【UNCHAIN SKILL act.3】「同一釣り場・定位置における定点観測的釣行」のススメ | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

【UNCHAIN SKILL act.3】「同一釣り場・定位置における定点観測的釣行」のススメ

実践方法1(初級編)

ビギナーの方に多く見受けられるのが、何もわからずやみくもにシャクり続けている状態。それでも運がよければ釣れるが、残念ながら再現性が期待できず、結果としてスキルアップに繋がらない。

これはまだアオリイカがたくさん釣れていたころの話だが、釣り場でエギングを始めたばかりの知人と遭遇した。そして、彼は「キャスト後のファーストフォールでしかアタらない」といっていた。しばらく彼の釣りを観察していると、最初のフォールこそ適当に沈めているものの、その後は8回シャクッて2秒止めるの繰り返し。これではアオリイカがバイトするタイミングもなく、ほぼ表層しか攻められていないのでファーストフォールでしかアタらないはずだとすぐにわかった。実際に初心者の方でこのようなアプローチをされている人は意外と多い。

エギングにおけるアプローチの流れは、まずはボトムを感知してそこから餌木の位置やポイントを把握しながらゲームを組み立てること。これによりスキルアップを実現できるわけだが、以降ではその具体的な方法について紹介したい。

1stステップ

まずはキャストして餌木を沈める。おおむね水深5㍍ぐらいを目処にそれよりも深ければフリー、浅ければテンションフォールでカウントしながら沈めるといいだろう。

餌木がボトムに到達するとラインが緩んで糸フケが出たり、テンションをかけていれば手元にも着底の感触が伝わる。最初はわからなくても任意のフォール時間を決めて沈めればOK。仮に30秒間沈めたとして、そこでラインを張って軽くシャクる。このとき、底質が岩礁ならばゴツゴツという感触が伝わり、藻や砂地なら重くなることでボトムに到達したと判断できる。ここで着底していれば次回はマイナス5秒、着底しておらず感触がなければプラス5秒といった感じできっちりとした底取りを目指す。

仮に25~30秒の間で着底しているのなら、22~30秒の間により意識を高めて集中し、着底のシグナル、わずかな違和感を察知できるようになるまで底取りを繰り返す。これができればその日、そのとき、そのピンスポット、その条件でのボトム覚知をマスターしたことになる。

これは決して不変的なものではなく、潮位や風、潮流の有無・方向・強弱により、底取りに要する時間はかわることを頭に入れておきたい。餌木についても最近は規格の統一化が進み、ノーマルならば1㍍/3~3.5秒ぐらいに設定されているが、沈降角度や姿勢、潮流の受けやすさなども異なるので、まずは1つの餌木を使い続けると理解しやすいだろう。

2ndステップ

着底が理解できれば次のステップだ。具体的にはリフトアップしてリトリーブによるボトムトレース、二段シャクリ、ダート+フォールなどで餌木を操作する。ボトムトレースの場合、ときおり底取りを入れてカウントすることでチェックし、巻きやロッドに伝わる抵抗で水平にトレースできるようにする。ロッド操作によって餌木をアクションさせる場合にも、底取りをカウントすることで各操作やアクションによるレンジ移動(浮き上がり)を把握できるようにする。これができるようになれば海底の起伏や地形変化、ストラクチャーの有無も理解できるようになる。

エギング スキルアップ3
エギング スキルアップ4

以上のことを理解、マスターできれば自身の釣りを把握できるので再現性のある釣りが実現できる。アオリイカがヒットしたメカニズムが全体像として理解できるからだ。周囲で他のアングラーが予期せぬ1パイをキャッチしたときも、それを新たな発見として自身の釣りに取り込むことができる(2匹めのドジョウを狙って同じアプローチを繰り返すことができるから)。なお、具体的なアクションの組み合わせ、アプローチ方法については各エキスパートの動画を見るなどして研究してほしい。

3rdステップ

ここまでボトムを起点として解説を進めてきたが、基本的なことがマスターできればそこに固執する必要はない。活性の高い個体を求めて表層からアプローチする方が効率的だし、ボトムに固執してアプローチを繰り返せば過度なプレッシャーを与えることになり、なおかつ根掛かりが頻発してポイントを潰すことにもなりかねない。

とにかく同じ釣り場の狭い範囲で実釣を繰り返す。そして、できるだけたくさんのアオリイカをキャッチして釣れた状況を記憶(できれば記録)することが重要だ。単に釣果を重ねるだけでも点が線になり、やがて再現性のある釣果に反映する。釣果実績により釣れるピンスポットでより意識レベルの高い釣りが実現できるからだ。これを繰り返すことで「微妙な違和感=釣れる気配」を察知できるアングラーへと成長する。

加えてフィールドを取り巻く状況やイカの動向などの諸条件、日付や時間帯、光量、天候、潮の種類、風や潮流の有無・強弱・向き、潮色、濁りの原因、気温や水温とその推移なども意識する。さらに「アオリイカの季節的な接岸時期なのか?」、「もう少し時期が進んでエリアに接岸したアオリイカの時間的な小移動なのか?」、「完全に産卵モードで移動は少ないのか?」などの詳細な情報を自分の釣りに取り入れればより精度が向上する。

情報が膨大な量に達するので、混乱してわけがわからなくなるし、勘違いすることも多い。だからこそフィールドを固定して定点観測を行なうわけだ。そこには釣れる理由が確実に存在するし近道がある。こうして培ったベーシックスキルで新たなフィールドと対峙すればおのずと結果は見えてくるだろう。私自身、疑問点や釣りに迷いが生じた際は原点に立ち返って定点観測を取り入れるようにしている。

エギング スキルアップ5

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
いいね!しよう