磯のヒラスズキ 、最高の達成感を求めて…|【Mr. Perfect vol.1】
ヒラスズキを求めて晩秋の磯にアタックした。2018年の秋はトウゴロウイワシの回遊が多く見られ、ヒラスズキの釣果も好調。そんな中、今回は冬シーズンのカギを握るベイト、キビナゴの動向に注意を払いつつ波が出始めるタイミングで竿を出したところ…
Text & Photo 程野 昇
四国南東部のヒラスズキ事情
11月26日、ヒラスズキを狙って磯に釣行した。状況としては台風28号がフィリピン海にあり、大陸方向に進んでいるので風の影響はないものの、北緯20度線あたりまで近づくと私のホームである四国南東部にもウネリが入り始める。台風ウネリは急速に高くなるので注意が必要だが、波が出始めるタイミングを狙うことにした。
晩秋の磯はまだ水温が高く、シャローエリアにベイトが溜まりやすい。ヒラスズキも高活性で数型ともに期待でき、何よりスピーディーで派手なバイトを見せてくれるのが醍醐味だ。
そして、今シーズンのホームエリアはトウゴロウイワシの回遊が多く、特に超シャローの磯でよく釣れている。ただ、私が気になるのはこれからの冬時期にキーとなるベイト、キビナゴの回遊状況だ。そこで釣行当日は情報のないキビナゴの動向を意識してポイントをチェックすることにした。
波が出始めるタイミングはチャンス
事前にその日の条件を考慮してヒラスズキがヒットしそうなポイントを絞り込んでいく…。この作業が非常に楽しく、ロッドを振る前からすでに釣りが始まっているといっても過言ではない。
そして、今回選んだのは潮通しがよく、複雑な地形を有する徳島県美波町の地磯。高低差があるのでアクセスに体力を要するが、そのぶん人的プレッシャーも少なく、居つきのヒラスズキも多い磯である。
山道を歩いてポイントに到着すると、まだ波が小さい状況だった。ただ、しばらく観察しているとセットでサラシが広がるポイントが数個所あったので何とかなりそうだ。ちなみに、セットとは不定期に3~4本まとまって入る大きめの波のことである。
いずれにしても波が出始めるタイミングはヒラスズキの捕食スイッチがオフからオンに切りかわるタイミングでもあり、日中の小波でもランカーサイズのヒットが珍しくない。この時点で波は小さかったものの、ポジティブに考えて楽しむことにした。
この1投で決める!!
サラシの流れる方向やベイトの有無を確認しながら、トップウォータープラグで手前のポイントからスピーディーに探っていく。条件がよくないときほど無駄撃ちは厳禁であることは重々承知しているが、フィールドに立つと待ちきれずにルアーを投げてしまうわるいクセが…(笑)。
「このポイントはもう少し潮位低い方がいいサラシになるな…」「ここは潮位が高い方がベイトが溜まりやすそうだ…」といった具合に、いろいろと考えながらポイントをチェックしていく。その中で有望と思えるポイントがあればミノーでもアプローチする。
すると、数個所めのポイントでトップにヒラスズキが出てくれた。しかし、これはフッキングに至らず、次の波で同じように攻めるも反応なし。3投めで勝負を決めるべくミノーにチェンジした。
日中にミノーで攻める場合、潜行レンジ以上に厚みのあるサラシを狙えばヒット率が高くなる。そして、その状況になるまで待つこと数分、大きめの3本のセットが入った。1本めはサラシの層が薄いのでパス。私の場合、通常は2本めの波が入った後に2~3投することが多いが、このときは次の1投で決めるという強い信念があったので最もサラシの層が厚くなる3本めの波が入った後のタイミングに狙いを絞った。
サラシの向こう側へミノーをキャストし、ルアーの動きとサラシの流れを感じながらトレース。手前のシモリ際まできたところでリトリーブを緩め、ルアーを流れに乗せてドリフトさせる。「くるならココだ!!」と集中力を高めていると「ゴンッ」とヒット!! 合わせを入れた直後からヒラスズキが派手に暴れた。白銀の魚体が荒波の中をジャンプする光景は何度見ても美しい。
日中に磯のヒラスズキを狙う場合、釣れるべきポイント、釣れるべきルアー、釣れるべきタイミングでのみヒットする。そして、自分が描いたシナリオ通りにヒットした瞬間は最高の達成感と満足感が味わえるし、これは何度経験しても色褪せることがない魅力だ。
激しいファイトを見せるヒラスズキはバレることも多い魚だが、このときはあらかじめ想定していたランディングポイントまで誘導して無事にキャッチすることができた。手にしたのはヒラスズキらしい体型をしたコンディションのよい1匹で、速やかに撮影を済ませて元気なうちにリリースした。
その後はショートバイトがあったもののヒットには至らなかった。そして、残念ながら今回の目的の1つであったキビナゴの大きな群れも確認できなかったので次回の課題にしたいと思う。いずれにしても、今後は水温の低下にともなってトウゴロウイワシが減るため、キビナゴを意識したヒラスズキが増えるのが例年のパターンである。ちなみに、トウゴロウイワシの少ない年は秋でもキビナゴが溜まるような、やや水深のある潮通しのよい磯が有望となる。
さて、この記事が掲載されるころは秋パターンから冬パターンにかわる微妙な時期だ。その中で私が目安にしているのは水温である。この原稿を書いている12月初旬の水温は18~20度だが、これが急激に下がって16度を切る日が訪れる。その日を境にベイトが浅場からやや深い場所へと移動し、冬~春パターンに移行すると思われる。その点を意識して冬のヒラスズキゲームを楽しんでいただきたい。
使用タックル
【ロッド】
ゼナック・DEFI BAHN Blackfin116RG
磯のヒラスズキ専用設計で、スリムなミノーをナチュラルにサラシになじませられる繊細なティップとランカークラスのヒラスズキを強引に寄せられる強靭なバットを合わせ持っている。
【リール】
ペン・スピンフィッシャー
他のリールと併用しながらも磯のヒラスズキゲームを始めた30年前から愛用しているリール。古いモデルなのでPEラインとの相性はわるいが、ロッドのRGガイドシステムのおかげでライントラブルが激減し、スムーズとまではいえないまでも愛着を持って楽しく使い続けている。
【ライン&リーダー】
PE1.5号+フロロリーダ30Lb
【程野 昇・プロフィール】
※上記のリンク先にある「磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。
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