タイミングとポイントを見極めて激戦区の尺メバルと真っ向勝負《前編》
一時期ほどイージーに尺メバルが釣れることはなくなった南紀エリアだが、的を絞ってゲームを組み立てることで尺上と遭遇するチャンスはまだまだ見出せるから…
解説:中瀬直行
尺メバルゲームの醍醐味
メバリングにおける釣り方は基本的なジグヘッドリグでのワーミングにはじまり、フロートやキャロシンカーなどを使用するパターン、プラッギングと多岐に渡り、さらに地域の特徴に合わせたご当地パターンも数多く存在する。そして、数釣りや大型狙いといった目的まで分類するとキリがないほどだ。
その中で私は尺上(しゃくがみ、しゃっかみ)と呼ばれる30㌢オーバー狙いをひとつの楽しみとしている。幸運にも尺上を狙って手にできる南紀エリアに在住していることもあって、シーズンになるとまだ見ぬ大型を求めてさまざまな釣り場をさまようことになる。
個体数の少ない大型が相手だけに自然状況、魚の動向など、そのときどきのパターンを読み解かなければコンタクトすることはできない。狙うべきポイント、そこでの攻め方を常に考えて動いた末に出会う尺上は大きな「釣った感」を与えてくれる、価値ある1匹であるとともに、そのゲーム性の高さを強く実感させてくれる。
高活性な尺メバルを迎え撃つには?
南紀エリアにおけるメバルの動向は産卵絡みと、体力の回復&ベイト絡みの2つをキーに接岸するパターンだと考えている。例年11月ごろに産卵を控えた個体が接岸を始め、12~1月に産卵。2月はアフタースポーンの個体が多くなって釣果は下降線をたどるが、産卵に関係のない魚は釣れる。
3月になると沿岸にはシラスなどのベイトが接岸し、それらを捕食して体力を回復させ出したアフタースポーンの魚が接岸。以後、6月ごろまではベイトについたコンディションのよい尺上が狙える。大まかには他地域と同じようなシーズナルパターンであろう。
フィールドについては磯、ゴロタ、サーフとさまざまな形態が見られ、どこでも尺上の可能性があるうえ釣期も並行している。その中でより効率よくキャッチするには、深場の絡んだシャローエリアがキーになると考えている。
産卵期であれ回復期であれ、メバルも効率よく餌を捕食することを優先するはずだ。その点、シャローエリアにはベイトが溜まり、深場から活性の高い個体が差してきやすい。この場合、メインターゲットとなるのはストラクチャーに依存する傾向が強いアカメバルなので、起伏に富んでおり、身を潜めやすいスリットなどが多い磯に絡んだポイントが特に有望だ。また、磯場でなくても沈み根があればやはりつき場となりやすく、急深のサーフでもそうした障害物がキャストの射程圏内に見られるなら狙い目となる。
そして、シャローエリアではなんといっても潮位が大事だ。メインとなるベイトはスジエビ、ワレカラ、ハマダンゴムシなどであり、岩や海藻についているそれらの小さな甲殻類は潮の満ち引きにより流される。小魚よりも逃げ足が遅く、流れに乗って特定の個所に集められやすいことから、メバルにとって効率よく捕食できる餌となるわけだ。実際に、釣り上げたメバルの胃の内容物を見ると大量のハマダンゴムシだったこともある。
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