読みと観察眼を磨いてスキルアップ!! 磯のヒラスズキゲーム|【Experienced Plugger vol.3】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

読みと観察眼を磨いてスキルアップ!! 磯のヒラスズキゲーム|【Experienced Plugger vol.3】

磯のヒラスズキ ランガン1

波高の上昇という不安を抱えながら長崎県・生月島の地磯をランガン。常に試行錯誤が求められる磯のヒラスズキだが、自然相手ゆえにチャンスは限られて当然。今回も海況の変化を敏感に察知するよう努めながら、広大なヒラスズキポイントを巡った結果は…

Text & Photo 池田一郎

念願の釣行チャンスが到来

今回釣行した1月20日は暦の上で大寒。年間を通して最も寒い時期のはずだが、私のホームである九州北部ではこの日の最高気温が15度を越えたエリアもあり、これは3月下旬並みの暖かさである。暖冬傾向のまま春を迎えようとしているが、シケも長続きすることはなく、短い周期でナギへと戻るというパターンを繰り返している。
シケがベースとなる磯のヒラスズキ釣りにとって、今シーズンは休日とシケが合致するタイミングも限られがちだ。そんな磯のヒラスズキ釣りの釣行チャンスをうかがう日々の中、弱いながらも一時的に冬型の気圧配置となる日が訪れようとしていた。

釣行前日となる19日の夕方までは移動性高気圧に覆われるナギ日。しかし、深夜にかけて低気圧(前線)が九州北部に差しかかり、低気圧は徐々に発達しながら西進。20日の早朝には気圧差は弱いものの西高東低の気圧配置となる見通しである。そして、これにより沿岸部ではしだいに北西風が強まる予報であった。

  • 釣行前日の夕方まではベタナギだった。

19日の夕刻発表の予報は「20日は北西の風、波高1.5㍍のち2.5㍍」というもの。天気図も参考に、深夜過ぎから風が吹き始め、波高が上がり始めるのは夜明け以降になると予測。予報通りなら朝イチの時点ではサラシを形成するには微妙な波高であると思われたが、シケ始めからの状況を確認すべく釣行を計画した。

今回の釣行先として急な気象変化に対応しやすい地磯を検討。いろいろと考えた結果、九州北部本土より西の平戸島を経て、さらに西に位置する生月島へ向かうことにした。縦に細長い地形の生月島は本土から陸行可能な最西端に位置する。外洋に面して北端から西海岸一帯にヒラスズキポイントが連なり、ランガンで動ける場所は数㌔に及ぶ。天候の急変や他のアングラーとのポイントのバッティングにも柔軟に対応しやすいフィールドである。

磯のヒラスズキ ランガン2
九州北部西岸から平戸島を経てさらに西へ進み、生月大橋を渡って生月島へ。生月島は縦に長い形状をしており、外洋に面してヒラスズキのポイントが連なる。

釣行当日、自宅の福岡を出発したのは午前3時半ごろ。この時点で平戸地区の風向きと風速をアメダスでチェックすると、ちょうど風が南寄りから西寄りへと変化するタイミングであった。

福岡市内から現地までは約2時間半の行程。山沿いでは強い雨が降っており、前線付近の不安定な天候を実感した。夜明け前に現地に到着すると、すでに西から強風が吹いていた。風を正面から受ける西海岸一帯は風向きの変化にともない、早い時間帯から波高が上がっていたようだ。薄暗い中で砕ける波が白光りする光景が眼前に広がっていた。

磯のヒラスズキ ランガン3
到着してさっそく海況を確認すると、想定していたよりも早くシケが進行していた。

予想に反して朝イチからの強風と激しい波を眼下に、当日午前5時発表の予報をチェックすると「波高2㍍のち3㍍」とのこと。昨日の夕方発表の予報よりも波高が0.5㍍ずつ上がっており、実際の現地の状況と重なった。

サラシが十分に広がっていることはよしとして、これ以上にシケが増すと安全面の観点から厳しい。そんな不安を抱えつつ、西海岸の中間部に位置する「方倉」付近にエントリー。ここはゴロタ磯のシャローに根が点在する地形が続き、北上の「塩俵」から南下の「鷹の巣」まで広範囲にランガンすることができる。

  • 方倉付近の風景。

シケ過ぎのシャローにおけるヒラスズキの行動パターン

釣り場に立つと海風と潮のミストが暖かく感じられ、この時期の磯のヒラスズキならではの感覚に思わず武者震いが!! 期待に胸を膨らませてキャストを開始した。

この日は大潮で満潮時刻が午前8時ごろ。スタート直後は強い向い風にあおられた強烈な上潮に苦戦を強いられた。キャストポジションが下がることでブレイクまでの距離が遠くなり、サラシのある沖までルアーを確実に届けることができない。イメージするバイトゾーンでアピールできないもどかしさが続く。

