釣果に繋がるフックセッティングの妙【ショア・シングルフック編】

あらゆるターゲットに対応

カツオ類やヒラスズキに対してはトリプルフックと同様に、エラ下の柔らかい部分（伸びる部分）をとらえやすいようだ。もちろんロックショアのビッグゲームでも使える。伸びるロングリーダーなどを使用した場合、フッキングが決まるかどうかはそのリーダーの伸びによってフッキング可能な軸径のフックがルアーに装着されているかどうかで決まることもある。

いずれにしてもシングルフックは使い方によってさまざまな魚種に対してトリプルフックと同等、もしくはそれ以上に活躍すると感じている。ただし、これはあくまでも私自身の見解であり、一概にそうとはいいきれないということをつけ加えておきたい。

セッティングのノウハウ

シングルフックはフッキングしにくいとか、バレやすいという意見も耳にする。しかし、よくよく話を聞くとフックウェートだけを重視して太軸にしていたり、フックを１本で使っていたり、タックルとのバランスが崩れている場合が多いような気がする。

やはりまずは基本事項を押さえることが大切だ。以下ではタックルバランスを整えるために必要なフック選定の４つの要素について解説したい。私はこれを元にタックル、もしくはフックを選定するようにしている。

①初期掛かりを向上させるフックのバランス…ターゲットがルアーにアタックしてきても、フックポイントが魚皮に触れて立たなければフッキングは不可能である。「フッキングをどうするか？」と考える前に、フックポイントをルアーから離し（ロングシャンクのフックを使用する）、フックポイントを増やす（１つのアイに２本セットする）ことで、初期掛かりの確率をアップさせる。これによりフッキングの可能性も必然的に高まる。

②タックルとフックのバランス…いくら強靭なフックでも魚皮に立ったはいいが、使用しているタックルでバーブを通過させて掛けることができなければバレの原因となる。

③貫通力と使用強度のフックバランス…単純に考えると硬くて細い線材は貫通力が高いもののモロい。逆に柔らかくて太い線材は貫通力が低いが折れにくい。これも一長一短で貫通させるために合わせを入れると、折れたり伸びたりする。そのため、使う前にフック強度を体感しておくことが大切だと思っている。フックポイントを立てて引っ張る、実際にはベンドまで掛けて引っ張る、という２つの実験を行なえばいいだろう。私の場合はターゲットごとの実用強度に耐えられるなら、バーブまで抜ける可能性が高い細軸フックを使用するようにしている。

④ルアーとフックのバランス…いくらよいフックを使っても、ルアーに魅力的なアクションを与えられなければ魚もアングラーもトーンダウンしてしまう可能性が考えられる。そこでさまざまなフックをセットして釣行前に動きをチェックしておきたい。フック単体でバランスを補うことができない場合はルアーに鉛テープを貼るなど、ウェートチューンを施す必要がある。

ビッグゲームにおける可能性

ショアゲームにおけるシングルフックの有効性については、基本的にはトリプルフックとかわらないと考えている。しかし、ベイトタックルの導入にともない、リーダーのマテリアルや長さと太さに自由度がでてきた。フィールドのロケーションによってリーダーの選択肢が広がるというベイトタックルならではの利点である。

たとえば、ロックショア・ビッグゲームなどではフロロカーボンやナイロン、ブレイデットなど、さまざまなマテリアルのリーダーを使用するケースが想定できる。この場合、ＰＥ＋ショートリーダーを使用するときに比べてリーダーが伸びるので瞬発的な力がフックポイントに伝わりにくいと考えられる。そのため、より貫通力が高いシングルフックを選択するようにしている。

私の場合、ロッドの吸収力やラインとリーダーの伸び、初期ドラグ設定値、ターゲットのサイズ、マックステンションなどを加味して貫通性能において十分な強度を持つフックを選択する。ランディングの確率を高めるようなタックルバランスという考え方だ。

ラインシステムやフックセレクトはどちらかというと地味で保守的なテクニックだが、そこをおろそかにするとターゲットと出会えるチャンスはあっても「取れる確率」を下げる結果になってしまう。そういった意味でもフック使いはタックルバランスの一環として重要なファクターだと感じている。

私もまだまだ試行錯誤中ではあるが、フロントアイに２本、リヤアイに２本のシングルフックを装着することにより、トリプルフックとほぼかわらない性能を発揮するのでぜひ試していただきたい。フッキングのメカニズムについてはランディングした魚がたくさん教えてくれる。