【オフショアジギング】セミロングジグの真の使い方とは?
ショートジグとロングジグ、両者のメリットを融合させたセミロングジグは使い方しだいで大きな武器になる。幅広いスタイルにマッチする汎用性の高さを生かして夏の好ターゲットにアタックしよう!!
[spacer]シーフロアコントロール・アーク
解説:弘田一博
《基本シチュエーション》 ●ターゲット…ブリ・カンパチ5~10㌔クラス、その他青物全般 ●ポイントの概要…水深80~130㍍の天然瀬や漁礁。潮流は比較的速く、ベイトはイワシなど ●使用するジグの詳細…ウェートは180~260㌘。カラーはシルバーやゴールドをメインに使用(グローパターンはゼブラグローやスポットグロー)
[spacer]セミロングジグの強み
ロングジグと比べてシルエットが小さくなるので比較的水深の浅いエリアではターゲットに違和感を与えにくい。マッチ・ザ・ベイトの観点からも、ほどよいシルエットといえる。逆にショートジグよりもシルエットが大きくなるぶん集魚効果があり、上げ&下げともにアピール力が高い。
アークの特徴
今回紹介するアークはややフロント寄りのバランス設計で、自走や止めのアクションを自在にコントロールしやすい。青物狙いにおいてセミロングが威力を発揮するのは、ターゲットがそれに応じたベイトを捕食しているときに限る。時期がズレれば捕食している魚の種類もかわるので見向きもしないことがある。
ホームである高知県西部の青物ポイントは天然瀬が多く、比較的潮の流れが速い状況が多い。同じポイントでも潮流(船の流れ方)によってカケアガリ狙いになることもあればカケサガリになることもある。いずれにしてもセミロングでの釣りは上げで適度にアピールし、フォールではスピードや姿勢が非常に重要となる。
上げでは速めのピッチでジグを操作し、船長の指示するレンジ(魚探に映るターゲットのタナ)で食わせの間を入れる。フォール時も同様に反応のあるレンジを意識し、そこでフリーフォールや止め、テンションフォールといった多彩なアクションを演出して反応をうかがう。上げでヒットさせることだけを考えるのではなく、その後のフォールが最大のキモになることを覚えておいてほしい。
アークはそういったサソイ後のフォールをかなり重要視した設計になっている。ただし、潮流が速い場所でフォールの威力を引き出そうと思えば、ジグウェートをこまめに調整しなければならないケースもある。
効果的なシチュエーション
魚の活性が高い朝イチの時合やポイント移動を頻繁に繰り返すときなどは、ファーストアプローチでセミロングジグをチョイスしたい。ショートジグに比べると特にフォールでのアピール力が優れているので、やはりその点を意識するとよい結果に繋がりやすい。
時期によっては終日セミロングジグだけで通すこともよくあるが、通常は前述のようにポイント到着後の1投めに使用することが多い。
この場合、まずはレンジを広く探る。そして二枚潮の有無など海中の情報を把握し、その後に再び底を取って魚探に映る反応を狙う。ベイトボールの下、中央、上、また二枚潮の状況なら潮のかわりめとなるレンジで上げやフォールを駆使して食わせの間を演出する。
実践のコツ
ここではスパンカーが装備された船での釣りを想定して話を進めよう。
ロッドワークについては、ロッドとラインの角度を90度に保つことを基本とする。そしてフォールを多用する場合、ロッドとラインの角度は45度程度が多い。アクションをつける際の力加減については潮が走っており、ジグの動きが鈍いときは強めのインパクトを与える。逆に潮が緩いときはインパクトを与え過ぎると魚が散るというイメージを持ち、ジグを引っ張る程度にとどめておく。
リーリングに関しては地形などによっても異なるが、潮が速くて根の荒いポイントでは、着底後は0.2~0.3秒でリールハンドルを1回転というのが目安。また、潮が緩くて魚の反応が散らばっているときは約2秒でハンドル1回転のペースで誘うこともある。
上げの際は食わせの間を入れたい場所でジグを自走させるためにラインを張った状態からインパクトを与えるといった感じだ。また、フォールではテンションを張った状態から完全にフリーフォールに移行するときと、ジグの重みを感じながら一定のラインテンションをかけたまま落とす場合(テンションフォール)がある。両者をうまく織り交ぜながらその日のヒットパターンを探っていきたい。
他にもインパクトを与えた後、ラインが海中に入っていく瞬間に次の強いインパクトを与えて同じレンジでジグを踊らせるという、テンションのオンとオフを極端に用いる方法もある。
アプローチを組み立てるうえで重要となるのは、やはり船長とのコミュニケーションによって把握するポイントの状況だ。具体的には地形や潮流の速さ、魚探に反応が映しだされているレンジなどに目を向けたい。
また、好調に釣果を上げている同船者の竿や手の動きを観察し、自分なりに試してみることも大切だ。時間帯やポイントの特徴によっても釣りの組み立てが異なるが、自分なりの釣りを試すときは上げでハンドルの回転数が奇数になるところで食わせの間を入れるようにしている。たとえば、ボトムから5~20㍍の範囲で魚の反応が出ている場合、底から5㍍、9㍍、15㍍、21㍍といった具合になる。あくまでも一例だが、これによってベイトボールの下層、中央下、中央上、上層といった具合にまんべんなく食わせの間を入れるようにしている。
その後の底取りで着底までの時間をカウントし、潮流の速さを考慮しながらフォールでも上げでも食わせのタイミングを常に意識する。魚に食い気がある場合は速めのピッチで上げのアクションを刻み、前述の各レンジで食わせの間を入れれば何らかの答がすぐにでるはずだ。また、食いがわるいときほど遅いピッチを用いてしっかりとジグを見せることがキモとなる。
アプローチのバリエーション
パイロットパターンで反応がイマイチならベイトボールの中まで一気にジグを巻き上げ、そこでリーリングなしのジャークのみで上げ下げを繰り返すアプローチを多用。これを狙いの各レンジで繰り返すのも効果的だ。
また、タックルセッティングにおいてはラインやリーダーの号数、フックサイズを落として全体的にライトなバランスに調整することもあり、これによってジグの動きが間違いなくかわる。
ジグのローテーションは実に多様で潮流によってさまざまなフォールアクションやスピードをこまめに調整していくしか魚に口を使わせる術はないと考えている。当然ジグのウェートや形状によっても左右されるし、アシストラインの長さまで調整するシビアな観点が要求されることを覚えておきたい。
なお、ジグのカラーについてはグローパターンの調整をメインに行なっている。
(SWゲームフィッシングマガジン 2014年8月号より)
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