【スローピッチジャーク・ステップ3】理想的なアクションを演出するために… | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

【スローピッチジャーク・ステップ3】理想的なアクションを演出するために…

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ピッチのパターンと考え方

リールのハンドル1回転に対して竿が1振幅で1ピッチ、ハンドル1/2回転に対して一振幅で1/2ピッチというように、ピッチはリールハンドルの巻き幅を示している。これはジグのタテ方向の移動距離に密接に関係する部分なので、以下で各ピッチの解説と実践のコツを紹介しよう。

それと、これはすべてのピッチにいえることだが、着底後の最初のアクションからピッチを刻んでもジグは動かない。最初はジグに初速をつけるためにハンドルを何回転か速巻きし、そこからアクションをつけることになる。

●1/1ピッチ…ハンドルを時計でいうところの12時から12時の位置まで1回転させる。細かくいうと12時から6時で竿を曲げ、6時から12時では曲がった竿の反発によってジグを持ち上げる。そのため、12時から6時よりも、6時から12時のタイミングで力をかけていくことになる。

●1/2ピッチ…ハンドル位置は3時から9時、9時から3時が竿を動かしやすい。12時から6時、6時から12時の位置で動かすと、力がスムースに伝達できないので注意してほしい。

基本的に竿(リールシート)は海面と平行に保っているため、1ピッチで説明したようにピッチ間に力の入れるポイントがある。12時から6時のハンドル移動の中では3時から6時、6時から12時の移動の中では9時から12時でジグを持ち上げるための力がかかることになる。

そして、12時から6時のハンドル移動は下方向に動かすので、どうしても力を入れにくい。逆にハンドルを持ち上げる6時から12時は力を入れやすい。つまり、力の配分にバラツキがでてしまうわけだ。

一方、3時から9時、9時から3時の1/2ピッチは力を配分しやすく、パワーロスが少なくなって均一に力を伝えやすい。そういったことから、1/2ピッチのハンドル位置は3時から9時、9時から3時のスタイルを取っている。

それと、余談になるが基本スタイルにちょっとしたアクションを加えることでジグの動きに大きな変化が出る。非常に有効なテクニックなのでこの点についても紹介しておくと…。

実はハンドルに力を入れるタイミングでリールの位置を水平移動させることにより、竿先のしなりや戻りのスピードをコントロールすることができるのだ。これは各ピッチ(1、1/2、1/4、1/8)ともに共通して使えるテクニックである。

たとえば、1/2ピッチの3時から9時のワンセットを例にあげよう。この場合、6時から9時の位置でトルクをかけていくことになるが、その際にリールを竿先方向に水平移動させることで、竿先のしなりと戻りのスピードを増すことができる。逆に竿尻方向へ水平移動させれば振幅のスピードを抑えることができるといった具合だ。

このテクニックでジグの動きをコントロールすれば波のピッチに合わせていくことが可能になる。

●1/3ピッチ…僕自身、12時、4時、8時にするか、6時、10時、2時にするかを随分悩んだ。そして、結論としては竿を固定するという基本スタイルに照らし合わせると、いずれもリールを巻く力の配分がつけにくく、雑なジャークになってしまうのであまり使わないことにした。というわけで、よくわからないというのが正直なところだ。

●1/4ピッチ…12時、3時、6時、9時というパターンでハンドルを刻んでいる。当然、1/2ピッチよりハンドルの移動と糸巻き量が少ないため、竿の振幅が短くなる。しかし、力を入れるタイミングを竿の振幅に合わせていけば、ジグはきっちりと横を向くので問題ない。この場合、竿の戻りにリールのハンドルを巻くタイミングを合わせ、竿の振幅を増大させてやることできっちりとしたアクションを演出することができる。

●1/8ピッチ…1/4の各中間位置でもハンドルを止めて刻んでいくのだが、横を向くかどうかは使用するジグの性能にもよると思う。僕自身はジグの頭を少し振る程度のイメージで使っている。

実践時の注意点

スローピッチジャークはスピードの変化でジグを横に向けるコンビネーションの釣りだ。一度のアプローチ(ジグを落として上げてくるまで)の中で先にあげたピッチを組み合わせていくことで、多彩なアクションが演出できる(見せて食わせる、追わせて食わせるなど)。これにより頭に思い描いた形で魚をキャッチすることができるかもしれない。

たとえば、ジグに初速をつけるために3回速巻きしたあと、1/2ピッチを3セット→速巻き3回→1/8ピッチを5セットでどうなるかというと…。

「速く動く→横向き3回→速く動く→首振り5回」というようなアクションが演出できる。このように「速い→遅い→速い→遅い」を組み合わせていく釣りなので、緩急の繋ぎが最も重要となる。具体的にはジグがアクションを終えるかどうかというタイミングで次のピッチを刻んでやらないと繋ぎの部分で力の伝達がスムースに行なえなくなってしまう。

ピッチを刻むタイミングが早ければジグが横を向ききっていないうちにアクションさせることになり、「スコッ」と重みが抜けて竿の反発力が伝わらない。逆にタイミングが遅いとジグが落下してしまう。両者を判断するうえで共通しているのが、いずれも繋ぎのタイミングで「カクンッ」という手応えが伝わってくることだ。この「カクンッ」を出すと、なぜか魚は食いつかない。おそらくこの動きを嫌っているのだろう。

そして、スムースなタイミングの取り方については竿先が教えてくれる。竿先が完全に戻り、水面と平行になるかならないかのタイミングで次のピッチを刻めば案外スムースに力を伝達することができる(あくまでも平水時の話だが…)。

柔軟な発想を引き出すために…

僕は師匠に「初心者の釣りを見ろ、女性の釣りを見ろ、小さい子の釣りを見ろ」とよくいわれる。いわれた通りにすると、いずれも思考が凝りかたまっていないため、僕の考えでは絶対に出てこない、思いもしないジャークで魚をキャッチしたりしていることがわかる。そして、これが大きなヒントになったりするのだ。

いずれにしても船上で「この人はあんなことをしている、あの人はこんなジャークで釣っている」というように同船者の釣りを観察し、海中でのジグの動きを大まかに判断するように心がることが大切だ。そして、あのジグの動きはこのピッチの組み合わせで演出できるのではないかといった具合に考えれば、自身の釣りを広く展開させていくことができる。みなさんもこのスローピッチを習得するころには、必ずといっていいほど思考が凝りかたまっているはずなのでぜひ参考にしてほしい。釣り場で「そういえばアイツがこんなこといってたなぁ~」と思い出してみて下さいね。

(ザ・スローピッチジャーク〈2013年発行〉より)

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