神がかった力で取れた92㌢のヒラスズキ |【奇跡のランディング②】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

神がかった力で取れた92㌢のヒラスズキ |【奇跡のランディング②】

大型ヒラスズキ ランディング1

かつて徳島で未体験級のヒラスズキをヒットさせた。だが、無我夢中のファイトを展開するうちにあろうことかギャフを水没。手も足も出ないほど絶体絶命の状況で私を救ってくれたのは…‼

解説:赤木光広

幼少のころの思い出

小学3年生になったころから、週末になると父に近所の堤防へ投げ釣りに連れて行ってもらうようになった。当時は海釣りといえばもっぱら投げ釣りが主流で、どこの波止もズラリと投げ竿が並び、カレイやアイナメ・キスなどを狙う大勢のキャスターで賑わっていた。

父は私にリール、竿、オモリ、仕掛けがセットになった道具を買い与えてくれた。大変うれしかったことを今でも覚えている。

職人気質である父は釣りにおいても厳しく、小学生の私に4㍍の重いグラスロッドを持たせては「大人に負けるな」とサーフでキャスティングの特訓を1日中させた。オモリだけをセットしたタックルで、投げては回収する、をひたすら繰り返したおかげで子供にしてはキャストがうまくなり、遠投してそこそこのサイズのカレイを釣ることができるようになった。ただ、釣りは好きだったが、あまりのスパルタぶりを見せる父に同行することが少々嫌になっていた。そんなある日、雑誌で目にしたルアー釣りに心が引かれた。

ルアー釣りを始めると、それまでよりも大きな魚がヒットした。溜め池ではいいサイズのバスを何度となくバラし、この釣りではランディングというクライマックスにもかなりの経験と技術が必要だと痛感した。

一方、父はあいかわらず投げ釣りに没頭しており、私が楽しそうにルアーを眺めている姿を見てはケチをつけ、ルアー釣り自体をまったく認めようともしなかった。今思えば、それまではいつも一緒だった私がルアーというわけの分からないものに興味を持ち、1人で釣行するようになったことが寂しかったのだろう。そんなことには気づかず、私は餌釣りにはない不思議な感覚、そして、これで釣れるという事実や魚とのダイレクトなやり取りにどんどん心を奪われていった。

そして、運転免許を取って仕事についたころ、SWルアーの世界へ足を踏み入れた。ここでも詰めの甘さから、何度となくデカいマルスズキやヒラスズキをバラして悔しい思いをすることになる。ただ、青物については取り込みでバラした経験は少ない。ガッチリとフッキングしていることが多いし、大型だとそれ以前にラインブレイクでバラすことがほとんどだというのもその理由だろう。やはりスズキのように跳ねる魚ほど、バイトから取り込みまでのトータルで見てバラしやすいといえるだろう。

そんな中で、奇跡のスーパーランディングといえる経験が一度だけある。それはこの先も絶対に忘れることはないであろう、不思議な経験だった。

当日の状況

その日は取材で四国南東エリアへヒラスズキ狙いで釣行した。現地は魚影が濃く、サイズ・数ともに期待できる。しかし、当日は低気圧の通過にともなう南東のウネリが3㍍を越えていて、ヒラスズキを狙うには少し波が高い状況だった。このエリアは全体的に低い磯が多く、波が高過ぎると釣りづらくなる。

そんな中、12㌢のスリムミノーをセットし、海岸線を北へ、南へと目ぼしいポイントをランガンして回るが、あまりに大きなウネリのために自分の釣りが組み立てられない。勝手のわからない完全アウェイの状態で、ただただ時間が経過していく…。

大きな岬を少し回り込み、ウネリをかわせるポイントにたどり着いた。ただ、ベタナギではないにしても波が穏やかなためタイミングを計ってキャストする必要がある。また、地形は足もとからドン深で、波の集中するその足もとにのみサラシができているという取り込みづらいポイントである。一方、前方のシモリ回りにできるサラシの近くには落ち込みがあり、それまでの経験からヒラスズキが出るならそのあたりだと推測した。

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