいえる私が心から実感しているのは…
解説:程野 昇
最初の1匹は難なくキャッチ
私が磯のヒラスズキゲームを始めたのは27年前。そのころ、地元の徳島では後のチームBeeの先輩にあたるシービーズのメンバーによって一部のエリアが開拓され、魚影の濃い代表的な磯が紹介されていた。
それまでヒラスズキは河口でしか釣ったことのなかった私も情報を頼りにその磯に通い、偶然にも早々にキャッチ成功。すぐに日中の磯のヒラスズキゲームにハマッた。しかし、数少ないポイントだけに訪れるアングラーも多く、思い通りのアプローチがなかなかできなかった。そこで実績や情報のないエリアに足を運ぶようになったのだが、知識も技術もない初心者にヒットするのは他魚ばかり。それでもワクワク、ドキドキしながら釣行を繰り返していた。
意外な場所でヒットした魚は?
あるとき、以前にハマチをキャッチしたことのある磯へ行くと、予想以上の波があって潮通しのよい先端部に出ることができなかった。仕方なく奥まったワンドでキャストしていると足もとで何かがヒットしたものの、直後にエラ洗いをされてフックオフ。何だ? このエリアのこんな奥にヒラスズキがいるのか? でも黒っぽかったからマルスズキなのか?
その後はヒットがなく帰宅したのだが、魚の正体が気になって仕方がない。いても立ってもいられず、翌朝は早起きして仕事前の1時間だけのアタックを決行した。
山道を歩いて磯におりると前日より波が小さく、先端部に出られそうだった。しかし、昨日バラしたポイントを探らないと気が済まないし、イメージトレーニングもできている。
ルアーは前日と同様のK-TEN140グリーンカスタムをセット。サラシができるのを待ち、慎重にキャストした1投め、サラシの下にルアーをチェイスする魚影が見えた。興奮して2~3投ほど無造作にキャストしたが反応はない。
ここでいったん冷静になり、十分なサラシができたタイミングでキャストを再開。リトリーブを開始すると、先ほどチェイスが見られたあたりにルアーが近づいたところで強烈なバイトが‼ 直後にエラ洗いを見せたのはヒラスズキだった。ロッドを寝かせて「バレるなよー」と願いながら慎重にランディング。「ヨッシャー、やったぞーッ‼︎ 嬉しいーぃ‼︎」
サイズは60㌢ほどだったが、初めて釣ったときよりはるかに嬉しかった。これが「釣った」という感覚なのか…。ものすごく満足感があった。
満足感を求めた楽しみ方
先の1匹から学んだことは大きい。サイズによらず、キャッチするまでの過程を含めたゲーム性こそが重要であり、魅力なのだと実感した。そして、それからは情報だけを頼りにせず、ポイント開拓はもちろんアプローチ方法に工夫するなど、自分なりの楽しみ方ができるようになった。
現在も納得できる1匹を追い求めてワクワク、ドキドキ感を楽しみながら釣行するスタイルはかわることがなく、釣れなくても満足感が得られている。
スポンサーリンク
※文章・写真・記事などのコンテンツの無断での転用は一切禁止です(詳細はサイトポリシーをご確認下さい)。