【オフショアジギング】セミロングジグの真の使い方とは?
ディープライナー・スパイファイブ
解説:東村真義
《基本シチュエーション》 ●ターゲット…カンパチ(3~50㌔)・マハタ(3~50㌔)・ブリ(3~10㌔)・ハガツオ(1~3㌔) ●ポイントの概要…水深50~150㍍の岩礁帯で、カケアガリや瀬の頂上付近を狙う。ベイトは青物ならイワシ・ウルメイワシ・サバ・チビキ。中深海の場合はハダカイワシやオキアミ類など ●使用するジグの詳細…ウェートは150〜400㌘。カラーはシルバー、ブルー、ピンク、ブルーピンクの順に使用。これで反応がなければNSゼブラグロー、PANDAカラーへ移行)
[spacer]セミロングジグの強み
セミロングジグとひとことでいっても数えきれないほどの種類が存在する。そこで、今回はスローピッチに特化したタイプに絞って話を進めたい。
以前は、スローピッチではスロースキップシリーズをメインに使用していた。ポイントに到着し、状況判断のために最初に使用するのがVB(潮流が緩く、魚の動きが鈍くて食いがわるいときに有効)。そしてCX(潮流があり、遊泳力を使って餌を追従し始めたときに効果的)、FB(潮流が速く、二枚潮がジグの動きに影響を及ぼす状況で特に有効。マハタの実績はナンバーワン)、フレック(フォールにしか反応しないときに最強の武器となる)、ビブ(小刻みな独特のフォールアクションで青物・根魚に有効)などを使い分けていた。
このシリーズは海況を読み取れる固有の特徴を持っている。分類としては「ショートタイプ」に属し、短くて幅広の形状となる。強みはフォールアクションを演出しやすいところ。ターゲットがジグを追わない渋い状況下ではフォールが特に有効となる。一方、デメリットは派手にフォールするものの、幅広形状のショートジグなので巻き上げがやや重く感じられ、高速スピードでアクションを演出しにくい点だ。
一方、細くて長いロングジグのメリットは巻き抵抗が軽くてフォールが速いこと。アクション特性は主にロングスライドで遊泳スピードの速い青物や大型魚に有効となる。デメリットは細身の形状であるがゆえにフォールスピードが速く、フォールバイトが極端に少なくなることだ。
スパイファイブの特徴
前述のショートジグとロングジグのメリットを合わせ持つのがスパイファイブだ。既存のスパイをベースにしてテストを繰り返した(テスト期間は3年。日数にすると約450日)。細身の形状でジャーク時の引き重りが少なく、超高速巻きでもストレスを感じない。それでいて食わせるためのしっかりとしたフォールアクションを演出できるのが強みだ。
効果的なシチュエーション
私のメインフィールドである室戸岬周辺ではイワシやウルメイワシの回遊が多く見られ、スパイファイブは特にウルメの反応があるときに抜群の釣果を上げている。
ウルメは太陽がのぼると宙層付近を群れで回遊するため、ボトム付近にいるマハタやマダイなどは常に上層を意識している。スパイファイブによるフォールはそんな状況下で特に有効となりバイト率が高い。また、遊泳力があって高速で逃げるものに反応するカンパチやブリなどに対しても、ハイスピードアクションをストレスなく演出できるこのジグが有効となる。
パイロットパターン
ポイントに着いて最初に把握したいのは水深と潮流の速さだ。たとえば水深130㍍で潮流1㌩という状況ならスパイファイブ180~220㌘を選択する。また、同じ水深でも潮流2㌩の場合は250㌘や350㌘といった少し重めのウェートを使用する。
いずれもフォールアクションを考慮しての選定である。なぜなら、潮流が速くなると水流がPEラインを押し流してフォールスピードに影響を及ぼすからだ。魚が食ってくる最適なフォールアクションを演出するために「潮流が速くなる=水の抵抗が増える」ということを覚えておいてほしい。それを前提に最適なウェートを選びたい。
そして、ジグ投入後のフォールに神経を集中させ、フォール中のジグに反応する魚がいるか? また、どの層で反応してくるかを把握する。宙層付近でフォールスピードに変化があれば、正体はカツオやハガツオだ。宙層からボトムにかけて変化があればマダイ・ブリ・マハタ・カンパチなどが追従していると予測できる。
着底後のアプローチパターンはターゲットによって異なる。青物の場合はボトムから一気に15㍍ほど巻き上げ、長めのフォールを入れて食わせる。ジャーク&フォールの間隔は1㍍、3㍍、5㍍、10㍍と試していき、これを40㍍ぐらいまで繰り返す。カンパチは瀬回りにつくことが多く、食わせた後のやり取りを有利に持っていくためにもできるだけ上層でヒットさせたい。
根魚を狙う場合はボトムから5㍍以内の根回りを重点的に狙う。ジャーク&フォールの方法はボトムから3回ジャークして再びフォールで底を取る、もしくは5回ジャークしてフォールといった具合だ。
フラットな地形ならこの繰り返しでOKだが、カケアガリでは水深が急激に浅くなる。そのため、3セットに1回の割合で10~15㍍ほど上げて根掛かりを回避する。根魚狙いの場合は起伏の激しい場所を狙うので当然根掛かりのリスクも増える。これを軽減するためにもカーブポイントのフックの使用をおすすめする。
(SWゲームフィッシングマガジン 2014年8月号より)
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