20㌔オーバーのヒラマサにラインを削られてピンチに… |【奇跡のランディング⑤】

大型ヒラマサ ファイト1

「神が舞い降りた‼」と感じた忘れられないファイトといえば、韓国・済州島でのヒラマサ狙い。最高の形でロケを終えるために執念で大物をヒットさせたまではよかったが…

解説:平松 慶

釣行時の状況

10年以上も前のことだが、その釣行にはさまざまな目的や意義があった。前年までのスポンサーからかわって新たにサポートを受けることになったメーカーのもとでメタルジグやロッドの開発に着手したタイミングで、テレビの釣り番組のロケも重なることから自分の持てるスキルをフルに発揮すべく挑んだ済州島への釣行であった。それに加え、当時は現地に遊漁船のシステムがなく、受け入れ態勢の整っていない中での開拓という面もあっただけに「釣ってやるぞ‼」という意気込みも大きかった。

乗船した船ではドテラ流しとなり、晴天の初日は海況こそ穏やかだったものの速い潮流の中でなかなか思うような釣りを展開することができなかった。また、ポイントでは無数の職漁船がスズメダイの生き餌でブリを狙っており、その横へ入るもののジグを投入するスペースもないほど。「これじゃあジギングにならないぞ…」という所感だった。

ジグは私が手で削って作ったいわばプロトタイプを使用。すでに外房や伊豆諸島では釣果を上げていたので、これでヒラマサを釣りたかった。

どこへ投入しようか、どう引こうかと戸惑いながらの1投め。VTRの撮影とロッドやジグのテスト、さらに釣り場開拓を兼ねた、今思えばかなり無茶な釣行であったが、若さゆえの勢いだったのだろう。そんな気持ちに応えるようにハマチがヒット。以後もサイズは伸びなかったが連発となり、結構な数を釣って初日はまずまずの結果となった。あとは見栄えのするサイズのヒラマサを手にすれば万々歳といったところだったのだが…。

4日間の日程だったものの、2日めと3日めは悪天候のため出船できなかった。番組のディレクターは「初日の釣果でもいちおう絵にはなるから…」といってくれたが、ここまできたのだから少しでもチャンスがあるのならチャレンジを続けたい。どうにかならないかと願うばかりだった。

ビッグゲームを制したファイト&ランディング

そして迎えた最終日、まだ海況は荒れていたが沖へ出られることになった。風とウネリが強いことから初日に使用した200㌘のジグよりも少し重いものに変更する。これがよかったのか、初日のそれよりも明らかにデカい魚がバイトしてきた。

このポイントの水深は30㍍だったが、船が大きかったせいかラッキーなことに魚は深場へ向かって走りだした。激流の中、無理にプレッシャーをかけずにとにかく走らせた。そして、走るスピードが落ちたところで船長と言葉でのコンタクトができないことに気づいたが、船を移動させるように無茶苦茶な英語で伝えたところ船長も何となく理解したようで、魚の方へ船首を向けてくれた。

ただ、このときラインがガリガリと根ズレしている感触がロッドから伝わってきており、正直なところチビりそうな気持ちだった。それでも、船が移動するにつれてラインが弾かれるように根から外れる感触があり、意を決して寄せにかかる。そして、本来であれば船長と声をかけ合って浮かせるタイミングを計るところだが、身振り手振りでネットを入れさせてランディング。自身初の20㌔オーバー(実測20.2㌔)のヒラマサが船上に横たわったときはシビれた‼

ランディング後にコメントを撮り終えたころには海はナギにかわっていた。荒れた状況でのワンチャンス、船長とのコンタクトが取りづらい中でのランディング、自己記録を更新するサイズと、まさに神懸かり的な釣りだった。もちろん、この一部始終はスタッフが集中して撮ってくれた映像に残っており、すべてが真実だ。また、今でこそ超ファストテーパーのジギングロッドは各社から発売されているが、このときのテスト結果によりそのコンセプトが確立されたことは間違いない。

そして、国内でのテレビ放映も終わった後、現地でガイドをして下さった方から1冊の雑誌が届いた。日本人アングラーが初めて表紙を飾ったその記事が、後の済州島でのジギングおよびヒラマサブームの火つけ役となったのである。

大型ヒラマサ ファイト2
ワンチャンスを掴み、ギリギリのファイトでレコードを更新。やはりステップアップには高い壁がつきものだ。

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