【UNCHAIN SKILL act.4】道具目線のエギングスタイル【前編】
リール
近代エギング創世記は「エギングに上級機種は必要ない」とさえいわれてきたリール。確かに激しいシャクリで想定以上の負荷がかかっていたのも事実で、当時は最高機種であっても現行機種ほどの耐久性がなかった。しかし、近年は耐久性も飛躍的に向上し、高い性能が長期間維持できるようになった。だからこそ、できるだけよいリールを使いたい。
巻きの釣りをしなくても、ロッドワークを多用してゲームを組み立てるエギングにおいて、ブレのない堅牢性がストレスを軽減するメリットは大きい。2007年に購入した3世代前の私のエギングリールは、細かいことをいわなければバリバリの現役だ。メーカーの修理やパーツ供給が不可能なので、将来的な部品のキープも兼ねて中古市場を覗いてみたが、未だに3万円ほどの値段がついている。上級機種は初期投資が大きいが、結果として高い買いものではないと考えている。
1000番、2000番、2500番
エギングリールといえば一般的に2500番クラスが定番。メーカーもそこに注力して商品を展開しているので既成事実のようになっているが、私の考えは異なる。
十数年前はほとんどのエギングロッドに搭載されていたLDBガイドだが、径の小さなバットガイドで強く絞られた部分においてラインの放出が滞り、ブランクを叩くことが少なくなかった。当時はそれがトラブルを減少させる最良のコンセプトだった。また、リールもスプール系が大きいほど飛距離が伸びると信じられていた部分もあり、そうせざるを得なかったのかもしれない。ただ、私はラインがブランクを叩くことによるラインの放出の阻害が飛距離に大きく影響することに不満を持っていた。
そこで採用したのが1000番クラスのリール。これを使用することでブランクを叩くこともなくなり、飛距離は大幅に伸びた。ちょうどライトなロッドを模索していたころでバランス的にも最適化することができた。
リール自体の軽量化もさることながら、コンパクトサイズだから重心が手元に近くなり、軽量感や操作性が目を見張るほど向上した。また、軽いのでやわらかくロッドを握ることができ、感度の向上にも繋がった。標準設定のハンドルは短いので換装が不可欠だが、ハンドル長が巻き上げパワーやそれとは反比例する巻き感度を決定することも学んだ。残念ながらラインキャパシティーがPE0.6号なら140~150㍍なので厳寒期~春のメインリールとして使用するのは難しい。性能面では、強度的にもパワー的にも問題ないのだが…。
そして、近年愛用しているのが2000番クラス。2500番よりもわずかにコンパクトで軽いだけだが、軽量感や操作性、感度の差は明確に分かる。ラインキャパシティーもPE0.6号なら200㍍、PE0.7号なら180㍍なのでデカイカシーズンも安心して使用できる。長期的な耐久性やパフォーマンスの維持については1000番でもそれほど低下していないが、2000番はまったく不安を感じていない。個人的にはエギングリールの標準にもなり得ると感じている。
LDBリール
エギングでLDBリールを採用するアングラーは皆無だが、私は8年ほど前から愛用している。当初の目論見とは異なり、流れの中でオートマチックにラインが出ていくことはないが、これまでベールを返してスプールエッジに指を添えてフェザリングし、糸の出し入れをしていたのが、LDBを用いることでクラッチを切ってハンドルを戻しながらフレキシブルでリニアな操作がスムーズに行なえるようになった。高低差のあるフォールや流れの中でのドリフト時に、ラインテンションを一定にすることでイカに違和感を与えないアプローチをMT感覚で行なえる楽しさがある。もちろん足元で掛けたデカイカのファーストランや足一本のフッキングによる身切れにも対応できる。
近年では1000番クラスのラインナップも登場し、しかも深溝仕様もあることからラインキャパも問題なし。激しくシャクるとガコンガコンという衝撃があるが、これは逆転防止機構が備わっていないから。最初は大きな違和感を覚えるだろうが、慣れれば力加減でその衝撃を軽減することができる。また、これは抵抗がかかったときに少し逆転することで起こるのだが、巻きの釣りでアタリを増幅するというメリットもある。
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【安田栄治・プロフィール】
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