パイオニアのショア青物レッスン①|【オッサンの能書き 其の1】
2018年11月、タレントの福島和可菜さんが隠岐の島のロックショアでメーターオーバーのヒラマサをキャッチした。この結果は多くのアングラーの興味を引き、僕の元にもたくさんの質問が届いている。そこで、同行してその一部始終を見守った僕の視点で当日の模様を詳細にレポートしたい…
解説:本林将彦
昨年(2018年)の11月12日、隠岐島のロックショアで釣りビジョン・ギアステーションでおなじみの福島和可菜さん(以下ワカナン)がPE2号でメーターオーバーのヒラマサを釣り上げました。この件について同行していた僕の元にさまざまな質問が届きました。
「なぜ芸能人の女の子が?」「どんな感じでヒットしたのか?」「どのようにファイトしたのか?」といったことから、「福島和可菜さんはかわいかったですか?」という内容まで。あれからかなりの月日が経過しようというのに依然としてワカナンへの注目度は高く、問い合せが途切れません。そこで今回は興味を持って下さったみなさんへの返信も兼ねて当日の模様を紹介させていただこうと思います。多くのみなさんの問いに答えたいので、2回に分けてかなり詳しく紹介しようと思います。もちろん、すべて読んでいただいても、自分の知りたい項目だけ読んでいただいても構いません。
- ヒットまでの長い道のり
- ワカナンのファイト
目次(全2ページ)
ヒットまでの長い道のり
昨秋は島根県・隠岐島のヒラマサが好調だったため、かねてより「ヒラマサを釣りたい!!」といっていたワカナンを誘ったのだが、当日はあいにくの雨と強風。加えて多忙な本人は「昨夜はほとんど寝ていません!!」とのこと。渡礁したのは午前5時ごろだったが、「体力的にも彼女が釣りをできるのはせいぜい5時間。10時ごろまでが勝負であとは浜吉丸さんの宿で休憩かな…」と考えながら、彼女のタックルをセットした。
まずは朝まづめの高活性に期待して、16㌢のダイビングペンシルをキャストしてもらったが反応なし。30分ほど経過したころには足場のわるい磯やタックルの扱いにかなり慣れてきた彼女。そこでルアーアクションのつけ方や強風下でのキャステイングについてアドバイスした。このときはたくさんのイワシが回遊しており、腹いっぱいの少し贅沢なヒラマサが多かった。そのため、ロングジャークやステイといった、短くて速いアクションには反応がイマイチであった。そこで、このようなときの必勝パターンである「ショートジャーク&ロングステイ」をレクチャーした。
彼女は元自衛隊員ということもあり、僕の説明を真剣な眼差しで聞いてくれ、「ハイ!!」と気持ちよく応えてくれる。さらに、内容をしっかりと飲み込んで即実行。センスがよいのか1つ1つを確実にこなしていく姿には目を見張るものがあり、僕自身も釣りを教えていて気持ちがよかった。
時間の経過とともにルアーの飛距離もどんどん伸び、魚がいたら間違いなくバイトするであろうアクションを演出できるようになってきた。潮もいい感じになってきたのでおのずと期待感が高まる。
しかし、他のメンバーも含めて魚からの反応がない。気がつけば開始から5時間が経過しており、睡眠不足ということでさすがに彼女の表情から疲労がうかがえ始めた。他のメンバーは適度に休息をとっているが、彼女はここまで雨と強風の中でロッドを降り続けており、座らずにがんばっていた。
潮の状態がわるくなったため「今は潮がダメだから休憩!!」と促して無理やり休憩させることに。しかし彼女は2分も経たないうちに、サンドイッチを片手に釣りを再開。ここで僕は初めてウルトラマラソンを完走する彼女の精神力と体力、そして「釣りたい!!」という気持ちの強さを思い知った。それとともに「今日は必ずやってくれる」という確信めいた思いがフツフツと湧いてきた。その後もワカナンは分からないことがあれば僕に質問しながらひたすら竿を振り続けた。
11時になったころ、彼女の足場から左サイドの風が強くなり、波も大きくなってきた。それにともない、彼女のダイビングペンシルはミスダイブを繰り返し、とてもヒラマサを誘い出せるアクションではなくなってきた。どうしよう? やはり女の子にこの強風は厳しいか…。それを見極めようと、とにかく彼女と話すことに。
僕(本林)「今までダイビングペンシルでよい思いをしたことはある?」
ワカナン「福井さんのところでGTを釣ったことがあります!!」
僕「釣れたときのジャークは覚えてる?」
ワカナン「覚えてます!!」
僕「それをやってみて!!」
彼女はダイビングペンシルをキャストすると、ゆっくりとていねいに、そして確実に泳がせた。
「ええやん、それでOK。次は少し風しもにキャストしてみて!!」というと、次のキャストではルアーがどんぴしゃりで潮目に入った。そして、ジャークを始めた次の瞬間に水面が「ドバッ!!」と炸裂した。「ヒッ、ヒット~!!」とワカナン。僕も興奮して「うぉぉ~、デカい!!」と叫んだ。
ドラグがギャーと鳴り、ロッド(ゼナック・Sonio 100M)かグニャ~と曲がる。ワカナンは真っ赤な顔をして海へ引き込まれないように耐えていた。
…と、以上がヒットまでの長い道のりだ。
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