「急流場で餌木の操作精度を高める」をテーマに、秋のエギングを楽しもう!!
アオリイカにとって魅力的な餌場となっている急流場。ボトムに狙いを絞り、積極的なラインの送り込みで餌木の浮上を制御することが攻略のキモとなるから…
解説:吉田 聡
秋は急流場に注目
秋に狙い目になる場所の1つが急流ポイントだ。たとえば、潮の干満によって狭い海峡に急流が発生する場所である。潮が走っている時間帯に海を眺めると、まるで川のようで思わず身構えてしまう。
秋はアオリイカの成長期であり、胴長15㌢以上に成長した個体は餌を求めて安全なシャローの藻場を離れ、さまざまな場所へ積極的に回遊するようになる。その中でも急流ポイントは餌となるベイトに遭遇できる確率が高い。青物などの外敵の回遊が多いのも事実だが、アオリイカにとってはそれ以上に魅力的な餌場となっているようだ。
そして、急流場のアオリイカは餌木への反応がすこぶるよい。それほど遊泳力に長けているわけではないアオリイカが速い流れの中で定位するのは大変なことであり、餌を見つけたらすぐに勝負を仕掛けてくる。そして、急流の中では主にボトムをタイトに回遊しているので、底スレスレのレンジに餌木を通したい。そういったことから底を取りやすいシャローエリアを選ぶようにしている。
スキルアップの心得
かなり乱暴な計算になるが、PEライン0.6号の直径を0.13㍉とし、海中に漂う長さを30㍍(30000㍉)とすると、0.13×30000=3900平方㍉㍍となる。円柱形状の水中抵抗は複雑な計算となるので単純に断面積の計算としたが、これは100円玉10個分近くに相当する。
何がいいたいかというと、これだけの面積で潮流を受けるのだからその抵抗は相当なもの。100円玉ぐらいのリップがついたミノー10個を一気に引っ張ると想像すれば分かりやすいだろうか…。急流場でのエギングはこれに対していかに餌木をレンジキープさせるかがテーマとなる。餌木をドリフトさせつつ、ラインを出し入れしてレンジをコントロールするイメージだ。
そして、基本事項として覚えておきたいのは潮かみに餌木があるときはフォールさせやすく、潮しもにあるときはフォールさせにくいということ。潮かみに餌木があるときは放っておくとアングラー側に近づいてくる形となるのでテンションが抜けやすく、餌木はどんどん沈下していく。逆に潮しも側にあるときはアングラーから遠ざかる方向に動くため、浮き上がる方向の力を受けてフォールしにくい。したがってまずは潮かみに餌木を投入することになる。
キャスト後は海面に落ちたラインの軌道をよく観察しながら余分な糸フケを回収。テンションが緩くなりつつフォールするので着底の瞬間は明確に把握しづらい。その点を考慮して手もとに伝わる感触を頼りに着底を判断するのではなく、別の手段を講じる。
私が実践しているのはカウントダウンフォールだ。着水からおおよその秒数を決めておき、腕時計の秒針などで時間経過を計って着底を判断するというもの。たとえば、30秒経過でサソイを開始して、ボトムの感触がなければ次のキャストでは40秒にするという手順になる。この場合、なるべく安定した状態でフォールさせて正確にアプローチしたいので、風などの影響を受けやすいテンションフォールを避けてフリーフォールとする。
他にもフォール中に任意でシャクリを入れ、ボトムに着底していたかどうかを判断するというやり方もある。この場合はシャクッた分だけ餌木が手前にきてしまうので、サーチする範囲が若干狭くなるのが難点だが…。
餌木に与えるアクションについては、急潮流の中できれいにダートさせるのは難しい。ラインが潮しもに向かって引っ張られるため、餌木は必然的にその方向にしかダートしない。さらに、ラインには常に潮流抵抗がかかっているので餌木が浮きやすい。何度もシャクるとすぐに浮いてしまい、イカとの遭遇率が下がるので要注意である。
そのため、急流ポイントでは「1回シャクリ→テンションドリフト」といったレンジキープをメインにして誘うのが私のパターンだ。急流の中でのアオリイカは十分に活性が高く、ハデなアクションを演出しなくても餌木に興味を示す。
まとめると、レンジをキープするために潮かみへキャストし、アクションは餌木の浮上を抑えるために多段シャクリを避けるというのが急流攻略のキモとなる。
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