【アオリイカのエギング】海面変化を意識した初冬の攻略法を解説
アオリイカ狙いの冬のエギングで注目すべきは海面に変化が現われる状況である。その状態になっているメカニズムを理解し、ムダ撃ちをなくして理にかなったアプローチを繰り出すとともに、多彩なアピールを演出することで抱かせの効果が倍増して…!!
解説:武宮隆史
【アオリイカのエギング】初冬はシャローでのナイトゲームが有利
孵化したアオリイカは内湾のシャローエリアを生活の場として1㌔前後の大きさに成長する。そして、秋が深まって海水温や気温が低下するとともに、水温が安定して波やウネリなどの影響の少ないディープエリアへと生活の場を移す。ただし、夜間や朝夕のまづめどきなどのローライト時は捕食目的でシャローエリアに回遊してくる。晩秋はナイトゲームが圧倒的に優位となるが、それは以上のような理由だと思われる。
このようなアオリイカの越冬行動は2月初旬ごろまで続き、その後は春の産卵シーズンに向けて徐々に接岸する個体が増え始める。私のホームである南紀エリアの産卵シーズンは3~5月ごろ。黒潮の影響を多分に受け、1年を通して海水温が比較的高めなこともあって年中産卵行動が見られるが、産卵が最も多く行なわれる時期がこの3カ月間であることは間違いない。
【アオリイカのエギング】海面変化から水中を想像して精度の高いアプローチを実現
まず注目したいのは海面変化だ。漠然と眺めていても変化は見つけられないだろうが、注視すればいろいろと見えてくるはずだ。エギングで狙い目となる主な変化と、それに対するアプローチのキモは以下の通りである。
波が他よりも高い場所
浅瀬になっていることが多い。沖合から波ウネリなどが打ち寄せ、浅瀬による水位変化によって海水質量が逃げ場を失い、それによって水面が上昇する。リーフやブレイクラインで波が砕けたり、高くなるのも同様である。
アプローチの際は餌木が波が高くなっているポイントを通過するようなトレースラインを取らないこと。水深が浅くなっているので根掛かりのリスクも高く、餌木のフォール姿勢も安定せず釣果も期待できないため、避けるのがベターだ。
狙い目としては波が高くなる手前と後方。手前はブレイクラインを回遊する個体やそこに集まる餌を捕食したり、浅瀬に追い詰めて捕食する個体が期待できる。後方は遊泳力の弱いベイトフィッシュが流れのヨレに集まり、それらを狙うアオリイカの回遊が期待できる。
海面に発生しているカガミ潮
鏡のように光って見える場所の底には何らかの地形変化がある。海中のシモリやストラクチャーなどに潮流が当たり、それによって発生する上昇潮流やヨレにより、海面の波が部分的にかき消されている。つまり、カガミの直下に地形変化の実体があるのではなく、カガミが発生している少し潮かみ側に変化があると考えるのが正しい。
この場合、カガミの発生部とやや潮かみ側が狙い目となる。潮かみ側は潮流の速さなどを考慮しなければならないが、発生部をダイレクトに狙う場合は直下に変化がないこともあり、ちょうどシモリやストラクチャーの潮しも側へと餌木を送り込める可能性が高い。
また、海中の実体(シモリやストラクチャーなど)はさほど大きくないことが多く、潮かみと潮しもだけでなく、両サイドを視野に入れることも重要。その際のトレースラインはカガミ発生部の潮かみ側を通すように心がけたい。ここではシモリやストラクチャーを回遊の指標としている個体、変化に集まるベイトフィッシュを狙って回遊してくる個体、産卵場やテリトリーとして一時的に定位する個体などが期待できる。
潮目
海水温の異なる水塊や潮流がぶつかることによって発生する。潮目にはゴミやプランクトンが寄せられ、それを餌とする小魚が集まる。さらに、その小魚を狙うフィッシュイーターが集まって一種の食物連鎖が成立する。当然アオリイカもそれを構成する要素となり、潮目は好ポイントの1つである。
また、魚が回遊するうえでは海中の流れが欠かせない。魚族は基本的に海中のどこにでも移動が可能だが、効率よく移動するためにも流れを利用しているはずだ。通常、流れは視認しにくいものだが、潮目は比較的容易に見つけられるのでアングラーにとっては貴重な存在となる。潮目によってアオリイカの活性が上がって釣果に結びつくことも多く、潮目を回遊している個体が狙えるので上~宙層でのヒットが多いのも大きな特徴である。
狙うポイントは潮目発生部の手前と向こう側、および発生部の表~宙層とボトム。ちなみに、スポーニングエリアと潮目がリンクすることで食い気のない産卵個体の捕食スイッチが入ることもある。
ヨレ
潮流が地形変化などに当たることによって発生。潮目と同様にプランクトンやベイトフィッシュが集まりやすく、アオリイカにとっても好条件となる。発生場所が比較的定点、または近辺であるため潮流の発生や停止、強弱の変化、干満などを判断の目安としてもOK。
アプローチはヨレ発生部に直接餌木を投入する。状況によっては餌木の挙動を安定させることが難しい場合もある。このようなときはラインを細くしたり、餌木をウェートアップすることで対応したい。
潮流変化
ベイトフィッシュの動きによっても把握することができる。特にショアラインに生息するような遊泳力の弱い小魚に注目すれば、釣果に繋がる情報を得ることが可能。群れている小魚がタイトに岸際に寄り始めれば潮流が強くなった証しだ。逆にいつも岸際に群れている小魚が広範囲に広がっているときは潮流が弱まったり、止まっていると予測できる。
また、小魚が泳ぐ方向を見たら潮の向きも判断できる(潮かみに頭を向けている)。さらに、すべての魚が同じ方向を向いているか否か、もしくは同方向を向いている個体の割合を見たらおおよその潮流の強弱も判断できる。特に潮位変化の少ない日本海側のポイントではよいタイミングの判断材料となる。加えてベイトフィッシュの回遊状況や種類、泳層を見れば青物などの大型フィッシュイーターの有無を判断できることもある。
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