ベイトがいない状況でヒラスズキを攻略する実戦的ノウハウ|【Mr. Perfect vol.3】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

ベイトがいない状況でヒラスズキを攻略する実戦的ノウハウ|【Mr. Perfect vol.3】

磯のヒラスズキ ドリフト1

私の場合、ヒラスズキは回遊タイプと居着きタイプに大別して攻略法を考えている。低水温でベイトがいないときは当然居着きのヒラスズキを狙うことになるが、この場合は基本的に捕食モードに入っていないのでアプローチに工夫が必要となり…

Text & Photo 程野 昇

2019年に入って海水温が急激に下がり始めた。私のホームグラウンドの1つである徳島県美波町エリアも1月末に12度を下回る日が出てきた。太平洋に面しているものの、紀伊水道からの冷水が沿岸部を流れるため、水温変化が激しいのが特徴である。これにより低水温に弱い魚の活性が下がる反面、栄養豊富な海流の恩恵を受けて脂の乗った魚や大型化する魚種もいる。

性質が異なる2タイプのヒラスズキ

2月1日、適度な南ウネリが入ったので磯からヒラスズキを狙うことに。前日に竿を出した餌釣り師の情報によると、美波町の水温は12度前後で狙いのグレが口を使わないとのこと。一方、牟岐大島や海陽町は水温が16度前後で好調らしい。ただ、今回私が狙うヒラスズキは比較的低水温に強い魚である。

私はヒラスズキを回遊タイプと居着きタイプの2種類に大別して考えている。両タイプは見た目をはじめ、性格や産卵時期にも違いがある。回遊タイプは白銀の魚体で主に河口やサーフ、ゴロタ場でまづめどきを中心にヒットすることが多い。ベイトを求めて群れで回遊するので当たれば数釣り可能だが、低水温などでベイトが少ないと極端にヒット率が落ちる。産卵は居着きタイプよりも1カ月ほど早く、2月ごろだと思われる。

対して居着きタイプはやや黒っぽい魚体をしており、沿岸部の磯やテトラ帯など複雑な地形の場所に居着いている。日中の磯でヒットするのはこのタイプが多く、サラシや流れに敏感であるのが特徴だ。また、ナギや低水温など少々の悪条件でもポイントにいることが多く、アプローチしだいでヒットに持ち込むことができるのでゲーム性の高さを感じている。

もちろん、居着きタイプが小規模な回遊をすることもあれば、回遊タイプが一時的に磯に着くこともある。ただ、私は基本的に前述した性質の違いを考慮して攻め分けている。

磯のヒラスズキ ドリフト2
回遊と居着きタイプの2種類に大別して考えることにより、より効率よく狙うことができる。

捕食モードに入っていないヒラスズキの攻略法

当日は美波町の地磯に釣行。ここは居着きのヒラスズキが多いポイントで、潮位の低いときの実績が高いので干潮前のタイミングでエントリーすることに。ポイントに到着するといい感じにサラシが広がっていた。ただ、水温が低いので冬場のメインベイトであるキビナゴの回遊は期待できない。そのため、ヒラスズキが捕食モードに入っていないと想定して挑んだ。

このような状況のときは当webサイトでもおなじみの赤木光広さんに教えてもらったドリフト釣法が効果的だ。サラシの中を前後左右に漂うベイトをイメージしてルアーをサラシ内の流れに自然な形で委ね、じっくりと見せてバイトを誘う方法である。そして、ドリフト釣法に欠かせないのが感度がよく、ティップが柔軟なロングロッドだ。また、ルアーは浮力の弱いフローティングミノーが扱いやすいと感じている。

まずは波のタイミングを合わせたリトリーブの釣りで反応を伺うが、予想通りに反応なし。トレースの角度をかえてもダメなのでヒラスズキがいるであろ根とサラシ内の流れをよく観察し、ドリフトを演出しやすいポジションに移動した。

磯のヒラスズキ ドリフト3
条件的にはいい感じの海況だったが、巻きの釣りでは反応がなかったのでドリフトで食わせにかかることに。

ドリフト釣法が炸裂!!

さっそくサラシの向こう側へルアーをキャスト。ミノーを潜らせてサラシ内へと誘導し、流れの抵抗を感じ取る。そこからは一定のラインテンションをキープしながらロッドティップをルアーに追従させて漂わせる。そしてサラシが薄くなったり、ラインテンションを保てなくなったらルアーを回収。これを繰り返すこと数回、サラシの下で反転するヒラスズキが見えてティップが入った。

すかさず合わせを入れるとフックアップに成功!! ヒラスズキが激しく暴れ回り、元気な姿を見せてくれた。キャッチしたのは60㌢クラスだが、思い通りにヒットさせた1匹はこのうえなく嬉しい。

磯のヒラスズキ ドリフト4
磯のヒラスズキ ドリフト5
狙い通りにバイトを引き出すことに成功。満足度の高い1匹をキャッチすることができた。

ベイトがいないときのヒラスズキの居場所

早々にリリースして釣りを再開。同じように狙ってみたが反応はなかった。経験上、ベイトがいない状況ではヒラスズキがランダムに散らばっていることが多い。そのため、時合を逃さないようテンポよく移動して気になるポイントをチェック。結果、ドリフト釣法で4匹、リトリーブの釣りで2匹のヒラスズキをキャッチすることができた。

その中で唯一確認できたベイトはナミノハナ。そのポイントだけは数回のバイトがあり、通常のリトリーブでヒットに持ち込むことができた。サイズは50~70㌢と大型は出なかったものの、しっかりと時合をモノにできて満足感の高い釣行となった。

磯のヒラスズキ ドリフト6
ベイトがいる場所では巻きの釣りでもヒット。そのあたりの状況を見極めて効率よく釣果を伸ばすことができた。

使用タックル

【ロッド】
ゼナック・DEFI BAHN ブラックフィン DB-S126RG
磯のヒラスズキゲーム専用ロッドで、ドリフト釣法を前提として設計されているのでロングロッドでありながら軽く、柔軟なティップは抵抗の小さなルアーにも追従してくれる。また、RGガイドシステムの搭載により感度が高く、キャスタビリティも抜群。強風下でも安定した飛距離を稼いでくれる。

【リール】
PEEN・スピンフィッシャー450ss

【ライン&リーダー】
PE1.2号+ナイロン30Lb


【程野 昇・プロフィール】

四国南東部をホームグランドにショアのヒラスズキや青物ゲームをはじめ、カヤックフィッシングなども楽しんでいる。数やサイズにこだわらず、価値ある1匹を求めて釣りをするのが信条。また、的確なポイントの読みと型にはまらない柔軟なスタイルで常に確率の高い釣りを展開する。

【磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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