元祖グルグル釣法の実力とは?
任意のレンジで餌木を水平移動させ、イカに抱かせるタイミングを長く演出するグルグル釣法。イカ釣りの基本ともいえるスタイルだが突き詰めれば実に奥が深く、さまざまな観点からその有効性が見えてくる…
解説:橋本武司
水平移動の成否は補正能力にあり
私がイカ釣りを始めたころは夜釣りの対象とされていたので私もそれに習い、毎晩のように消波ブロックや磯場を徘徊していた。今思うと視界のきかない夜間に海底の状況を想像しながら集中して釣りをした経験が非常に役立っている。
もちろん、明るい時間帯に下見をして餌木の飛距離なども把握したうえで夜釣りに挑むわけだが、暗闇で少し波立っていたり、風が強いときなどは自分がキャストした餌木の着水点さえわからないときもある。その中で経験を重ねていき、想像力をプラスして海中の状況を三次元でとらえなければ攻めきれないものだ。
当時の私は最初にイイダコキャンディー(軽めのタコ用和製ルアー)をキャストして底をズルズルと引き、海底の岩礁や藻場の位置、地形の把握に努めていた。そのうえで餌木をキャストするなど、今では考えられないほどマジメにいろんなことを試していた。
グルグル釣法の概要と実践方法
想像力と集中力を駆使して海中をイメージし、餌木が水平移動するように操作するのがグルグル釣法である。まずはキャストした餌木が着水して沈む様子を想像する。パッケージなどに各餌木の沈下速度が記載されているが、それはあくまでも自然状況の中で障害のない状態でのデータなので参考程度にとらえておきたい。
風が吹けば糸フケが発生して餌木が沈みにくくなるし、潮の流れがある場合も同じような状況となる。それらの抵抗(餌木やラインが引っ張られる力)も計算に入れ、リーリング速度を調整しながら餌木が水平移動するように操作しなければならない。想像する際のヒントとしてはリーリングしなければ餌木は手前にくるにつれてどんどん沈むので、レンジをキープするためにラインを巻き取るといった具合だ(図1を参照)。
ぶっつけ本番ではなく、風も波もない日の明るい時間帯にリーリングで餌木の動きを見ておくと夜間でもイメージできて水平移動を実践しやすくなる。足もとで餌木を操作すると、ほんの少しテンションをかけるだけでステイを演出できることもわかるだろう。
また、餌木の沈下速度はリーリング速度以外にラインの角度でも調整できる。海面に対して垂直に近いほど餌木はゆっくりと沈み、平行に近いほど速く沈む。この感覚をつかめばデッドスローからやや速めの水平移動の演出も可能となる。
そして、グルグルは状況と操作法がイメージでき、それに合ったタックルを選んでひと工夫すればあらゆるシチュエーションに対応可能な釣法でもある。たとえば、サーフエギングの場合は飛距離はもちろん、沈下速度も重要な要素となるのでロングロッドも有効だ。また、風の影響がない状況なら高場に釣り座を構え、ロッドを立てれば餌木のフォール時間を長く稼ぐこともできる。逆に短くしたいときは立ち位置を一段下げてロッドを前に突き出すなどすればOKだ。
さらには風、波、潮流、水圧、水温、立ち位置、時間、ラインの太さなど、さまざまな条件を考慮しながらそれぞれの要素を組み合わせればプラスマイナスゼロの状態、すなわちステイを演出することも可能である。
そして、このプラスマイナスゼロから沈めず浮かさず状態で引き寄せると水平移動(グルグル)となる。不慣れな場合や、少し波立った状況などでは重めの餌木の方が操作しやすいだろう。また、餌木の鼻先に糸オモリを巻くなどの対処法も有効である。後はとにかくいろいろと考えながら経験を重ねていくしかない。
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