魚は歯が命!?|知っていたからって釣れるわけじゃないけれど…《アーカイブ from 2011》
基本的にほぼすべての魚は歯を持っている。しかし、魚は虫歯にならない。その理由は、魚は水の中にいて1日中うがいをしているからであり…
文:宇井晋介
※このエッセイはSWマガジン2011年7月号に掲載されたものです。
魚の歯を入れ歯に?
先日、リンゴを噛んだとたん、パキッと音がして痛みが走った。直後に前歯がポロリ。前々からぐらぐらしていた差し歯の土台部分が割れて抜けてしまったのだ。よりによっていやはや何ともタイミングがわるい。連休はお客様の前でのトークショーも何度かあったが、まさか「歯抜けジジイ」のままでお話しするわけにもいかない(笑いを取るなら最高のツールだが‼)。それで仕方なくマスクをしたままの何だかあやしいトークになってしまった。
それにしても前歯がないと何かと大変である。見かけはともかく滑舌がわるくなって話にしまりがないし、ツバは飛ぶし、第一ご飯がうまく食べられない。つくづく前歯の大切さを実感した連休であった。
この期間、友人や部下からさんざんイジられたわけだが、中には「魚の歯を入れといたら?」と誠に建設的な意見をいただくことがたびたび。
そこでネットで調べてみたら、ありましたありました。何と人間とそっくりな歯を持っている魚が。画像を見ると決して歯並びはよくないが、見かけは本当に人間そっくりな魚がいるのである。なんでもアメリカの大西洋沿岸に住むタイの仲間だそうで、まんま人間の歯みたい。でもこの歯でウニや貝などをバリバリと噛んで食べるらしいので人間の歯よりよほど丈夫かもしれない。しかし、入手困難ということで今回は泣く泣く見送った。でももし、これを入れ歯にしたらあるいはギネスブックに十分登録可能かもしれない。
魚の歯は食べるものによってその形が…
人間のような歯を持っている魚は珍しいが、基本的にほぼすべての魚は歯を持っている。魚は人間と違って手足がない。人間なら大きなものはちぎったりつぶしたりして小さくすることができるし、逆に小さなものは丸めて大きくして食べることもできる。また、ナイフなどの道具を使いこなすこともできる。
しかし、魚には手がないので食べ物はそのまま口に入れなければならない。だから魚の歯は食べるものによってその形が決まってくる。たとえば、有名なピラニアはまるでカミソリの刃のような歯を持っている。彼らは水中の大きな魚を襲って食べるのでその歯はかたい鱗や皮膚も簡単に食いちぎれるようになっている。
その逆は小さなモノを食べる魚だ。たとえば、ジンベイザメやウバザメは巨体に似合わず小さな魚やプランクトンなどを食べている。彼らは大きな口を開けてこれら小さな餌を水ごと吸い込んで食べるので歯は必要ない。だから歯は退化してほとんど痕跡程度しか残っていない。
人間と同じようにものを噛みつぶして食べる魚もいる。たとえば、クロダイやコイ・ハリセンボンなどは口の中やのどのあたりに人間の臼歯にあたる歯があり、これで硬いものを噛みつぶす。
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