アングラーの心を熱くさせる魅惑のゲーム、東北のサクラマスジギング | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

アングラーの心を熱くさせる魅惑のゲーム、東北のサクラマスジギング

サクラマスジギング 東北1

極寒の過酷な状況下で一心不乱に竿を振る…。アングラーの心をそこまで熱くさせてくれる釣りが東北のサクラマスジギングです。今回はシーズン・インが最も早い青森県下北半島の傾向と対策を中心に、この釣りのノウハウについて私なりに紹介させていただきます…

レポート:ゴメ(ペンネーム)

厳寒期の魅力あるターゲット、サクラマス

厳寒の2月、東北地方では極端に釣りものが少なくなります。魚もアングラーも冬籠り?  いえいえ、決してそんなわけではありません。寒さに震えながらもたくさんのアングラーが集まり、心を熱く燃やす海域があります。

そこはひとたび天候が荒れれば周囲の景色さえ見えなくなるほど吹雪いたり、ロッドガイドに氷柱がぶら下がるような極寒の世界での釣りを強いられたりします。そんな過酷な状況下でも一心不乱にロッドを振るのは、ターゲットにそれだけの魅力があるからでしょう。

エリアは目前に北海道を望む本州最果ての地、青森県下北半島。狙うのは銀ピカのサクラマスです。

下北半島のポテンシャル

今さら説明するまでもないと思いますが、サクラマスはヤマメの降海型の魚です。サクラが咲く時期に河川回帰するサクラマスですが、青森県では河川での釣りが禁止されています。そこで、このサクラマスを海で狙うわけです。釣り方はジギングですが、これがなかなか手強い…。絶対数が少ないうえに魚の移動が速く、船を流しながら少数の群れで回遊するサクラマスのレンジにジグを持っていって食わせるパターンとなります。

東北地方でサクラマスジギングが盛んなエリアは、主に太平洋岸に何個所かあります。今回紹介する下北半島、そこからやや南下した尻労沖、さらに南下した岩手県の宮古沖、同じく岩手県の越喜来湾周辺、最南端は宮城県の金華山周辺などです。シーズンに入るのが最も早いのは下北半島で2月以降、南下するにつれて3月、4月、5月とシーズン・インが遅れていきます。

下北半島はちょうどサクラマスの回遊経路の交差点に位置します。北海道方面から南下してくる群れが日本海側、太平洋側にそれぞれ分岐する場所なのです。つまりサクラマスの溜まり場となっており、他のエリアと比べても魚影はすこぶる濃厚。年回りによって河川回帰するサクラマスの多寡はありますが、それでも下北半島はサクラマスジギングのエリアとして第1級のポイントです。

下北半島には尻屋崎の海岸線に沿うように形成されるブレイクラインがあるのですが、ベイトを求めてここを回遊するサクラマスを狙います。ポイントの水深はおよそ100~50㍍。代表的なポイントとしては尻屋崎周辺、下風呂方面、尻労沖などがあげられます。

通常、朝はサクラマスの回遊レンジが浅め、日が昇るにつれてハイライトなら深め、日中でも曇天でローライトならやや浮き気味になることもあります。いずれにしても狙うレンジについては船長から指示があり、そこを中心に上下20㍍程度のタナを繰り返し探ることになります。たとえば指示ダナが40~50㍍なら、60~30㍍のレンジを狙うといった具合です。

経験上、サクラマスの群れは上下に10㍍ほどの幅で回遊しているものと思われます。その中の1匹がジグに反応すると、回りのサクラマスもそれにつられて群れ全体の活性が上がることもよくあります。そういったことから船中の誰かがサクラマスをヒットさせたときはチャンスタイムに突入することもしばしば。釣れるときはパタパタと連発することが多いのは青物と一緒です。

ただし、サクラマスの回遊レンジでジグを操作し、誘い続けるのは簡単なようでなかなか骨が折れます。厳しい寒さの中でいつくるか分からないサクラマスのアタリを待つわけですから、辛い釣りとなります。

そして、ルアーフィッシングとは不思議なもので、確信を持って竿を振れば魚が食ってきますが、半信半疑な気持ちでは釣れるものも釣れないということが往々にしてあります。そういった意味でも常に緊張感を持ち、信じて釣り続けることがサクラマスジギングでは最も重要であると感じています。

アプローチの要点

サクラマスの回遊レンジが浅い方がジグに対する追い気があるように感じています。逆に深いレンジを回遊するサクラマスはジグに反応しにくく、群れの活性も低いというのが私の見解であり、そのようなときはヒットも単発であることが多いです。

サクラマスは本来、ジグへの反応がよい魚だと思います。ヤマメの雌である降海型のサクラマスは、体を大きくしてたくさんの卵を生むことを目的としています。そのためにたくさんの餌を食べ、体力をつけようとするはずです。したがって餌となる小魚を積極的に追い、貪欲に捕食するのがサクラマス本来の姿といえるでしょう。ミスバイトしても執拗にジグにアタックしてきたり、リーダー部分が水面に出ても水面近くまでジグを追う場面が見られることからもサクラマスの貪欲さが分かります。

そんなサクラマスをジギングで狙う場合、サクラマスの回遊レンジを黙々と攻め続けることが単純ではあるものの、最も確率の高い方法だと考えています。そして、掴みどころのないミドルレンジを攻めるのに注意したいのがタナボケ。レンジをしっかりと見極めることが重要です。同船のアングラーにヒットレンジを聞いたり、逆に教えたりと情報交換しながらレンジを絞り込んでいきます。

サクラマスジギング 東北2
回遊レンジによってジグへの反応具合が異なるように感じています。いずれにしてもレンジを外さないよう集中して釣ることが大切です。

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