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【スローピッチジャーク・ステップ2】タックルを徹底考察

スローピッチジャークでは道具を細分化して考え、自然状況に対応することが基本となる。パターンを決めつけず、無限にある組み合わせの中から状況に応じたセッティングを心がけよう!!

解説:加藤啓之

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ロッドとリール、ラインについて

スローピッチジャークを実践する際はロッド、リール、ライン、ジグ、フックと、1つ1つの道具の性能を知り、組み合わせをかえることで自然状況に対応していく。道具を細分化して考える必要があるわけだ。

ロッド

スローピッチというネーミングから誤解する方もいると思うが、この釣りは単にゆっくり誘うというものではない。実際はかなり激しくロッドアクションに緩急をつける釣りだ。そのため、ロッドにはかなりの張りが必要となる。具体的には高弾性カーボンが採用されたロッドを使用し、その反発力の強弱でジグをコントロールしていくことになる。

潮の速さや波の高さなど、海況は毎回異なる。その中で当日の自然条件に当てはめて反発力を生み出し、ジグをコントロールするには驚くような張りを持ったムチのようなロッドが必要となる。通常よりワンランク上の張りを持ったロッドを使用しないと、さまざまな条件の中でジグアクションに緩急をつけることはできない。特に、僕のホームである静岡エリアは太平洋に面しており、季節や日によって潮が緩いときと速いときがまちまちだ。当然それに対応できるロッドが必要になるわけである。

リール

スローピッチを実践する際のロッドのホールド位置は海面と平行でライン角度は90度、竿は固定が基本となる。前述のように竿の反発力を利用してジグを動かすわけだが、振幅を徐々に増大させてロッドが復元するスピードやピッチの間隔でジグをコントロールする。ロッドはシャクらずに固定なのでリールのハンドル1回転の巻き取りトルクを利用して竿を動かす(リールを巻くことによって竿を振幅させる)。

通常、リールはローギヤ、ハイギヤとあり、魚の性質や生息場所、潮の緩急、ロッドとの組み合わせ、ジグとの相性などで選択する。その中でも糸の巻き量を調節し、直径を上げ下げすることによって、ハイギヤに近いローギヤのリールを作ったりする。もちろんその逆もある。

リールの巻き上げ長は狙う魚種、ポイントの水深によって調節するのが基本だ。青物はハンドル1回転で75~80㌢、底物は1回転で50㌢を基準にしている(ロッドがスムースに復元する点や魚の遊泳力などを考慮して決める)。

たとえば、水深100㍍のレンジで青物を狙うとしよう。この場合、ラインを100㍍放出してハンドル一回転で75~80㌢巻き取れるようにリールをセッティングするわけだが、100㍍先のジグを動かすにあたってローギヤとハイギヤでは当然ギヤ比の違いでリール自体のトルクの差が出てくる。ローは力があるもののスピードが出ない。ハイはスピードは出せるが力不足という問題が生じる。

この場合、100㍍先のジグを動かすにはリール自体の巻き取り力が必要になるため、僕はローギヤの糸巻き量の調節(直径の上げ下げ)で対応している。間違わないでほしいのが各メーカーが発表している最大巻き上げ長ではなく、あくまでも狙う水深でのハンドル1回転の巻き上げ長だということ。そして、狙いの水深ごとの巻き取りスピードは地道な努力で導き出すしかない(おそらく計算方法はあると思うが、残念ながらわからない…)。

たとえば、100㍍の水深を狙うときにスプールに300㍍のラインをセットするとしよう。200㍍巻いて残り100㍍になったときにスプールの両端と真ん中のボディーとのすき間の長さをノギスで計測し、その3つの数値を足す。これを3で割れば平均の直径となる。そして、平均直径×3.14(円周率)×そのリールのギヤ比でラインを100㍍放出したときのリールの巻き上げ長が算出される。

この作業で思いの数値まで届かない場合は再びラインをすべて引き出し、巻き始めのスプールの直径を増して再度やり直しという地道な努力でリールをセッティングすることになる。他にもラインの号数の違いで巻き始めの直径が異なるため、使用号数の分だけ地道な努力が要求される。

みなさんもやみくもに糸を巻くのではなく、巻き始めのスプール直径から50㍍巻き取るごとにスプールを計って計算し、何かにメモしておけばいいだろう。そのデータは次にラインを巻くときに必ず役に立つ。

巻き上げ長が多いものと少ないもの、ジグスピードを出せるものとスピードを殺すものなど、ちょっと考えただけでもたくさんのリールが必要となる。僕の場合、どの海域に行くにも少しでも自然状況にタックルを合わせられるようにと、ついついリールの数が多くなってしまう。

ライン

スローピッチは悪条件(ウネリや潮のスピード、二枚潮、三枚潮など)に弱い釣り方だ。その中で潮の影響はジグよりもラインの方がはるかに抵抗が大きい。それを少しでも軽減するために細いラインを使用する必要がある。

細くなれば当然張力も落ちてしまう。のびの少ないPEラインを使用するのだが、それでも100㍍で3㍍はのびる。糸が伸びれば感度が低下し、リールのトルクや竿の反発力をジグに伝えるのが難しくなる。

ここでラインのよしあしについて、あえて個人的な意見を述べさせてもらうと…。

特にスローピッチジャークに8本編みのPEラインは必要ないと思っている。8本編みの場合、4本編みと同じ号数におさめるためには繊維のひねりを単純に2分の1の細さにしなくてはならない。ひねり糸を編み込んで作り、その8本が均一に揃って初めてその号数の直線張力やアベレージを出すことができる。そして、編み糸1本1本が細いということは、その中の1本が糸絡みなどで擦れると切れやすくなる。

それと、のびを大きく左右するのが編み立てのピッチだ。8本をその号数の細さにするためにはひねり糸を密に編み込む必要があり、密に巻くほどひねり糸が重なる部分が多くなる。結果、のびが大きくなって感度がわるくなるといえる。

確かに8本ひねりのラインを使えばガイドの糸鳴りは減るが、これはまったく釣果に影響しない。それよりも前述のデメリットが釣果を大きく左右する。というわけで、僕は4本編みの細号柄を好んで使っている。

繊細な釣りゆえ悪条件に弱いという点を理解して道具立てやアプローチを組み立てたい。

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