【ヒラスズキゲームQ&A】Q1.各地のシーズナルパターンは?
シューティング的要素を含めたゲーム性の高さから、SWゲームフィッシングの中でも至高のターゲットの1つに数えられるヒラスズキ。ここでは各地のシーズナルパターンについて、ヒラスズキゲームに精通するエキスパートが解説!!
関東エリア
【磯】ベストは春、そして秋以降だけど…
Answer:橋本 景
ヒラスズキは周年釣ることができるターゲットで、その年間の行動は産卵期を中心に考えられます。ヒラスズキの産卵期には地域差や年によるズレがありますが、おおむね1月末から3月初旬です。
ベストシーズンは産卵期を挟んで春は3~6月、秋冬が11~1月。サイズ、数ともに釣りやすい時期です。春は産卵後の体力回復のために、秋から冬は越冬や産卵のため積極的に捕食活動をするからです。もちろんそれ以外の時期でも十分釣ることができます。夏の暑さ、冬の寒さに耐えられればヒラスズキは周年釣れると考えていいでしょう。
近畿エリア
磯、サーフ、河川のどこかで年中OK‼
Answer:大橋究未
本州最南端の串本町ではほぼ1年中ヒラスズキを狙うことができる。普段はこのエリアの磯をメインに釣行を重ねている私だが、磯で釣れにくくなる時期はサーフに目を向ける。また、磯で釣れているときでもサーフに出かけることは少なくない。これはこれでおもしろいパターンなのだ。まあ、私の場合は純粋なサーフで釣りをすることはなく、河川が流れ込む場所や磯が絡むサーフの釣りがほとんどであるが…。
1月から磯が絡むサーフにトウゴロウやキビナゴなどのベイトが溜まることがある。ただ、そんなときでもベイトは気まぐれだ。まづめにアタることもあれば、真夜中にアタることもある。大量のベイトが入れば大型ヒラスズキの連発も期待できるが、まばらなベイトでは型も数も劣る気がする。
2月からは稚アユが入り始めるのか、河川絡みのサーフで期待が持てる。寒いのを我慢すれば大型のヒラスズキも望めるときだ。
3月になるといよいよ春が訪れる。下がり切っていた水温も三寒四温で上がりだし、ヒラスズキの活性もようやく上向き始める。ただ、それでも磯は少し厳しい。やはり河川絡みのサーフが有望である。
4月になると釣況はハイシーズンへと向かう。大雨の降る日が多くなり、雨後にすぐ釣行できれば期待が持てる。自然の河口では狭かった流れ込みが開き始めていくようなら明るい時間帯でもルアーをキャストすればヒラスズキがヒットする可能性がある。また、雨がなくても稚アユの動きしだいで期待が持てる。サーフのサラシでボイルすることもあり、そんなときはトップウォーター系が有効だ。
少し早いが5月からは夏の釣りである。河川では大雨後の満潮から下げが期待大。6月、7月も同様だ。この時期は磯絡みのサーフにも魚が集まることが多く、ヒラスズキが釣りやすい時期といえる。私が積極的にフィールドへ出かけるシーズンだ。
8~9月はサーフ寄りの河川の中を狙うのがよい。台風の雨後なら小さな河川のサーフがよいことが多い。カケアガリやシモリ、テトラなどを丹念に攻めるといいだろう。
10月、11月も8~9月もパターンが当てはまるが、しだいに磯近辺のサーフに目を向け始めるときだ。キビナゴの接岸があり、日暮れの前後にそれまで反応がなかったことが嘘のようにヒラスズキが連発することがある。朝まづめも同様だ。やはり満潮が重なると期待大といえる。
なお、12月も同様の攻め方がおもしろい。ただ、この時期にはベイトにトウゴロウが加わる。その点にも留意してゲームを組み立てていくことになる。
【磯】春は南西、冬は北西の風と向き合って…
Answer:赤木光広
ヒラスズキゲームはまず天候と向き合うことから始まる。この釣りはアングラーにとって非常に過酷な条件下で展開するケースが多く、1年を通じて風向きや水温の変化などの多様な条件に攻め方を合わせていかなくてはならない。
私のホームグランドである紀伊半島の場合、春分の日ぐらいからがアフタースポーニングのヒラスズキが入ってくるタイミング。これが春パターンの開幕である。
南西の風が吹き出すのも目安の1つである。水温上昇中のシャローエリアでは活性の高いヒラスズキが連続でバイトすることが多くなる。ベイトのほとんどがキビナゴであり、サラシの中でヒラスズキがボイルすることも珍しくない。
そして、夏になると潮通しのよいポイントでしか食わなくなることがある。ここからの高水温期には岬の先端付近などの常に潮の動きがあるエリアを選ぶようにしている。
秋からは北西の風が目安となる。小型の数釣りから始まり、少し水温が下がりだす12月半ば以降に大型ヒラスズキがアタりだす。特に、冬型気圧配置の強い日で大潮の午後は、大型がバイトする確率が高い。だからそこを意識して狙っている。
そして、1月、2月はヒラスズキにとって産卵に向かうための荒食い期である。ただし、魚がナーバスになっていくときでもあり、こちらはヒラスズキ以上に神経を使って攻めなくてはいけない。
なお、個体差はあるものの2月末ぐらいから大型から順に産卵すると思われる。こここから3月の上旬までは一服の時期といえるだろう。
【リバー】川筋に魚が集中する期間に勝負‼
Answer:安田栄治
紀伊半島の場合、河口部の払い出し周辺では1年を通じてヒラスズキの実績があるものの、河川内に限定すると5月から10月一杯がシーズンだ。このエリアでは3月の中ほどにヒラスズキの産卵が行なわれ、4月には普段生息する沖の瀬回りから産卵場に落ちていた個体が体力を回復するために比較的容易に餌が取れるフィールドを目指すようになる。
エリアの最南端の河川である古座川では2月下旬から4月下旬にかけて稚アユのソ上があり(北上するにしたがってソ上のタイミングがズレる)、このころには河口周辺も有力な釣り場となる。ただ、稚アユは最終的に川を目指すものの、当面は河川の影響があるエリア全般に存在するし、それ以外の場所にもトウゴロウイワシやキビナゴがいるからヒラスズキは広範囲に散らばる傾向にあって数・型ともにあまり期待できない。
河川内でもヒラスズキの釣果が上がり始めるのは5月からだ。稚アユの他にもイナのベイトが豊富なこともあり、ヒラスズキがいれば活性が高くて比較的イージーに釣れる。ただし、まだまだ他のフィールドにも分散しているから数はそう出ないし、サイズも40~60㌢クラスがメインになる。
6月はそろそろ磯のシーズンが終わるころ。ヒラスズキの回遊が河口周辺にシフトし始める。磯回りの水温が上昇するのがヒラスズキに適さないのか、もしくはベイトが少なくなるのが原因だろう。とにかくリバーパターンの本番が始まる。入梅による降雨は好条件だ。適度な濁りの発生と、ベイトの流下などでヒラスズキの活性が上がることが期待できる。しだいに大型も出現するようになる。
7~9月はリバーゲームの最盛期。目の覚めるような爆釣劇があるし、モンスターヒラスズキのヒットもこのシーズンに集中する。7月初旬までは梅雨、それ以降は台風による降雨がキーワードといえるときだ。9月後半に入って水温の下降とともに磯での釣果が聞かれるようになると、河川内での釣果は縮小傾向になるが、それでもタイミングしだいで10月一杯は十分に釣れる。
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