釣行に役立つ天気図の見方とは?|【SWクリニック】
どのような釣りのジャンルであれ、釣行前に天気図をチェックする行為は不可欠。その際に押さえておきたい基本事項や知識についてエキスパートが解説!!
基本的な特性だけ押さえれば いろいろなことが見えてくる‼
Answer:宇井晋介
晴れや雨といった情報は、インターネットの発達により今ではピンスポットで分かるようになってきました。その他に釣りに不可欠な情報といえば風でしょう。風の方向や強さも天気予報に出ていますからほぼそれで満足のいく情報が得られるはずですが、それを天気図から見て取る場合には図上にある等圧線が目安となります。
等圧線はHと表示された高気圧やLと表示された低気圧の回りを囲むように引かれています。地形図における山の高低を表わした等高線をイメージして下さい。つまり、Hと表示されたところが山の頂、Lと表示されたところが谷の底。そして、風を水だと考えると高いところから低いところへ流れる、つまりHからLへ向かって吹くということがわかるでしょう。
等圧線の間隔が狭くなっているところは高さの差が激しいところ、すなわち傾斜が急なところです。こうしたところでは水は勢いを増して速く流れます。つまり風が強く吹くのです。逆に、間隔が広いところは傾斜が緩やかということですから、水はゆっくりと流れます。風でいえば弱いということになります。
仮に本州の日本海側に低気圧があり、これが西から東へ移動すると、それにしたがって風の方向がかわります。この場合、風は南東から南西にかわっていきます。また、低気圧が発達しながら通過すれば、低気圧の谷は時間とともに深くなり、流れ込む風の勢いは強くなります。
夏から秋にかけて多い台風では、その中心に向かって反時計回りに風が吹き込みます。このときの風の方向は大変分かりやすく、風を背にして立つと左前方に台風があるという関係が成立します。いいかえれば、台風を左前方に見る向きに立てば追い風を受けることになります。
次に、風と並んでSWアングラーにとって気になるのは波です。こちらもインターネットで情報を得ることができますが、実際の波の状態とは差があることに気をつけて下さい。特に、台風シーズンに多いウネリは波情報にはなかなか表われにくいものであり、波の高さ2㍍との情報で磯に行ったら、3㍍以上のウネリが入っていて釣りにならなかったということも珍しくありません。
基本的に、ほとんどのウネリは台風からもたらされるのでウネリがくる方向は台風がある方角となります。その距離については、だいたい石垣島周辺の緯度まで台風が上がってきたら、本州・四国・九州南岸にウネリが入ってくるほどです。
一方、磯に立つ磯波は周辺に吹く風によって作られるものです。そのため、ときとしてウネリとは方向が違うということが起こります。磯波のくる方向は風がくる方向から推測できますが、ウネリは異なるということを覚えておきましょう。これは危険回避のためにも大事なことです。台風シーズンなど、海況が荒れやすい時期は天気図をはじめさまざまな気象情報をこまめにチェックしましょう。
実際の天候との比較を 毎日検証することで…
Answer:赤木光広
たとえば秋から冬へと移行する時期には、大陸からの高気圧の動きに注視する。いわゆる西高東低の冬型気圧配置となり、北西の季節風が吹き出す時期だからだ。このとき、等圧線が縦(南北方向)寄りで、間隔が狭い地域ほど強い季節風が吹く。これぐらいが基本事項だろうか。あとは実際の天候と比較しながら毎日天気図を見て、自分なりに理解を深めていくしかないと思う。時間はかかるが日々の積み重ねが大事で、慣れれば低気圧が日本の北側を通るのか南側なのか、高気圧の縁のかかり具合など、細かいところまで把握できるようになる。
私自身は若いころにサーフィンにもよく通っており、否応なしに天気図を見る毎日だった。それが今では磯のヒラスズキゲームに非常に役に立っている。釣行しない日でも天気図と実際の天候を比較することはできる。そうして養った感覚と知識は自身の釣りを構築するうえでタックルと同等の大事なエレメントになるはずだ。
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