このややシケ過ぎのシャローで私がイメージしていることは、ヒラスズキは自らの身を隠すことができて安心できるサラシ場を好んでいるが、常にその中にいるわけではないということ。海が荒れるほどサラシ内の潮流は複雑になり、そこにステイし続けることは困難であろう。

この状況でヒラスズキが捕食態勢に入るプラス要素として、ブレイク付近に点在する根が大きな意味を持つ。ヒラスズキは体力の消耗を抑えるために、根回りに身を潜めて乱れる潮流から逃れつつ、獲物(ベイト)を物色していると推測している。シャローに流れるサラシの中では、ヒラスズキといえどもベイトを捕えることは容易ではなく、瞬間的にサラシの中へ突入することはあっても、そこで深追いすることはまずないだろう。アングラー目線でいう「サラシの中でバイトしてきた」とは、ヒラスズキ目線からすると「サラシの中へ飛び込んで食った」という感覚ではないだろうか。

さらにつけ加えると、岸と平行にあるサラシの切れ目に対し、一部で帯状に沖へ伸びるサラシ筋を見ることがある。これは沈み根などの影響でスポット的に周囲とは異なる潮流が発生している証しだ。ここでは遊泳力を失いかけたベイトが沖へ流されたり、海底の複雑な根と相まってヒラスズキが好むポイントとなるケースも多い。

磯のヒラスズキ ランガン4
ブレイクライン上のサラシの切れ目、水面が白から青色にかわる境界部分がバイトゾーン。沖に伸びるサラシ筋にも要注目だ。

試行錯誤の末に答えが…


さまざまなことを考えながらキャストを続けること3時間、気がつけば1㌔ほど釣り歩いていたが未だノーバイト。ただ、このころから下潮が活発に動き出し、潮位が下がってきたことを実感できるようになった。そして、注視するブレイク付近の根も波間に見え隠れするようになり、ポイントをよりピンで狙えるようになってきた。

このタイミングで今度は北上する戻りのランガンに移行。風は相かわらず強く、沖では白波が立つほどだが、心配していた波高は朝イチからさほど変化がなく、確実に攻め込むことができればチャンスはあると思えた。

磯のヒラスズキ ランガン5
磯のヒラスズキ ランガン6
依然として波風は強く、沖では白波が立ってゴロタ場には潮の華が舞っていた。
磯のヒラスズキ ランガン7
潮位が下がり始めた復路のランガンでは、ブレイクライン付近の沈み根がより明確になってきていた。

そして、戻りのランガンを開始してからしばらくしたころ、突如としてそのときは訪れた。大波が途切れるタイミングを見計らってフルキャストしたシンキングペンシルが「ガンッ」と引ったくられた!!  ヒット直後から派手なエラ洗いを繰り返したが、これを凌いでゴロタ場にズリ上げたのは60㌢クラスの若いヒラスズキだった。サイズはともかくここまで苦戦した時間を振り返ると素直に嬉しさが込み上げてきた。この感覚はいつもと同じ、釣れてくれてありがとう!!

磯のヒラスズキ ランガン8
フルキャストでブレイクより沖のラインへ。根をタイトに狙ってヒットしたヒラスズキ。

その後は潮位が下がるにつれてブレイクラインとの距離が詰まり、狙いのポイントに余裕でルアーをプレゼンテーションできるようになった。そして、これによりめぼしい根回りでバイトが続いた。私は同サイズを1匹追加し、メンバーも2バイトを得ることができた。

磯のヒラスズキ ランガン9
磯のヒラスズキ ランガン10
一見変化に乏しいゴロタ磯だが、ポイントを的確に捉えることができれば魚が応えてくれる。

強風下でのヒットはいずれも極小リップがついたシンキングペンシルによるもの。ブレイク上の水面直下で水飛沫を上げてのバイトシーンも見られ、ヒラスズキの活性は十分に高いと感じた。正直なところ、朝イチからの数時間はシケ過ぎで「ヒラスズキは沖に離れているのでは!?」という迷いもあったが、実際にはこの条件下でもしっかりとサラシの側近に潜んでいたのだ。これが分かったことは次に繋ぐ形として「釣れない=いない」ではなく、「いるのに食わせきれない攻めの甘さ」であるということを改めて認識した。

対ヒラスズキへのスタンスはシケでもナギでも、よいときもそうでないときも、常に試行錯誤の末にその答えが導かれるのだ。





使用タックル

【ロッド】
MCワークス・ワイルドブレーカー106R

【リール】
ダイワ・ソルティガ3500H
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【池田一郎プロフィール】

九州北部の磯をホームグランドにヒラスズキを追い求める生粋のロックショアアングラー。ヒラスズキ釣り歴30年を誇るベテランで、オフシーズンにはチヌやメバルのプラッギングなども楽しんでいる。

【磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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